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BEYOND (ストリートバスケ小説)

北海道を舞台にした、架空のストリートバスケリーグの物語。競技バスケとエンターテイメントバスケの光と影を描いています。
読みづらい文章ですいません。また更新も不規則ですので暖かく見守ってください。たくさんな方に読んでもらえると嬉しいです。

第4話「奈良という男」



BEYOND開戦!!


そうナッシュから告げられると、レーザーが激しく当たりを照らし、壁にあるスクリーンにBEYONDと大きく映し出された。

レーザーが終わり、照明が戻った。
スクリーンには対戦表のようなものと、各選手のスタッツが映し出されていた。

豊田は圧倒された。
そして完全に理解した。
この状況を。
豊田もバスケットマンである限り通っている道がある。いや、通ってあたりまえだろう。

ストリートバスケットという世界を。

ただ、ネットで見たことがあるだけで生で見るのは初めてだ。
こういう世界もあるということを知識として片隅にはあった。

そしてBEYONDというのはチーム、いやそういうリーグなのだと理解した。ただ、意味はわからなかった。

選手達は合同のアップを始めた。
スクリーンには残り時間が表示されている。
すると、観客席が大きく動いた。
ギャラリーがゴール下やコートラインギリギリに移動したのである。ある人はパイプイスやベンチを担いで。ある人はビールを片手に席を陣取った。
外からは何か香ばしい良い匂いがする。外に目をやると、露店商の車が何台か並んでいた。観客はそこで食べ物やお酒を購入していた。
豊田も空腹に負け、そこで焼きそばを購入した。
そして、観客の流れに身を任せてコート近くで観戦するようにした。

スクリーンが切り替わった。
ゲームが始まろうとしていた。
選手立ちはコートベンチに戻った。
すると、Bボーイ風の男がマイクで喋りながらコートに出てきた。

「YOーYOーYOー!ブンブーン!Thanks  for  coming!!盛り上がってるかーい!!?このBEYONDも今シーズン残り僅かー!誰が果たして真のBEYONDを掴むのか!?まだまだわからなーい!!」

「オーディエンス準備はいいかー!?」

沸くオーディエンス。

「足りない!足りない!アーユーOK!!!?」

狂うように盛り上がるオーディエンス。

「じゃあレッツパーティ!1st  SET
レナード・カイリー  vs  玉村  祐樹ーーー!!!」

呼ばれた二人が出てきた。
タイムとスコアがスクリーンに表示された。

あれ?
豊田は違和感を感じた。

3×3じゃないの?

豊田の違和感は当然である。
ストリートバスケットといえば3×3が一般的である。人数の原則は無いが、知れ渡っているのは3×3だ。

だがここでは1×1だ。
豊田はまたしても度肝を抜かれた。

レナードと玉村はジャンケンで先攻後攻を決めていた。
先攻は玉村。

豊田(あれ?審判とかはいないのかな)

キョロキョロする豊田。
鳴り響く音楽。
笑い声、叫ぶ声、騒がしい中
試合は始まった。

次の瞬間、歓声が沸いた。

その間3秒くらいだったろうか。

豊田が気付いた頃には玉村がリングにぶら下がっていた。

豊田はキョロキョロしていたため、見逃した。何が起こったかわからない。すぐさまスクリーンで今のプレイのスローが流された。豊田も目をやった。

ワンタッチ後、ボールをもらう玉村。かがみながら右手ワンハンドでボールをもらい、左手を近くに添えていた。
肩と右足のフェイクを2回入れ、レナードが反応して、体重がずれた瞬間に玉村は一歩で抜き去りそのままダンクした。

豊田は見入った。その映像に。
マジかよ。ただ呆然となった。
そのワンプレイでここのレベルがとんでもないと無意識に本能で感じとっていた。
豊田だからわかるのだ。素人にはわからない。

「お前ー、ちょっと見せろよー」

豊田は隣に振り向いた。
豊田(ん?俺?)
挙動不審になる豊田に男は続ける。

男「おめーだよ。見えねーよ。お前でかすぎて」
豊田「あっ。すみません」

豊田は少しかがんだ。

男「悪りぃな」

豊田は苦笑いで会釈する。

その男はおそらく30代前半くらいだろう。茶髪を逆立てた髪型で、ダボダボのロンTとジーパンを着ていた。
よく見るとAND1のバッシュを履いていた。
豊田は最初嫌な奴と思ったが、小太りな体型と童顔さが何か親近感を覚えさせた。

男「ん?何じっと見てんだよ」

豊田はハッとして、視線をずらした。

男「なんなんだよ、腹立つなー」
ボリボリとポップコーンをつまみながら、ビールを飲みイラついた表情でたまに豊田の方を向く。

豊田は試合を見ていた。だが、その男がチラチラ見てくるので気になって仕方なく、試合なんて半分ほどしか頭に入ってこなかった。

豊田は変化を感じた。
隣の男がずっとこっちを見ているように感じた。
勇気を出して豊田はそっちの方を見た。そして、次の瞬間男の顔面が豊田の顔面ギリギリまで近づいた。

豊田はビクッとしたが、動けなかった。男はじーっと見つめる。

男「お前…森の里の豊田か?」
豊田「えっ?」
男「豊田なのかって!」
豊田「えー、あー、はい!」
男「マジで⁉︎」
豊田「はぁ~」
男「マジかよ!すげー!なんでこんなとこにいるんだよ、森の里のスターがよ!?」
豊田「スター⁉︎」

話をしているうちに男は大のバスケットファンであり、高校、大学、プロ、NBAと幅広く関心を持っているということがわかった。
男は「奈良」という名前で、このBEYONDも初期から見に来ているということだった。
全国で名を馳せた森の里のことも当然知っており、そのルーキー豊田のことも知らないはずがなかった。

豊田はここに来た経緯を話した。
そして八女のことも聞いた。

奈良「そうかぁ。八女が森の里だとはなぁ」
豊田「八女って何者なんですか!?」
奈良「俺もほとんどわからんが、BEYONDの初期から在籍してるってことくらいしか」
豊田「そうですか…」
奈良「あと、これだけは言える」
豊田「何ですか?」




「八女はこのリーグで現在、暫定1位だ」