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BEYOND (ストリートバスケ小説)

北海道を舞台にした、架空のストリートバスケリーグの物語。競技バスケとエンターテイメントバスケの光と影を描いています。
読みづらい文章ですいません。また更新も不規則ですので暖かく見守ってください。たくさんな方に読んでもらえると嬉しいです。


第6話   「八女の実力①」



DJ23が最後の試合をアナウンスする。

「さぁ、オーディエンス!今日はエンジョイしてくれたかな!?迫力のプレーを見てくれたかい!?イェーイ!俺もちびりそうだったぜー!が、こんなもんじゃねーよBEYONDは!そうだよな⁉︎こいつの試合を見ないと帰れないよなー!?最後はこいつらだー!!!」

「八女ーーー!恭一ーーー!」
「vs」
「清水ーーー!勇吾ーーー!」

八女と対戦相手の清水がピンスポを浴びながらコートに出てくる。
そして照明が戻った。
最後の試合とあってギャラリーも張り詰めた空気になった。

そして事実上この24節がレギュラーシーズン最後の試合であり、残りはプレーオフとあって、締めくくりの意味合いもある。

豊田は睨みつけるようにコートを見ていた。八女の試合が見れる、そう思うだけで興奮した。
同時に、同じ高校の同級生がこんな舞台で活躍していることに、尊敬と嫉妬を覚えていた。
面識はほぼないのに、八女を見守りたくなった。

ジャンケンによって清水が先攻になった。

BEYOND  第24節  6セット目の開始である。

ここで清水について説明しよう。

清水は、大学卒業と同時に中国のトップリーグに所属した。昨年新天地を求め日本に戻ったが、所属チームが決まらずロックアウトとなった。そんなおり、BEYONDの噂を聞きつけ入れ替え戦に出場し、見事BEYOND入りを果たした。
193の28歳。プレイスタイルは典型的なガードスタイル。ドライブ中心の攻めだ。ランキングは5位である。

清水は八女に勝てば4位に上がり、プレーオフに出場できる権利が得られる。そのため、清水にとっては負けられない試合でもある。

八女のワンタッチ。
ボールを受け取る清水。

清水はコート右側に寄りながら、ゆっくりとドリブルをして移動する。
清水の狙いはチェンジオブペースだ。

八女は清水に合わせるようにクロスステップを踏みながら、相対していた。

2人の距離は1mくらいだろうか。

ショットクロック残り5秒のところで、清水突然のクロスオーバー。

それに合わせる八女。

左に切り替えし、更に右に切り替した。清水は八女を揺さぶって抜き去りたいのだ。

が、八女はついていく。

清水は強引にコート右のウィークサイドからドライブ突破を図る。

が、ペイント付近で八女に身体を入れられ仕方なくフリースローライン側にターン。
ボールを持ってゴール下シュートに向かう。

それでも八女はついていく。
身体をピッタリとつけシュートチェックに向かう。

が、清水動かず。
シュートフェイクだ。
八女が飛んだと見るや、すかさずシュートに向かう。
清水は少し左に流されながらシュートを放った。

しかし、次の瞬間

バチーン!!

八女のブロック。

ボールはアウトラインとなった。

八女の方を見る清水。
微笑む八女。

「ウォーーー!!!」
沸く観客。

八女は清水が流された瞬間を見逃さなかった。流されるということは体重が乗り切らないということだ。ならば本来のジャンプではないシュートになる。
その上で八女はブロックしたのだ。

清水もそれを薄々気付いていた。

清水(しかも、フェイクの時にあいつは微妙に身体を押し付けてきた。ギリギリファールにならないくらい絶妙なところで)

豊田は唾を飲んだ。
この短い攻防のレベルがいかに高いかというのを本能で感じとった。

豊田(接触がうまい。身体の寄せ方とかも、うまいぞあいつ…。清水って人もドライブが早い。ボールが手に吸い付いてる感じだ)

八女のターン。
ゴール真正面、ちょうど3Pライン付近で身体を半身にして片手でボールを鷲掴みにしていた。

清水は真正面でシュートチェック、ドライブ、両方に対応出来る距離を保っていた。1mより更に近いだろうか。

頭の真上にボールを両手で持ち直す八女。身体は伸び切っている。
すかさず清水は身体を寄せる。

八女はグッと腰を低くしボールを真下に持ってきた。清水は少し下がる。
身体で少しフェイクを入れる八女。
清水は少し反応する。
間髪八女の右ドライブ。清水は身体を寄せる。
八女の急ブレーキからのクロスオーバー。左に対応しようとする清水。
清水が身体を寄せようとした瞬間、清水が見たのはボールを持っていない八女の姿。
寄せに行った時には、八女は清水の左側を肩を擦り付けるくらいギリギリに抜け出し、ジャンプ。
清水が振り向いた時にはバックボードに跳ね返ったボールを空中で掴んでいるとこだった。

ガコーン!!!

豪快なダンクの音がコートに響いた。

ウォーーーー!!!
また盛り上がるギャラリー。

DJ23「決まったーーー!!!恭一のワンマンアリウープー!!!」

しばらくゴールを見る清水。
拾ってきたボールを清水に渡し、微笑む八女。

豊田「………」
声が出ない豊田。

クロスオーバーで左に切り替えたと同時にバックボードめがけてボールを上げるという技術は中々出来ない。
そして相手をかわしていく技術。
まさにトレイシー・マグレイディばりのワンマンアリウープだ。

奈良「どうだ。すげーだろ」
豊田「え…えぇ…」

豊田はショックを隠しきれない。
八女のスゴさを今ので確信した。
認めざるを得ないと。
自分にあのプレイができるのかと。

そして本当に同じ高校生なのかと。

豊田にとって忘れられない一夜が始まったばかりだ。