TOMORROW|明日へ ~10/9放送 語り継ぐ旅 ~ を見て 3 | 福島県在住ライターが綴る あんなこと こんなこと

TOMORROW|明日へ ~10/9放送 語り継ぐ旅 ~ を見て 3

私の住む福島県中通り地方は

地震による被害はあったものの

幸いにして津波の被害はありませんでした。


しかし我が福島県には、原発事故が発生しました。

美しい風土とおいしい食べものに恵まれ

のんびりと生きてきた(ように思える)

人々の生活は一変しました。



福島県民だけが、慌てているならまだいい。

周りの人たちの反応がすごかった。

日本だけではなく、世界から反響がありました。


ありがたい援助があった。


一方で中傷めいた、

人々の心の傷を逆なでするような

話もたくさんあった。


不幸なことに、

その一部は「自分は正しいことを言っている」

という信念の元に発信されたものだったことです。


さらなる不幸は、多くの人が、発信に振り回されたこと。

少なくない数の友人が、家族が

「福島県をでる」「福島県に残る」で言い争いました。


うずくまっていた私は、その後どうしたか。


混乱した心が整理され、ガソリンの供給が安定した頃

お世話になっている出版社に行きました。

私の親くらいの年令の社長のことが心配でした。

震災のショックで、体調を壊していないだろうかと

思ったのです。


お会いすると社長は元気でした。

出版人としての信念に燃えていました。

彼は私に言ったのです。



「世界でまれな事件が起きた、この福島で。

私は、そのことを本にしたい」と。

(つづく)




福島県の今と未来を綴る
福興ライター