前記事では、セトサラダ・ホルススペシャルを食べてしまったセトの話まででしたが、どんな腐女子もびっくりする続きがあるんです。
ちなみに、エジプト神話に出てくるセトの好物・レタスはステムレタスと言われる、茎の部分が大きいこちらだそうです。
(界隈?の常識でありましたら申し訳ありません。みそは知らなかったので💦)
漫画『ENNEAD』のセトは、戦神でありとても逞しく引き締まった身体を持ちながら、印象的で個性的な艶のある真紅の髪と瞳、色白で産毛すら生えていないサラサラの肌(砂漠の神なんで)の美青年。
さらには水に弱く(砂漠なんでね)こんなに強いのに濡れるとシナシナになってしまうという、萌え設定...!
そしてお兄さん、甥、異国の神、果ては息子まで?軒並み彼に、懸想してしまうお話(予想含む)なんですよね。
で、まぁ長い事腐海を彷徨っているみそなので、ここまではある意味よくある設定なんですが....。みそがなんて面白いと思う点は漫画というより原作、つまりエジプト神話の方なんです。だってこのよくある設定が、意外にも原作よりなんだもの!
原作って、神話ですよ?4000年前の話(はっきりとした起源はわかっていませんがおおよそ)ですよ?そんな大大大昔に創作されずっと支持されている神話がすでに結構攻めてるBL小説なんですよ、なんなら。
という事でニーズがあるのかないのか、全然わからないままにまたまたみその創作です。
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ガシャーン!勢いよく、燭台を倒すとセトは両肩を波立たせながら叫んだ。
「....ふ、ふざけんなよ....もう一度言ってみろ!!!」
「セト様っ、落ち着いてくださいませ。お身体に触ります!私は専属の医師としてみたままを告げているだけです。たたたしかに、セト様の中には新しい生命が宿っております!」
あり得ない!あり得ないあり得ないあり得ない!!俺は産まれてから今まで、ずっと男だった!現にネフティスを何度も抱いて、息子だっている。あの憎たらしいニヤニヤ野郎のホルスに騙されて王位をやってから、最近やたら体調が悪いと思ってきてみりゃ....嘘だろう?!
いや、確かに気持ちよかった記憶はあるが、断じて俺のケツは無事だ。なあ、だってさすがにわかるだろう?それにアイツは朝うっとり「凄く良かった...」なんてほざいてたよなぁ?!
しかし確かに俺の腹の中に奴の....ああ、口にするのも憚られるアレがあった。
いやいや、しかしもう一度いうがどちらにしろケツからは無理だろ?何がどうなったらそんなおかしな事が起こるっていうんだ...。
「....イシスとホルスを呼べ。大方あいつらが何かおかしな魔法でも使ったんだろう、間違いない!」
2人は呼ぶまでもなく、部屋の外で待ち構えていた。医師が扉を開けると、ホルスは興奮を隠しきれない様子で飛び込んできた。
「ああ、叔父様!叔父様!!会いたかった....そんなに興奮しないでください。私達の愛の結晶です。あの夜の貴方は耐えようもなく魅力的でした。何故貴方はそんなにもセクシーなんでしょう。貴方の燃える炎のような瞳に見つめられたあの瞬間、私の理性は焼き切れてしまいました。母のおかげで酒に酔うはずはないのに、私はすっかり貴方に酔ってしまったのです。だから大切な貴方の生命の証を誰かに見せびらかしたくなったのも、いたしかたないでしょう?それで一度は腕を失いましたが後悔はありません。ああ、あんなにも魅力的な貴方を前にして最後の一線は我慢した俺を褒めてほしいくらいだ。あの夜から貴方の艶めかしい姿が忘れられない....」
しがみつこうとするホルスを待ち受けていたかのように、足裏でガシっと迎え撃ち、そのままガシガシと足蹴にしていると続いてイシスが入ってくる。
「セト、体調はどう?無理は禁物よ」
「しれっとしゃがって!おまえのしくんだ事だろ!」
イシスはすっかりセトに夢中な息子の様子をみて、またか、と深い溜息をついた。
弟は昔からそうなのだ。そのうちにこんな事があるのではないか、とイシスはうっすらと予測すらしていた。
彼はとにかく男を狂わす何か特別なものがあった。普段は色気のかけらもなく、それまで普通に男同士で軽口を叩いて接していたにもかかわらず、彼の素顔を見てしばらく一緒に時を過ごすと1人残らず次第に欲情し彼に夢中になってしまうのだ。これまで、セトを巡ってはあらゆるトラブルがあった。見かねた祖母が身を守る武器としてウアスと、戦争の神としての権能を与えたのだ。
だからあの夜、決して油断するなと魔法をかけておいたのに!!大事な息子まであの子の魔力に堕ちてしまった。息子が叔父様の生命です✨とかなんとかいって大事そうに見せてくるから、一体何を捕まえたのかと思えば、アレ。
息子にそんなものを見せられた私の気持ち、誰にわかるというのか。
しかし、こんな事になるなんて、さすがの私だって意図してなかった。だってまさかレタスにそんな力があるなんて。
「....正直にいうわ。そこまでの事は考えてなかったのよ。ただ、ちょっとあなたに恥ずかしい思いをさせて、ホルスを勝たせたかっただけで....。私もさすがに不思議に思って.....パステトも来てるから貴方からきいてみなさい」
パステトは豊穣と多産の神である。たしかに、この不可思議な出来事の説明をするにはもっとも適任と思われた。
「つまり、レタスにホルスの精液をかけてセトが食べたら妊娠してしまった、という事ね。そのレタス、セトが好きだからってセトの宮殿の庭にいっぱい植えてあるやつよね?そのレタスが最近催眠・催淫効果があるって有名で、媚薬のような扱いをされているのは知っているわよね。セトは生まれながら性欲を異常に刺激し、生殖能力を最大化する特別な能力があるわ。日々セトの近くで育ったレタスは貴方のその力を浴びて少しずつその生態を変化させたからではないかと思うの。植物は強く、環境の力を受けるから」
「「「......」」」
これには一同、押し黙るしかなかった....。恐るべし、性欲の神....!!
「貴方がバラバラにして殺して今は冥王になってるオシリス....の、不審な死に方。今ここで詳しくは聞かないけど彼も貴方に夢中だったわよね。とにかく、こうなったからには無事に出産できるよう、みんなで見守るしかないわ。オシリスにはこの事、絶対に秘密にしておいた方がいいわね」
その時、控えめに扉がノックする音がし、従者が恐る恐る顔を出した。
「お話中、失礼いたします。....冥王となられたオシリス様が、傀儡を使ってこちらにいらしておりますがお会いになりますか」
「「「「絶対にいれてはならぬ!!」」」
あれ?やっぱり漫画の話、してない....つもりなのに何故かネタバレ気味なんだがー!
さらにはセトと習合される事もあるミンはファルスの象徴なんだと。ワォ❣️とりあえず言いたい事としては、"性欲の神"って凄いパワーワードよね?!
⚠️この話はエジプト第19王朝時代に書かれた「ベッティ・パピルス」(銅山王 Alfred Chester-Beatty 所有の古代エジプトパピルスコレクション)に記された神話を元にしています。上記の創作はあくまで創作です。話の辻褄を考えて繋ぎ合わせた創作ですので、詳しい神話の内容はご自分で確認してください。また漫画『ENNEAD』のイメージを多大に受けておりますので、完全なオリジナルというより、二次創作とお考えください。
という事で、今夜の夕飯に新鮮なレタスはいかがでしょうか?☺️