おんべの後、天気も良かったのでこのところ出来ていなかった散歩を兼ねての里山探訪。

ストレスがかなり溜まっており、体調に変調が出ているもので…

龍江大井沿いに設けられた管理道である市道沿いに歩く。

恐ろしい事に右側の山腹に自生したフジが道を挟んで反対側にあるヒノキに撒きついている。

おそらく数年後にはヒノキは引き倒されてしまうだろう。

 

 

市道から川沿いに上ると新たな崩壊地。

ここでもフジがヒノキに撒きついている。

 

野良仕事に山に入る人がいた頃は、播きつかれた木は締め付けられて生育に支障が出ると同時に変形が生じるため、他人の山であって播きつこうとするツル植物は切っていた。

だが、そんな人はもはや絶えた…

 

山腹に残るこの道も、車が登場するまでは長く幹線道路として船渡~高森山~尾科の集落を結んでいた。

今や車道で途切れ歩く人もなく、後から侵入してきたモウソウチクに覆われようとしている。

 

右側のヒノキも植えたまま全く間伐もされてえいない。

歩かれない古道には分厚く落ち葉が積もっている。

 

そんな道沿いに新たな発見

斜面に面して獣が開けた巣穴が二つ。

 

おそらくキツネかと思われるが、もしかするとアナグマかも。

掻きだされた土の状態からしても、最近掘られたものかと。

センサーカメラ買って、主を確かめねば…

 

最初この道はてっきり林業用の作業道かと思っていたが、伊那民俗学研究所での実践講座にて行った聞き書き調査にて、ここが古道であることが判った。

 

 

思い込みはいかぬ。

書物や資料を調べ、現地を歩き、その場所に暮らし使われた方から聴いて初めて判る事が多い。

 

この道は我が家の先祖達も行き来した道。この先には谷あいに開墾した水田の通称「山田」があり、前の東京オリンピックの頃まで歩いて耕作に通っていたとの事。

 

ここは10年程前に古道の路肩から下の休耕地まで山腹が崩落した場所。当初は土砂がむき出しでどうなるかと思ったが、積もる落ち葉やそれを分解してできた薄い土壌の上に、周囲から飛んできたり落ちた実から発芽した木々が覆い始めた。

 

 

おそらくだが、以前はもっと木々を必要とし、伐る事が多かった頃には土砂崩れなどの災害が多発したのだろう。

この山腹は保安林に指定され、所々に山腹の崩落を止めるための石積みが残っている。

 

 

もはや痕跡に近くはなっているが

いたるところにビニールに覆われていた

 

朽ちたアカマツの丸太だったものが散見される

 

小動物に糞をひられている青い容器は、そのアカマツを燻蒸処理した際の薬液の容器。落葉期になるといたる所にこの青い容器が見える

 

かつてここには沢山のアカマツが生えていた。

風化した花崗岩の山腹は高い頻度で木が切られていたため、痩せ山腹が崩れる事が多く、自然に生えたのか植えたのか判らないが先駆種のアカマツが占める植生だった。

 

しかし昭和50年代以降、アカマツが成長し他の広葉樹も周囲に育つようになった頃、

丁度蔓延した松くい虫(マツノザイゼンチュウ)による松枯れにて多くが枯れ、拡大防止のために被害木がこうして処理されてきたが…

 

今や残した筈のアカマツはスッカリ絶え

 

コナラを中心とする落葉広葉樹へと置き換わった

 

だが、その落葉広葉樹の合間にも実生から育ったヒノキが生えてきており、針交混交林のような様になりつつある。

 

特に人間の手が加わった訳ではない

自然とアカマツから落葉広葉樹と針葉樹が混ざるという樹種が置き換わっていく「遷移」が見られている。

 

降り積もる落ち葉や枝が痩せて乏しかった土壌を豊かにし、様々な樹種が生える場所へと変わっている。

 

そんな場所だからこそ

生える植物やその植物を餌とする動物も住む事ができる。

 

これはタヌキの溜め糞だが

この時期はどんぐりや柿の種が混ざっている事が解る。

 

他にも

枯れ木を分解する碧い「ロクショウグサレキン」や

 

白い菌など様々な菌類も見られる

 

どうしても植生が乏しくなる

ヒノキの人工林もあるが、そういった場所は元々畑をして使われていた谷間に存在しており、この辺りの山腹には少ない

 

頑張っていたアカマツも

力尽き倒れるものが多くなっており、あと10年もするとほとんどなくなってしまうのではないかと。

 

変わったところでは

道沿いの広葉樹に駆け上がるツルの先に…

 

何故かキウイ。サルナシの大きいのじゃない。

 

何故なら

道下には元の株がどこから判らくなった果樹のキウイ。

かろうじて支柱が見える事で元々は植えられた事が判別できる。

 

古道は新たにできた

三遠南信自動車道で分断され、橋で渡る。

 

歩きながら、道側の樹に実っていたキウイを

 

パクリ。熟れすぎてというか、凍結と融解を繰り返しててぐじゅぐじゅだったけれど、ヒンヤリして美味しい。

 

植えられたヒノキの人工林の中は

とにかく植生が単調…間伐があまりなされていないのもあるのだろうが、土砂流出が進んでしまうという点でもあまり思わしくない。

 

ひときわ大きな

山腹工が見えてくると

 

その先にこの日の折り返し地点と決めた「高森山」への入口となる鳥居が見えてくる。