小笠原の課題
タコノキの葉っぱに一匹のトカゲが休んでいました。
この子はグリーンアノールという北米から中米が原産のトカゲ。
つまり元々小笠原には存在しない、いわゆる外来生物です。
おそらく、戦後に運搬された物資に混入していたり、
ペットとして飼われていたものが遺棄されたり、脱走したりした個体が繁殖していったと考えられています。
とても可愛らしい顔をしていますが、実はこの子、小笠原では少々困りもの。
どういうことかと言うと、グリーンアノールの大好物は昆虫類で、
困ったことに小笠原にしかいないような虫も食べてしまいます。
そこで、父島ではこのグリーンアノールを減らす活動を精力的に行っているのですが、
数が増えすぎてしまっている現在の状況ではまだ劇的な改善には至っていません。
とは言っても、もともとはグリーンアノールを父島に持ち込んだ人間に責任があり、
この子からすれば、半ば強制的に連れてこられた環境にうまく適応したに過ぎません。
父島では困りもの扱いのグリーンアノールですが、
とてもかわいらしい顔をしていて綺麗なトカゲなので、
できれば父島ではなく原産国で出会いたかった動物です。
金原

