三つ子の魂百まで | 小笠原のエコツアー

三つ子の魂百まで

ずいぶん、ご無沙汰のたけざわです。

ブログは基本的に新人スタッフたちの勉強の場と考えているため、たま~にしか登場できないんです。

最近はFacebookを始めた事もあり、小学校の友人など懐かしい人々との再会が多々ありました。

みんなの興味は何と言っても同級生が世界自然遺産に登録された小笠原に住んでいたという事。

ツアーの最中の風景などリアルタイムで更新するため、仕事の合間に綺麗な景色に癒されるそうです。


さて先月は内地に行く機会があり、ぜひ、久しぶりに行きたい場所があってドライブがてら行ってきました。

小笠原のエコツアー
中央本線の南アルプスの麓の日野春駅です。小中学生のころ、頻繁に訪れた場所です。新宿発の最終電車に乗ると翌朝4時半頃に到着する子供にとっては遠い場所。そんな場所に伸ばすと7メートルにもなる虫網を持ってよく昆虫採集に行っていたんですね。道具はすべて研究者たちが使うのと同じ本格仕様のもの。お小遣いやらなにやらすべてそこにつぎ込んで手に入れた宝物でした。

なぜか内地に来て暇な時間を見つけるとフラッと当時のフィールドに遊びに行きます。目的もないんですが、原点に戻れる場所なのか・・・

さてそのフィールドの中で特に印象に残っている一本の木があるのでそこまで車で行ってみました。当時は歩くかうまくすればヒッチハイクで移動していましたが距離を測ってみるとなんと片道4キロ!その頃は一日に何往復も歩き回っていました!不思議なことに軽く20年以上経っているのに樹の生えている間隔や順番まで思い出せるから不思議です。その一本がこれ。


小笠原のエコツアー
クヌギの台木と呼ばれる大きな木です。昔、炭を焼いたりシイタケのほだ木を作るために木の上部だけを切りそこから何度も再生させた木なんですが、その巨木には不思議なほど縁がありました。

初めてオオクワガタを捕まえたのもこの木。日本の国蝶でありこの日野春と言う駅を有名にさせたオオムラサキと言うチョウがいるのですが、その雌雄篏合体と言う一匹の体に真っ二つに♂と♀が存在するその後、図鑑にも乗っかった個体を捕まえたのもここでした。

真っ暗な時間からこの木の根元を友達と陣取ってくだらない話をしたりしたのがつい先日の事のような気がします。遠く小笠原に住み、ガイドをしていますが、たまに自分の原点を感じに来るのもいいものです。

損得抜きに好きと言えるもの。善悪抜きに好きなもの。

生きているチョウを捕まえ標本にする行為は否定されることも多く、自然保護者から目の敵にされることも多かったですが、20年以上も経っても一本の木の存在を覚え愛でる気持ちがあるというのは改めて、考えさせられるものでした。


その後も寒空の枯草のフィールドを歩いていると、小笠原の固有種のムニンエノキの近い種類でエノキの葉っぱが落ちていました。枯葉の主を探すと近くの笹の中にひょろっと生えていました。その根元の枯葉をひっくり返すと霜に触れながらもじっと春を待つ生命の姿がありました。
小笠原のエコツアー
越冬中の日本の国蝶オオムラサキの幼虫です。

今はその存在を見るだけで採りたいとも思いませんが、その存在はほっとさせてくれるものです。

今では町をあげて採集禁止にして「オオムラサキセンター」のような箱モノを作っているようですが、もっと自然を身近に感じさせてあげる方が大きな意味で自然の意義を考えさえる世の中になるんじゃないかなぁ?

なーんて大きなことを考えてみました。

小さな時の気持ちの延長上でガイドと言う仕事ができるのが一番の誇りだと実感する内地休暇でした。


たけ


小笠原エコツーリズムリゾート