私が成人したばかりの頃、服の着こなしは自信ないし、流行追っかけるのも嫌!それでも何か自分を表現出来るものが欲しい。そう思っていた。
当時、内勤だったから計り売りのお店で少量香水買って、とっかえひっかえ楽しんでいたのだけれど飲食の仕事するようになって離れているうちに、お気に入りのいくつかが廃盤になってしまっていた。
オンブルブルー。アマリージュ。一時期はクリニークが再販するまでケーレックスも市場から消えて何で廃盤にするんだ!と悲しかった。
ところが、20年前の瓶を大事に手元に置いている人がフリマアプリに出しておられるのを発見。
ミニチュア瓶でなんでも千趣会で扱っていた時のをしまいこんでいたのだとか。
これは香りが変質していても瓶だけでも欲しい!
取り引き成立で手元にやって来た香水。
「意外と大丈夫。そうそうこの香りよ」
フルーツと白い花のうんと甘い香りが好きなのは昔から変わらない。これは手元にあるうちに似た要素があって好きになれる新しい香りを見つけておかねば!
他にも昔では考えられない良心的価格で、名香が出品されていて、アンジェリーク、アザロ9、レールデュタンもお迎えしてしまった。
羊たちの沈黙でジョディフォスター演じるヒロインクラリスの愛用品レールデュタン。清楚で控えめで子供っぽくは無く上品。これは今もスタンダードで売り上げ好調な香り。
レールデュタンは叔母がプレゼントしてくれたことあったっけ?流石の接客業で若い娘に接する機会の多かった人だけに20代前半の娘には万人受けする品のある物をというチョイスはバッチリだったと思う。ただ、当時の私。背伸びしたくて、香水つけるんならザ、香水って感じで石鹸やシャンプーモドキなのは嫌だと拒否してお蔵入りしたんだった。(一応おばちゃんありがとうってニッコリお礼は言ったけど)
年と共に万人受けは支持する人が多くて好感度が高いもの。良いものは良いし、意地張って逆張りしなくても良いんだ。
そう思えたら、昔あんなに拒否していた石鹸シャンプー系の香りの良さを認める事ができた。
多分人となりが丸くなったと言われたらそうなんだろうし、自分はちゃんと受け入れられて愛されている。そう思って良い物の良さを受け入れられるようになったと思う。
最近では未だ健在なシーケーワン。一周回って、良い香りだなと思えるようになった。
最後に動物愛護団体の人に怒られそうな事を一つ。
大阪湾にクジラが迷い込んで亡くなった時、可哀想は可哀想なのだけど、亡骸からアンバーグリス採れないかなぁ?大阪なら資生堂もあるし、資生堂のスタッフさんが取り出して有効活用したら香水作れそうだなぁ。と不謹慎な事思っていた事を白状します。
古のヨーロッパの海で、クジラの亡骸からアンバーグリス手に入った人は、一攫千金なんて聞いた事あるし、今も貴重で高価な香水の材料であり漢方薬の材料にもなると聞くからつい考えてしまう。
香水が廃盤になる理由は材料が揃わなくなるからだから、お願いだから好きな香りの材料が無くならないで欲しい。私の切実な願いであり、全世界の香水愛好者総意だと思います。