㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。
ご注意ください。
白い体が白い練り絹の寝衣の間から顔を出す。初めて唇をあわせた花嫁は、白い肌を徐々に紅に染めていく。
インジョンの鐘が鳴った。このまま飲み明かそうか、とヨンハはソンジュンに笑いかけた。
「・・・父だってあの時・・・あの時奇禍にあったキム家の娘ごを保護する、という道があったはずです・・・。派閥の者がやらかした失態を救う前に、被害に遭われた一家を救うべきだったのは父のはずです。」
ヨンハがソンジュンを連れ込んだのは、泊ることもできる部屋がある店だった。他の部屋からもだみ声が聞こえてくる。安直だが、様子のおかしいソンジュンを連れ込むにはちょうど良かった。ソンジュンやヨンハのことを知らない階層の男たちが飲む店だ。ヨンハは静かに頷いて、酒を注いでやった。
酒に酔っていても、初夜への興奮に酔っていても、優しくしてやれると思っていた。正直、ジェシンだってまぐわうのは初めてだ。荒れた時期に博打場や酒場でたむろしていても、女に走る事はなかった。若いから、ヨンハの部屋にある艶本はよく勝手に読んだし、多少興奮もした。だが、生身の女には視線もいかなかった。ジェシンにとって女はユニだけだったから。ずっと、ずっと。寝衣の前を開いて見えた白い肌に紅が広がっていく。思わず凝視し、そして顔を首筋に埋めた。もうユニはいっぱいいっぱいのようで、浅い息遣いが薄い肌を震わせている。ああ、熱いな、と呟きながら、ジェシンはユニのソッパジの紐を、音高く立てて解いた。
「何が正しい道なのか、後になって分かると言います。父はその時の対処によって、大層派閥の中での立場を上げたと聞きました・・・四方八方を丸く収めた、と。上がった立場は徐々に役職も上げたのでしょう。父にとって、あのときの対処は正しい選択だったと言えるのかもしれません。けれど、例えば俺にとっては?ハ大監の子息、西掌義にとっては?救う者の順番を間違えたばかりに、目の前から大事なものが去って行くことになった自分たちの子どもに対して、それは正しい選択だったのでしょうか。」
そうだなあ、カラン。ハ・インスも、もう少し父親の勢力が小さかったら、あいつの出世欲は変わらないかもしれないが、あんな非人道的な態度をとることにはならなかったかもな。弱者の事が分かるはずだから。お前も・・・いいたいことは分かるぜ、もしキム家を救う方をお前の親父殿が優先していたら、ユニ殿と出会っていたのはお前かもしれない、そう言いたいんだろ。そう返してやるヨンハの言葉を、ソンジュンは聞いてはいるようだが、自らの考えに陥ってもいるようだった。
ユニの体はやわらかく、細いのに薄く柔らかな弾力があることをジェシンは掌で、素肌同士を触れ合わせて、確かめていた。けれど、と掴んだ乳房は張り詰めていて、青い実を思わせる。あ、と小さな声が上がって、ジェシンは慌てて手を離した。痛かったか、と囁くと、ううん、と首が振られる。言葉はもう出せなくなっているらしい。それをいいことに、ジェシンはもう一度乳房を掴んだ。やわらかく、そして時にきつく。青い実が熟するのは自分の手の中で、そう思うと、腹の底が沸騰するほど興奮が湧いてきて、思わずその先端にむしゃぶりついた。
「・・・もし、コロ先輩と同じように、キム・ユンシクの姉上と俺が・・・まるで家族のように育ったら・・・勿論この場合、俺が弟になるんでしょうが、姉弟として育ったら・・・。」
そうだな、だがな、今のユニ殿があるのは、ムン家で育ったからかもしれないんだ。元からのお美しさやかわいらしさ、頭も良いと聞いているが、そんな素養はあっただろうが・・・そりゃテムルと血がつながっているんだ、似てるよなそんなところは・・・コロのご両親が心の底からユニ殿を慈しんだからこそでもあるんだ。お前がお会いしたのは、完成品のユニ殿なんだぞ。
「分かっています・・・それでも・・・もしもを思うんです。その時の父を・・・恨んでしまいそうだ・・・。」
部屋の中はユニの短い息遣いと、衣擦れの音に満ちていた。濃密に籠る二人の香りがまじりあう。酒の酔いも、初夜の興奮も抑制できると思っていた。ジェシンは、自分がただの男でしかなかったと自覚した瞬間に、ちょっとしたそんな気持ちは放り出してしまった。唇が這った先、そこに軽く口づけをすると、ジェシンは自分のソッパジの紐を雑に解いた。もうこのソッパジは捨てさせよう。みっともなくも湿って、ユニに誘われるままに猛って。
「・・・今夜花婿だったのは俺じゃなかったのか、って。」
小さな悲鳴がユニの唇からこぼれた。けれど引き返してやれない。ジェシンは腰を進めながら、ユニをしっかりと抱きしめた。