極秘でおねがいします 閑話の5  | それからの成均館

それからの成均館

『成均館スキャンダル』の二次小説です。ブログ主はコロ応援隊隊員ですので多少の贔屓はご容赦下さいませ。

㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。

  ご注意ください。

 

 

 とりあえず持っていた酒を飲み干し、お代わりを注文して新たに飲み始めると、がぜん興味が湧くのはベイビーちゃんとムン編集者のことだ。いつの間にできてたんだ、まあ途中からは気づいたけれど、初めて会った時は違ったよな?!

 

 はあそうですねその時はまだでした、と仏頂面で白状するムン編集者だが、ちょっとばかり口がムズムズしているの、分かるんだよお前、照れてんのか話したいのかどっちだ。

 

 「一年ぐらい?」

 

 「まだ一年にはならないです。」

 

 「あらそう。あんまり仲がいいから、もう夫婦みたいよね。」

 

 からからと笑ってノンアルのビールをがぶがぶ飲んでいる前編集者は、旦那と義母に預けてきている双子ちゃんは母乳は端から諦めてミルク100パーらしいので、今日は帰宅が遅くても大丈夫らしい。夫婦で協力して子育てしているらしいが、流石に双子の赤ん坊を連れて外食ってのは面倒で避けてるし、置いていくわけにもいかないから、と気兼ねなく飲み食いできるのがうれしいと笑っている。

 

 ベイビーちゃんに惚れない方が難しいよな、と俺が水を向けると、前編集者は深く頷き、ムン編集者は顔をしかめた。そりゃあんな可愛い素直な子、好きにならないわけがない。

 

 「だから私の妊娠がはっきりしたとき、すぐに後任に悩んだんですよ。なかなか決められなくって、先生は手間のかからないいい作家さんだから、産休でも育休中でも私が連絡なんかの作業はすればいいか、なんて思ったりもして。そんな時に社員の移動があったんですよ、私の休暇時期申請も含めて。で、移動してくる新編集者にムン君がいて。編集長も流石に休暇中の者に働かせるわけにはいかないからって、最悪編集長が担当することを密約してから、先生に直接指名していただくことにしたんです。ムン君の出身大学は把握していたけど、年齢も違うし、流石に先生とお知り合いとは思わなかったわ。」

 

 へえ、そんな背景があったのか。だがムン編集者はベイビーちゃんのご指名なのか、すごいな。

 

 「まあ・・・全く知らない人よりは良かったんでしょう。それに俺は、先生の嫌な記憶の中に姿がない人物だけれど、その嫌な記憶自体は知っているから、説明の手間がいらないですし。」

 

 そういう気楽さはあったのかもしれねえな。

 

 「ただねえ・・・。」

 

 にやにやと笑う顔に、なんだなんだとのってやる。ここは酒の席、盛り上がっていこう!

 

 「先生と私、しょっちゅう電話もLINEもしてたんだけど、ほとんどムン君の話なのよ・・・最初は仕事に慣れないだろうから、先生からはっきりと要求することはしなさいね、っていう心配だったんだけど、先生ったら、『先輩は何でも大丈夫です。今日もドラマのスケジュールや権利関係を纏めてくださってました~』とか、『本をぎっしり詰めた箱、軽々と持つんですよ、男の人の腕ってすごく筋肉がよくわかるんです、格好良かった~』とか。何なの上半身裸で力仕事したの?」

 

 「え?!なんだその話?!サイン本の時のことか?ワイシャツの袖めくってただけですって!」

 

 「なんだなんだ俺に喧嘩売ってんのかムンさん、俺の腹の肉に謝れ!」

 

 「いや、あんたは体絞れよ・・・。」

 

 「そうよそうよ、私のわき腹の肉に謝れ~!」

 

 「あんたは双子のためにダイエットはしないで体力温存してください・・・。」

 

 それでベイビーちゃんのどこが好きなのか教えろよ。

 

 「それで先生のどこが好きなの、お姉さんに言ってごらん。」

 

 ウザがらみする年上二人に困り果てたムン編集者が面白い。仏頂面も効かない相手だよ俺たちは。恋人に甘々な男なんて怖くもなんともない。

 

 別嬪な顔はもちろん好き。外見で言うなら欠点なんかないけれど、中でも一番気に入っているのはあのきれいな黒髪だそうだ。つやつやで真っ黒で、そしていい匂いがする・・・ってどんだけ顔近づけてんだこの野郎。内面は、一人で丁寧に暮らしているその実直な真面目さもいいし、人に優しい温かな気持ちを持っている人なのがいい、という。そりゃいい着眼点だ。勿論作家としての素晴らしい才能も尊敬できる。そうともそうとも。悪意に晒され、家族とも距離を置いてしまったが、それでも一人で踏ん張って生きている強さにも驚いたが、そこにいくつもの助けがあったことを感謝している素直さがいい。そうか。やっぱりベイビーちゃんは良い子だなあ・・・。

 

 大層なのろけをありがとう。ベイビーちゃん、ものすごく愛されてるなあ、よかったなあベイビーちゃん。

 

 

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