㊟フォロワー様500名記念リクエスト。
成均館スキャンダルの登場人物による現代パラレル。
ご注意ください。
ソンジュンはその次に会った時、またその次の時も、徐々に聞いて行った。
ミニョンの将来設計は、女子高校生らしく、大学に進学し、希望の職に就き働き、幸せな家庭を築き、子供はできれば二人ぐらい。ミニョンは経済的に困ったことがないから、自分の人生においてお金の心配が全く入っていないのがまだ子供である証拠の様ではあったが、それでも少しは考えていたようだった。
ジェシン達ミニョンの両親は、大学までの教育費は親が必ず出すと常々言っているので、それは結婚したうえで進学してもそうしてもらえるようお願いする、と言った。イ家には迷惑はかけない、と。ただ、学生に生活費は稼げないから、それは夫に協力してもらうしかないこと、などはうっすらと考えていることは分かった。けれど漠然としたものだ。そこは少女だった、やはり。けれど当たり前のことで、そこを大人にならなければならないとは言いたくなかった。甘いのだ、結局、ソンジュンはミニョンに関しては。可愛い、何の心配も不安も持たない、無邪気で幸せな女の子として育ってほしい、と思い続けて、それはこんな話をする羽目になったって消えるものではないのだ。
住むのは二人きりでもいいけれど、おうちのことを上手にできないだろうから、ソンジュンの両親と同居がいいと思う、私のおうちもハラボジハルモ二が一緒に住んでいる楽しいおうちだから、とミニョンが言ったとソンジュンから聞いたときは、ジェシンは泣きそうになった。ユニさんのおかげですね、と付け加えられた時は言葉も出なかった。ミニョンは、自分の育った家庭を全肯定してくれているのだ、それが本当にうれしかった父ジェシン。だが、そうかそうかと喜んでいる場合ではなかった。高校生の娘が、勝手に伴侶を決めて巣立とうとしているうえに、相手は自分とほぼ同じ年の男なのだ。どんなに信頼し、どんなに仲が良好で、素晴らしい男だと知っていても、28歳の年の差は、親としてはうんと頷くのはしんどい。
「シュミレーションもしました。ミニョンちゃんが18歳の時、俺は46歳。ミニョンちゃんが就職するだろう23歳の時、俺は51歳、という風に・・・。俺が70歳になっても、ミニョンちゃんはたかだか42歳なんですよ、今の俺より若い・・・。こっちが落ち込みました。」
気にしているのはジェシンだけじゃない。当人が一番引っかかっているのだ。だよな、と力なくうなずくジェシンに、ソンジュンはため息をついて言うのだ。
「ママぐらいの年の時、ジュンアジョシが70歳?!じゃあアジョシ、全然元気だわ!」
ありがたいことに、ミニョンにとって祖父であるジェシンの父も、同年代のソンジュンの父も大変に元気なのだ。流石に70代後半ではあるが。同年代の老人に比べれば、格段に姿勢もよく、いつもきちんとした格好をしていて、そして正直まだ現役に近い。元の仕事は二人とも引退しているが、未だに相談役のような肩書を貰って活動しているぐらいだから。
「それに・・・恐ろしいことを一つ、ほんのこの間・・・聞いたので・・・コロ先輩にお話する決心がついたというか・・・。」
これ以上何がだよ、とジェシンは髪をかきまぜた。相変わらずの短髪だから、つんつんと立ってしまう。だが、本人もそれを見ているはずのソンジュンもそれに構っている場合ではなかったのだ、話の内容的に。
「娘が親と同じ年頃の男と結婚すると勝手に決めている以上に恐ろしい話があるっていうのかよ・・・。」
「はあ・・・コメントは差し控えます、当事者なので。ですが、親、というよりコロ先輩にとって恐ろしい話なんじゃないかと。」
何なんだよ、と座った目で見てくるジェシンに、ソンジュンは肩も眉も下げて、最後には頭も下げた。
「ミニョンちゃんは・・・俺とのことを・・・ユニさんと、それからハルモ二たち・・・つまり先輩のお母様とユニさんのお母様に・・・相談済み、なんだそうですよ・・・。」
知らないのは男たちばかり、ということです、というソンジュンのさがった頭のつむじをにらみつけて、ジェシンはさらに髪をかきまぜた。