㊟完全なお遊びです。
苦手な方、お嫌いな方は回れ右してください。
「いや~!驚いたよ!
あまり家にいない儂が
た・ま・た・ま休日の時に、二歩!
二歩歩いたんだよ!
感激だったねえ!」
父さん。
あなた、そんなキャラでしたか?
「二歩どころか、
玄関先でよちよちと出迎えてくれたのには
驚きましたよ!」
ヨリム先輩・・・
話し相手をして下さるのは
大変ありがたいんですが、
調子に乗らせないで下さいね。
先輩、得意でしょ、おだてるの。
「なんだかひよこみたいだね~、
コロ先輩の後ばっかり追ってる。」
笑うなよユンシク。
しかしユチョンはコロ先輩が好きだね。
ソファの座る場所を何度替えても、
よちよちと寄っていくんだから。
ああ、先輩苦笑してるよ。
「おら、ちょっとじっとしろ・・・抱いてやるから!
なんだ?このリンゴが欲しいのか?
囓れるのか?!」
囓るのは下手かもしれません、コロ先輩。
まだミルクも併用して飲んでますから。。
リンゴも一口サイズです。
たぶん歯形が付くぐらいかと。
「まあ!お洋服によだれが着いちゃいます!
ユチョナ?ママのところにおいで?」
ユチョンが一歳を迎えた。
皆に知らせて、休みの取れそうな今日、
誕生パーティをしている。
忙しいのはヨリム先輩とユンシクだ。
普段できない視察なんかを土日に入れるらしく、
休みは不定期だとユンシクは笑っていた。
「でもね、僕は秘書の代わりがいるじゃない?
三人も秘書が就いてるからね。
休みだって取れるよ。
でもさあ・・・
ク・ヨンハっていう専務は
一人しかいないんだよね。」
そう言いながらも
今日の午後、空けてくれた二人。
俺はいつでもいいぜ、と
返事は無愛想なくせに
一番に都合をつけてくれたコロ先輩。
ユニに声をかけられると、
かみかみしていたリンゴをペ、と出して
放り投げ、
ユチョンはユニのところへ行こうと
ジェシンの膝の上でばたばたと暴れた。
「おお、おお・・・。
やっぱりオンマがいいのかね・・・。
ほら、あんよして行きなさい。」
暴れるユチョンを
面白がって離さなかったジェシンも、
さすがにソンジュンの父がそう言いながら
近づいてくると
苦笑してユチョンを床に立たせた。
ユチョンはロウテーブルに手をついて
よちよちと伝い歩きで進み、
ダイニングの方から見ているユニに向かって
えっちらおっちらと歩き始めている。
「ユチョナ~!あんよが上手ね~。
もう少し、もう少しよ!
ふふ・・・あんよが速くなったわね!」
ああ・・・ユニ・・・。
ユニが言うとかわいいんだが、
それは伝染するんだ・・・。
特に父さんと、俺に・・・。
父さんはすでに1回晒しているが、
このままだと・・・
「おお!ユチョン!
そんなにあんよが速くなったのか?!
何かご褒美がいるとは思わないかね、
ヨンハ君、ジェシン君?!」
「えらいですね、ソンジュン君に似て、
努力家なんでしょう!
しかし、あ・ん・よはこれから毎日進化しますよ!
もう少し距離を伸ばしてからでも
ご褒美は遅くないと思います!」
「少し見ない間に、
あ・ん・よができるようになるなんて・・・
もう少しまめに会いに来るべきですね。」
ほら見ろ、
先輩達面白がって
強調しながら話に乗ってるじゃないか・・・。
って、父さん?
ちっとも気づいてないんだね、からかわれてるって?!
ああ、ユンシク笑うなよ。
あんよが上手、なんて言い方が似合うのは、
ユニたちオンマと、女性と、
ユンシクぐらいのもんだよ!
「姉さんのご馳走の準備の邪魔だね。
今日プレゼントに持ってきた絵本でも
読んであげよっかな?!」
ユニにようやく到着したユチョンを
ユンシクはさっさと引きはがして抱き上げた。
ユチョンはきょとんとしてから
ユニの方を思いっきり振り向いたが、
ユニは頬をつんつんとつつくと、
言いこね~、といいながら、
またテーブルの上に意識を戻していった。
ユチョンはユンシクが好きだよな・・・。
ほら、もういい子で抱かれている。
だから父さん、
もうたしなめる言葉が分かるなんて、って
どうしてそういうことになるんですか。
ユチョンはユンシクが大好きだから
くっついているだけですって!
はあ、とった講義、毎回レポートって何?
今日から一週間は大変だ・・・?
イ助教授だ~。
また電話してるよ。
「いつの間に写メ取ってたんですか?
ええ?父の声が入っている?
あの孫自慢の赤ちゃん自慢の
いきなり残念になったうちの父の声ですか?!」
あれ?なんだか助教授、
がっくりとしながら歩いて行ったよ~?
彼には、彼の心の中、そして
初孫に狂喜する彼の父親の気持ちを理解するのに、
人生経験など、
ないに等しいのだった。