ROSE~春への準備 その17 ヨリユニパラレル~ | それからの成均館

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『成均館スキャンダル』の二次小説です。ブログ主はコロ応援隊隊員ですので多少の贔屓はご容赦下さいませ。

㊟成均館スキャンダルのパラレルです。
  本筋とは全く関係ありません。

 
 ミュージカルは金曜の晩。
 実はユニの誕生祝も兼ねていた。

 ユンシクも一緒に祝うのは
 土曜日にしようと約束をしている。
 ユニには内緒のこと。
 ただ、その前に、二人で祝いたかった。

 誕生日当日ではない。
 あおうと思えば会えるが、
 そこは電話をしておめでとうと伝えただけ。
 お祝いはミュージカルを見に行く日に
 盛大にするから、と笑うヨンハに、
 普通でいいの!とユニが焦っていたのも
 かわいかった。

 幼稚園まで迎えに行きたかったが、
 ユニが恥ずかしがるので、途中のバス停で
 降りてもらって、トックに拾わせた。
 そこから真っ直ぐにヨンハのマンションへ行き、
 春らしい薄緑のワンピースに着替えたユニ。

 パーティじゃないから、と
 ユニは髪も自分で上げた。
 といってもお団子にしただけ。
 花飾りのついたピンをあちこちに挿すと、
 簡単だが、かわいい髪型になった。

 5分袖のワンピースの上に、
 ふわっと大判のカシミヤのショールを纏わせると、
 ヨンハはユニを抱きよせた。
 ユニは静かにヨンハに抱かれて、
 今日はありがとう、と小さく礼を言っている。

 「お楽しみはこれからだよ!
  本当に楽しかったら、違うお礼を頂戴、ユニさん?!」

 からかうように言うヨンハに、
 ユニは困ったように微笑んだ。

 今日の席は一番いい席。
 二階席まである大ホールの二階最前列。
 開演10分前に、ヨンハはユニを連れて
 席に滑り込んだ。

 可憐な歌姫と、古い劇場に住み着いている 
 男の悲恋が題材の物。
 本当はハッピーエンドなものにしたかったのだが、
 このミュージカルもめったに上演されないので、
 ユニは題名を聞いたときにとても喜び、
 ヨンハはこれでよかったと安心している。

 途中でインターミッションが入るほどの長編。
 そのインタミの間も、ユニは放心状態だった。
 そして物語が進むにつれて、
 ヨンハが握ってやっていた手に力が入り
 震えはじめる。

 肩を抱いた。
 手を握り替えて。
 時々大きく吐く息使いが浅くなったと思ったら、
 ユニは涙を零していた。

 アンコールを求めるほどの拍手の中。
 カーテンコールに応えたキャストに
 ちぎれるほど手を叩いたユニ。
 すると、キャーッという歓声が
 一階の客席から起った。

 何事かと見ると、端の方から
 舞台上のキャストが客席に降りていっている。
 興奮した観客とタッチしながら数名ずつ通路を分かれて
 歩き出した。

 さすがに主役は袖の方へ入っていった。
 こんな趣向があるなら
 一階のSS席にしとけばよかった、と
 ヨンハが思った時。

 後ろから歓声が沸き起こった。
 振り向くと、主演の男女の俳優が、
 スポットライトを浴びて通路を降りてくる。

 一階の客席からも歓声が起こっている。
 皆二階の主役二人に釘付けだった。

 そしてゆっくりと降りてきた俳優たちは、
 最前列席前の少し広い通路をゆっくりと
 中央まで両脇から歩み寄り、
 一階の観客たちに手を振り応えた後、
 ヨンハとユニへ向かい合った。

 歌姫を演じた金髪の女優は
 ヨンハの前でドレスの裾を摘んで
 優雅に会釈をし、
 ユニの前に立った、仮面をつけた俳優は、
 ダンスでも申し込むような紳士的な態度で
 少しかがんでユニの手を取り、
 その甲に挨拶のキスを贈った。

 そして、その手は
 そのままヨンハの手の中に
 預けられたのだ。

 驚きの中で呆然とするユニとヨンハにも
 拍手が贈られる。
 いたずらっぽく微笑んだ俳優は、
 自分のパートナーの女優の手を取ると
 四方八方に手を振り、
 ヨンハにウインクを一つ残して、
 軽やかに観客席から
 走り去ったのだった。

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