㊟成均館スキャンダルの登場人物による現代パラレル。
ご注意ください。
「俺さ、コロの親友やってるんだけど、久しぶりに会ったんだよ。こう見えて結構忙しい男だからさ。彼女ができたってのも、教えてくれなかったんだぜ~。親友の事を人から聞くのってショックなんだよねえ。わかってる?コロ?」
「てめえのその思考は一生分らねえ。」
俺の何が知りたいんだ、と思い切りうげえ、とでも言いそうな表情をされたのにも関わらず、全く気にしないでヨンハはのたまう。
「でさ、親友の彼女は俺にとっても大切な人になるんだから、やっぱり親睦は深めないといけないんだよね。手始めに食事なんてどう?」
ユニは目をまん丸く見開いて驚いている。ジェシンは顰めていた顔を更に深くしかめた。おいおい、可愛い彼女の前で極悪人面になってるけどいいんですか、コロさんや。
そう面白そうに見ているヨンハの前で、ユニがジェシンの方へ振り返った。ジェシンはユニの背後に、守るようにどっかと座っていたから。ふい、と振り向いたからそんな余裕はないはずなのに、とヨンハは目を剥いた。
ヨンハに向けていた、これでもかと言わんばかりの渋面が、ユニの顔が振り向き始めたとたん、すうっと引いていき、笑顔とまでは行かないが、不機嫌そうな目の光りも、眉間のしわもひん曲げた口も、すべて元通りの場所に戻り、穏やかな表情になったのだ。
「・・・でも私・・・。」
「知ってるぜ、無理なことは無理って言えばいいんだ。」
「でもジェシン先輩のお友達がせっかく・・・。」
「こいつに気遣いは全くいらねえ。」
あの、お願いがあるんですがコロさんや。
その何だか穏やかな口調、俺に使ってくれたことありましたっけ。ないですよねえ、そうですよねえ、そんな必要ないですもんねえ、でもちょっと俺はご不満なんですけどねえ、いやちょっとじゃないかなあ、といっても、今これを言ったら確実に俺を殴るよね、コロさんや。でも俺はチャレンジャーだからね、たとえ99%失敗すると分っていてもやるんですよ、俺は。あ、株の取引にはそんな危ないことはしないけどね。小遣い稼ぎと将来の俺の信用がかかってるからね。そんなこと言ったら、お前に信用があったことなどねえ、なんてコロはツンを発動するんだろうけど知ってるぜ、お前が俺の事親友だと思ってること。うんうん。いつデレてくれるんだろうねえ。ああ、でもコロは俺しか殴らないもんね。コロのデレの発露は殴ることか!痛いけど!すごく痛いんだけどそのデレ!ツンデレにもほどがある。もうちょっと違う方法はないんでしょうか、コロさんや。いやいや、今はそんなことをしてる場合じゃないんだよ、ク・ヨンハ。いいか、俺はチャレンジャーだ。目の前で繰り広げられている、あのツンデレコロの愛の劇場に突っ込みを入れなければならないんだ。俺の一生の使命じゃないか。何々?お断りしても大丈夫なの?構わねえ、遠慮はいらねえからばっさりやっちまえ。遠慮するな。ごたごた言ったら俺が殴ってやるから。殴っていいの、痛いわ?痛くねえように殴ってるから大丈夫だ。ホントに?ああ、さっきのでもすぐに復活しやがっただろ。それはそうですけど。本気で殴ったらしばらくふらふらで動けねえよ。そんな事しちゃだめよ、ジェシン先輩。しねえよ、ってか殴るのはこいつだけだから心配いらねえ。それならよかったです・・・・
えっとね、うん。チャレンジと共にここで訂正を入れときますけど?!
「よくない!よくないよね、ユニちゃん!俺だけ殴られるのって理不尽だと思うんだけど!それに、コロ!俺の事も気遣って優しくしてっ!」
やった。俺はやったよ・・・。ちゃんとお願いにもチャレンジしたし、初対面のユニちゃんにすり込まれる俺の扱いに対する間違った認識に訂正も入れた・・・。やっぱり俺はできる男だよ、ク・ヨンハ。さすがだよ。自分で自分を褒めちゃったよ。誰も褒めてくれないもんね。うんうん。その上、今から予想通りの事が絶対起るよね。
「なに気色悪ぃこと叫んでんだ、てめえは。」
うんうん。分ってたよ。やっぱりコロはこうでないとね。
「いってえ!もう、なんですぐに殴るんだよっ!」
「てめえの口に文句を言え!」
はい、これが俺とコロのお約束なんで、早く慣れてね、まん丸目のユニちゃん。