シド・バレット 独りぼっちの狂気
自分が洋楽(というかロック)を聴き始めた頃、「これは凄いに違いない」
・・・と、よくわからない中、購入したアルバムが・・・
Pink FloydのThe Dark Side Of The Moon(狂気)
当時、中学生であった自分にとってはあまりにも衝撃的でした。
・・・で、そのPink Floydのことを、色々追っていくと、そこに必ず出てくる名前が
Syd Barrett
但し彼は、既にいないメンバー
それでもこれだけ色々名前が出てくるのは、凄い人に違いない
そう、認識しました。・・・
・・・
後追いにはなりますが、Syd BarrettのアルバムThe Mad Cap Laughs
を購入
よく言っていることですが、これを聴いて、言葉とかわからないながら・・・
何か測り知れない悲しい訴えを感じたのでした。・・・
それから、月日は流れ、2002年3月、Roger Watersの日本公演
ここでプレイされた、Shine On You Crazy Diamond
スクリーンに映されたSydの画像が、どんどん大きくなっていき圧倒
ここでも、Syd Barrettの存在感の大きさを実感したのでした。・・・
その少し後くらいでしょうか・・・
DVDで、The Pink Floyd And Syd Barrett Storyがリリース
Pink Floydの映像作品
は色々ありますが、Syd Barrett
のものは無かったので、これは即購入
残念ながら、Sydに昨今の姿は出てこないのですが、David Gilmour
等、ここに
登場する人は口を揃えて、「Syd Barrettは容姿端麗なスター
であった・・・」
ということでした。・・・
タイプは違いますが、ドラッグにより、70年代後半より、隠遁生活となっていた Peter Green(2020年死去)が、90年代に復活
、日本にも2度来てくれました。
Syd Barrettにもそのようなことを期待したのですが・・・
2006年7月7日・・・
そんな願いも叶わなくなりました。・・・
さてPink Floyd関連の話題は尽きない中、久々にSyd Barrett
の名前
ドキュメンタリー映画が公開されるとのこと
タイトルは・・・
Have You Got It Yet? The Story Of Syd Barrett And Pink Floyd
邦題は、「シド・バレット 独りぼっちの狂気」
(正直、いいタイトルと思えません。(苦笑))
監督は、HipgnosisのStorm Thorgerson
でしたが・・・
彼が亡くなって、Roddy Bogawaが引き継ぎました。
前述のDVDよりコアな、そしてスケールの大きな作品になっている
これは、すぐに見に行かなければ
・・・ということで、日本公開と同時に、(その日は名古屋だったので・・・)
センチュリー・シネマに行きました。
ケンブリッジで生まれた Roger Keith Barrett
"Syd"は元々ニック・ネーム、10代の頃は、美術学校に通っていたが・・・
その後、音楽に目覚め、バンドを結成・・・
その様子が、旧友等によって語られます。
そして、Pink Floydとしてデビュー
ヴォーカル、ギター、ソングライティング担当、彼は華やかなスターに
この当時のガール・フレンドも彼が輝いていたと・・・
Arnold Layne、See Emily Play
といったヒットを放ちますが・・・
Sydは、LSD(映画では、"Acid"と言っていた・・・)に溺れていきます。
音楽活動については、盟友 Roger Waters、David Gilmour
、Nick Mason
、いわばライバルともいえるPete Townshend
、さらには、「自分がPink Floyd
を聴き始めた時、Syd
はもういなかった・・・」というBlur
のGraham Coxon
音楽以外でも、写真家 Mick Rock、ポップ・アーティスト Duggie Fields・・・
彼らの証言で、ストーリーは進行します。・・・
サポート・メンバーという形で、David Gilmour
が参加
Pink Floydは、5人で活動を・・・という形になりますが・・・
薬物の影響で、彼は付いていけなくなり、結局脱退してしまいます。・・・
ソロ・アルバムを発表後、1972年からは人前にも姿を現さなくなってしまいます。
そんな1975年、Pink Floyd、Wish You Were Here
レコーディングの場に・・・
Syd Barrett登場
短髪となり、太ったSydにメンバーは、最初気付かず・・・
一緒に演奏はしなかったとのこと、そしてその変貌ぶりにメンバーはショックを受け
涙したと言われていました。
この時のことで、Syd Barrettは、「発狂した」ような報道をされていましたが・・・
今回のRoger Waters、David Gilmour
の話ではそうでもないようです。
70年代後期以降は、ケンブリッジに戻り、いわば隠遁生活なのですが・・・
妹さんをはじめ、歴代のガール・フレンド、彼の側近の人の話では・・・
非常にいい人で、決して「狂人」のイメージではなかったようです。
復活を望みましたが・・・2006年7月7日・・・その炎は消えてしまいました。・・・
最後の方で、David Gilmourが・・・
「もっと会いに行けばよかった、お茶を一緒に飲むだけでも良かった・・・」
後悔の念も強い全くの本心でしょう。
Syd Barrettに対して、今までにない正しい認識を得られた
そんな素晴らしいドキュメンタリー作品でした。・・・
この映画を見終わって、Syd Barrett
について・・・
「特別な感性を持っていたかもしれないけど、決して狂った人ではない」
誰もがそう実感したのではと思います。
彼の最後も(要因は若い頃にあるかもしれませんが)
病死であり、決して自殺や薬物中毒死でありません。
Wish You Were Hereのレコーディング時に登場した姿の過剰な報道等・・・
妹さんも言われる通りそういったことで狂ったイメージを植え付けられてしまった・・・
それも否めないでしょう。
David Gilmourの言葉、Pink Floyd
では入れ違いのようですが・・・
Sydと1番親しかったのは彼、もしかしたら2人のコラボでSyd Barrett
復活
それも考えられたかもしれません。
・・・そうしたら、Peter Greenのように、日本にも
もしも・・・ということを言い出したらキリがありませんね。・・・
亡くなられて18年も過ぎてしまいましたが、やはり・・・
"Wish You Were Here"
それに尽きるでしょう。・・・