1982年のアルバム(その6 Tug Of War / Paul McCartney)
1987年のアルバム・シリーズ
全米最高位No.1アルバムを続けていますが・・・次は・・・
Paul McCartney
Paulとしては、定位置、全米No,1の常連・・・そう思ってしまいますが・・・
実は全米アルバム・チャート No.1は、Wings Over America以来5年半ぶり
そう、'70年代後半にかけて、Beatles関連の神通力は弱くなってきたと思います。
それが・・・
Paul自身を再び発奮させたのが、あの日本での1件・・・
そして、John Lennonの死・・・
そう思うと皮肉ですが、Paulは、初心に帰った・・・そんな気持ちもあって・・・
何と、George Martinをプロデュースに迎え、始動となりました。
あのPaulに指示できる数少ない人、Paulが頭が上がらない数少ない人
そのように言えるでしょう。(笑)
Wingsは解散・・・
ということでレコーディングに関して、奥様のLindaさん以外は、全て1人
そんなPaulですが、今回は多彩なゲスト・ミュージシャンが参加とのこと・・・
・・・で、そんな中でビッグ・ニュース
なんと、Stevie Wonderが参加
ポピュラー音楽界の2大天才が遂に競演
先ず、発表された2人の共演曲は・・・
Ebony And Ivory
「黒鍵と白鍵」 文字通り、StevieとPaulを表したようなタイトル
メロディアスな曲調で、途中軽快に、歌詞は明快な内容・・・
天才2人の歌のかけ合いで、まさに大ヒットするために生まれたようなナンバー
そして、アルバムの方、タイトルは・・・
Tug Of War
「綱引き」という意味、Stevieとの共演曲が、もう1曲と・・・
John Lennonを歌った Here Todayという曲が収録されていることも話題に
自分は、例に漏れず(笑)、日本盤LPレコード発売と同時に購入しました。
レコーディングは、1980年12月、1981年2月~12月
モントセラト島 AIR Studios、ロンドン AIR Studiosにて・・・
Paul McCartneyヴォーカル、バッキング・ヴォーカル、シンセサイザー、アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、ベース、ドラムス、アコースティック・ピアノ🎹、その他のギター、パーカッション🥁、ヴォコーダー他
バッキング・ヴォーカルは、10ccのEric Stewart、Linda McCartney
前述のStevie Wonderをはじめ楽曲ごとに豪華ミュージシャンが参加しています。
エンジニアリングは、Geoff Emerick
アシスタント・エンジニアリングは、Jon Jacobs、Mike Stavrou
マスタリングは、Alex Wharton
アレンジは、George Martin、Paul McCartney
プロデュースは、George Martinです。
アルバム・ジャケット、カバー・コーディネーションは、Hipgnosis、Sinc
カバー・ペインティングは、Brian Clarke
写真撮影は、Linda McCartney
全曲、Paul McCartneyの作品です。
A面1曲目、「綱引き」の掛け声がフェイドイン、アコースティック・ギターで優しく・・・
Tug Of Warでスタート、タイトル曲、静かに歌い始める Paul
ストリングスが効果的に、途中少しドライヴ感のあるロック・サウンドも・・・
一方で、軽快に加わるスネアドラム🥁が行進曲のように盛り上げていき・・・
最後は、コーラスにバックアップされ、壮大なイメージでエンディングです。
オーケストラ・コンダクターは、Keneth Sillito、ミリタリー・スネア・ドラム🥁は、Campbell Maloney、エレクトリック・ギターはDenny Laine、Eric Stewart
アルバムから第3弾シングルで、全米No.53、全英 No.53となっています。
2曲目、前曲から続くように左右のツイン・ドラムス、ベースが響いてきて・・・
Take It Away、軽快に歌い始める Paul、ピアノ🎹の連打で盛り上がって・・・
サビの部分はメロディアス・・・ホーン音も加わり、Paulらしく何度も山場あり・・・
ドラムスは、Ringo Starr、Steve Gadd、エレクトリック・ピアノ🎹は、George Martin、最後は美しいコーラスのリフレインでフェイドアウトしていきます。
アルバムから第2弾シングルで、全米No.10、1982年全米年間シングル・チャート No.70、全米アダルト・コンテンポラリー・チャート No.6、1982年全米年間AC No.47、全米メイン・ストリーム・ロック No.39、カナダNo.17、カナダAC No.2、オーストラリア No.18、ニュージーランド No.30、オランダ No.43、ベルギー No.28、西ドイツ No.46、ルクセンブルグ No.11、ノルウェー No.7、アイルランド No.26、そして全英No.15・・・世界中で大ヒット
本作のミュージック・ビデオには、Lindaさん、George Martin、Ringo Starr、Steve Gadd、Eric Stewart・・・レコーディング参加者全員がプレイヤーとして出演、それどころか、何と 英国の名優 Sir John Hurtまで出演
Paulが如何に凄い存在であるか・・・因みに、John Hurtさん、Paulとは古くからの友人で、友情出演のようですが・・・この2年前、主演した映画The Elephant Manは日本でも大ヒット、但し映画では特殊メイクだったので、Elephant Manを演じていた俳優さんと思わなかった人が多かったようです。(笑)
3曲目、アコースティック・ギターにベースが、美しいイントロから、Paulの歌
Somebody Who Cares、悲し気なメロディ、転調するところは、Paulならでは
ここでのベースは、Stanley Clarke、Paulは、スパニッシュ・ギター、ソロも
ドラムス、パーカション🥁は、Steve Gadd、ギター・シンセサイザーは、Denny Laine、パンパイプスは、Adrian Brett、最後は静かに終わります。
4曲目、ファンキーにシンセサイザーが響き、"Good Morning~"とStevie Wonder
What's That You're Doing?、Paul McCartney、Stevie Wonderの共作
Stevieはシンセサイザーをプレイし、一連の彼のヒット曲に近いナンバー
Paulは、Steveとのかけ合い、コーラスも入り、盛り上げていきます。
リリコンは、Roxy MusicのAndy Mackay、躍動感の中、フィーチャーされ・・・
コーラスも熱くなり、リフレインでフェイドアウトしていきます。・・・
5曲目、静まったところで、"And If I Said~"といきなり静かにPaulの歌
Here Today、John Lennonを歌った歌・・・アコースティック・ギターで静かに
バイオリン🎻は、Bernard Partridge、Jack Rothstein、ヴィオラは、Ian Jewel、チェロは、Keith Harveyと弦楽四重奏が入り、Yesterdayを思わせ・・・
美しいメロディ・ラインで、"But You Were Always There With A Smile~"
Johnへのトリビュート曲は当時多く出ましたが、やはりこれは格別でしょう。
尚、シングル・リリースはされませんでした。・・・
B面1曲目、軽快なピアノ🎹、それに合わせてPaulがノリよく歌い始める・・・
Ballroom Dancing、Beatles、Wingsと Paulお得意のロック・ナンバー
エレクトリック・ギターは、Denny Laine、途中のナレーションは、Peter Marshall、ホーンの音とかけ合うクラリネットは、Jack Brymer・・・
間奏部分は、少しスローになってインストゥルメンタル・・・再びPaulの歌へ・・・
盛り上がってエンディング…1984年のPaulの映画 Give My Regards To Broad Streetでもプレイされていました。
2曲目、コインの投げ入れられる音から、アコースティック・ギターが刻まれ、Pau・
The Pound Is Sinking、こちらもPaulならではの軽快なリズムのナンバー
アコースティック・ギターは、Denny Laine、ベースは、Stanley Clarke
途中、曲調も色々変わり、Paulの声色も・・・これもPaulらしいナンバーです。
3曲目、ピアノ🎹が重厚に響き、クラシカルなムードで、Paulが歌い始める・・・
Wonderlust、壮大なブラス・セクションは、Phillip Jones Brass Ensemble
ドラムス、パーカッション🥁はAdrian Sheppard、ベースはDenny Laine
それぞれ、力強く響き、コーラスもバックアップでドラマチックなナンバー
こちらも映画 Give My Regards To Broad Streetでも歌われています。
4曲目、軽いタッチで、ロカビリー風に歌い始める Paul
Get It、続いて歌うのは、Carl Perkins、そう、あのBlue Suede Shoesの・・・
Beatlesのヒーロー、ロカビリーの王者、自らエレクトリック・ギターも
Paulと夢のデュエット、シンプルながら重厚なナンバーです。
5曲目、Carl Perkinsの笑い声に変わって、静かにフェイドインしてくるのは・・・
Be What You See、Paulがヴォコーダーを通して歌ういわばインタールード・・・
6曲目、一転してアップ・テンポのシンセサイザー音、ハイトーンで歌い始めるPaul
Dress Me Up As A Robber、スピーディーな展開でノリのいいナンバー
エレクトリック・ピアノ🎹は、George Martin、ドラムス、パーカッション🥁は、Dave Mattacks、シンセサイザー、エレクトリック・ギターは、Denny Laine
アコースティック・ギターも印象的、最後はシンセサイザー中心にエンディングです。
7曲目、ドラムスからドラマチックに・・・大上段に構えたのは・・・
Ebony And Ivory、Stevie Wonderとの交互のデュエット・・・
StevieもPau同様、エレクトリック・ピアノ🎹、シンセサイザー、ドラムス、パーカッション🥁、バッキング・ヴォーカル等も・・・
"Ebony, Ivory, Living In Perfect Harmony~"・・・まさに永遠に続くようです。
全米 No.1、全米アダルト・コンテンポラリー・チャート No.1、ゴールド・ディスク獲得、1982年全米年間シングル・チャート No.4、オールタイム・チャート No.76、カナダ No.1、カナダAC No.2、1982年年間 No.3、オーストラリア No,2、1982年年間 No.20、ニュージーランド No.2、1982年年間 No.17、ゴールド・ディスク獲得、オーストリア No.3、年間 No.10、ベルギー No.2、年間 No.23、オランダ No.3、年間 No.22、西ドイツ No.1、年間 No.14、スイス No.2、年間 No.10、その他、ヨーロッパ、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、スペイン、イスラエル、ジンバブエ、アイルランドでNo.1、南アフリカ No.3、デンマーク No.5、フランス No.5、そして全英 No.1、1982年年間 No.9、ゴールド・ディスク獲得、世界中でNo.1
・・・で、日本、オリコン・チャート No.26、洋楽チャート No.1、シングルでゴールド・ディスク獲得・・・やはり洋楽では特大ヒットです。
全米アルバム・チャート最高位 No.1、プラチナ・ディスク獲得
1982年の全米年間アルバム・チャート No.28、カナダ No.1、ゴールド・ディスク獲得、1982年年間 No.14、フランス No.2、ゴールド・ディスク獲得、1982年年間 No.12、スペイン No.2、ゴールド・ディスク獲得、オーストリア No.2、1982年年間No.7、西ドイツ No.1、ベルギー No.3、オランダ No.1、オーストラリア No.2、プラチナ・ディスク獲得、1982年年間 No.7、ニュージーランド No.4、ノルウェー No.1、スウェーデン No.1、イスラエル No.2、そして全英 No.1、ゴールド・ディスク獲得、1982年年間 No.16・・・世界中で驚異のベストセラー
そして日本、オリコン・アルバム・チャート No.1、1982年年間No.37
さすがは、Paul McCartneyといった感じです。
先ずは、Ebony And Ivoryなのですが・・・
Paul McCartneyは、やはり、ポピュラー音楽界の頂点にいる人
改めて世界中に認識させたのが、この Tug Of Warと言えるでしょう。
ただ色々な意味で、多くの問題を抱えてしまったのか・・・
当時、コンサート・ツアーを行なうことは、全く予定になかったようで・・・
その分、映像作品、豪華レコーディングに力を注ぐようになっていたのでした。
そして、その一環として、ほぼ同時期に進行している次作では・・・
Stevie Wonderに続いて今度はMichael Jacksonがフィーチャーされている
そのように予告されていたのでした。・・・