1982年のアルバム(その4 Chariots Of Fire / Vangelis)
1982年のアルバム・シリーズ、今回も全米No.1アルバム
から始めていますが
続いては・・・
Vangelis
Chariots Of Fire
実はこれも、1981年にリリースされたアルバム
日本でも「チャリオッツ・オブ・ファイアー」と原題で、1981年夏に出ていました。
当時は、オリンピック映画のサウンド・トラックらしい・・・そんな情報でした。・・・
それが、映画の方が大ブレイク
1982年に入って、テーマ曲が、チャートを急上昇
英国映画ですが、このテーマ曲のヒットも肖ってか・・・
第54回アカデミー賞作品賞を受賞
「黄昏」、Reds
といった大本命を抑えての受賞となりました。
・・・で、当然といった感じで、作曲賞は、Vangelis
が受賞
この時、全米アルバム・チャートNo.1に輝いていたのでした。
映画の方は、日本では「炎のランナー」
の邦題で、この夏に公開
ユダヤ人学生Harold Abrahamsと、スコットランド人の牧師でもあるEric Liddell
パリ五輪に出場した2人のランナーを中心に描いた作品
監督は、Hugh Hudsonです。
因みに、"Chariots Of Fire"とはWilliam Blakeの詩"And did those feet in ancient time"から引用されています。
さて Vangelisですが、本名 Evángelos Odysséas Papathanassíou
ギリシャのロック・バンド Aphrodite's Childのリーダーとして、日本でも特にプログレッシヴ・ロック・ファンからは、その名を知られていた人ですが・・・
バンド解散後は、ソロ活動、キーボード奏者🎹としていくつか名盤を発表
またかつてYesがRick Wakeman
脱退時に勧誘していた関係から、Jon Anderson
との交友があり、ちょうどこの時期は並行して Jon And Vangelis
としての活動も行っていました。・・・
尚、Chariots Of Fire、自分は直輸入盤LPレコード
で、1982年初めに購入
勿論、日本でのロードショー公開前で、色々想像を膨らませて聴いていました。(笑)
アルバム Chariots Of Fire
レコーディングは、1980年、ロンドン Nemo Studiosにて・・・
エンジニアリングは、John Walker、Raine Shine
、Raphael Preston
オリジナル曲全曲作曲、アレンジ、全楽器演奏は、Vangelis Papathanassíou
アルバム・ジャケット、スリーブ、アート・ディレクション、デザインは、Alwyn Clayden
アートワークは、Main Titles Ltd.
プロデュースは、Vangelisです。
A面1曲目、シンセサイザー音がフェイドイン、ファンファーレのような音から・・・
Titles、そう、メイン・テーマ曲
、美しくピアノ🎹が主旋律を奏でます。
他のキーボード音🎹も入り、徐々に盛り上がり、パワーが漲ってくるようです。
シングルとしては、Chariots Of Fireのタイトルでリリース
全米 No.1、全米アダルト・コンテンポラリー・チャート No.1
、1982年の全米年間シングル・チャート No.12
、カナダ No.4
、1982年年間 No.39
、オーストラリア No.21
、1982年年間 No.43
、ニュージーランド No.8
、1982年年間 No.37
、ベルギー No.13
、オランダ No.12
、南アフリカ No.3
、アイルランド No.15
、全英 No.12
、そして日本
オリコン・チャート No.55
・・・
世界中で大ヒット、永遠のスタンダード・ナンバーでしょう。
さらに日本では、後年、Sean Connery出演のCMに使われても大人気に
また、Jon Anderson が歌詞を付け、Race To The End
として発表
こちらも多くにカバーされています。
2曲目、ファンファーレ音から、繊細なチェンバロのような音が入り・・・
Five Circles、「五輪」
、スローで優しいメロディ・ラインですが・・・
ストリングスが加わり、壮大に・・・タイトル通り、五輪の光景が広がっていきます。
3曲目、シンセサイザー音の中、エレクトリック・ピアノ🎹が奏でるメロウなメロディ
Abraham's Theme、「アブラハムのテーマ」
Ben Cross演じる繊細なユダヤ人学生 Harold Abrahamsを悲しく美しく表現
ラブ・シーンでも効果的です。
4曲目、やはりシンセサイザー音がフェイドイン、今度は徐々にダイナミックに・・・
Eric's Theme、「エリックのテーマ」
、こちらは明るいメロディ・ライン・・・
Ian Charleson演じる牧師でもあるEric Liddell、競技中に転倒
・・・でも起き上がってそこから勝利する、劇中ではそこで流れるので印象的
こちらも徐々に盛り上がっていき、パワーが漲るナンバーです。
5曲目、沈黙を破るように効果音、そしてホーン音も・・・
100 Metres、「100メートル」
、競技前の緊迫感が表現されています。
6曲目、前曲に重なるようにオルガン🎹が流れ、コーラス隊の合唱
Jerusalem、前述のWilliam Blakeの詩に、Hubert Parry
が曲を付けたもの・・・
"Bring Me My Chariots Of Fire!~"、ここでのアレンジは、Harry Rabinowitz
コーラス監督、指揮は、John McCarthy、コーラスは、The Ambrosian Singers
バックには、効果的にVangelisがシンセサイザー音を挿入・・・
劇中では、最後にHarold Abrahamsの追悼式典で使われます。
Emeson, Lake & Palmerがプレイしているので、ロック・ファンはお馴染みですね。
B面、嵐のような効果音がフェイドイン・・・そこへシンセサイザー、ピアノ🎹・・・
Chariots Of Fire、アルバム全面を要した組曲・・・
静かにピアノ中心にタイトル曲のメロディ・・・ストリングスがバックアップ・・・
曲は、Abraham's Themeのメロディ・・・そこからピアノ🎹をブリッジに・・・
軽快なリズムとなり、ホーン音も入り、タイトル曲のメロディへ・・・
もう1度静かに、Abraham's Theme、ピアノ🎹で悲しいメロディが続き、転調・・・
盛り上がっていき、一瞬静まったところへ、打楽器音で大きな音、アップ・テンポに
ピアノ🎹をブリッジに、Eric's Themeのメロディ・・・徐々に盛り上がっていきます。
今度は速弾きのピアノ独奏🎹、静かになったと思いきや打楽器挿入・・・
それが繰り返され、また静かにAbraham's Themeのメロディ・・・
そして効果音をバックに、Eric's Themeのメロディも・・・
最後は静かにピアノ🎹でフィナーレ、嵐の音とともにフェイドアウトしていきます。
全米アルバム・チャート最高位 No.1、プラチナ・ディスク
獲得
1982年の全米年間アルバム・チャート No.9、カナダ No.2
、トリプル・プラチナ・ディスク
獲得
、オーストラリア No.5
、ダブル・プラチナ・ディスク
獲得
、ニュージーランド No.6
、1982年年間 No.21
、オーストリア No.11
、ゴールド・ディスク
獲得
、オランダ No.9
、西ドイツ No.39
、フランス ゴールド・ディスク
獲得
、香港 ゴールド・ディスク
獲得
、スペイン プラチナ・ディスク
獲得
、そして全英No.5
、プラチナ・ディスク
獲得
テーマ曲の大ヒット
、映画
の大ヒットによって世界中でビッグ・セールス
そして日本、オリコン・アルバム・チャート No.33
これも当然の結果かもしれません。・・・
さて映画「炎のランナー(Chariots Of Fire)」
アカデミー作品賞、衣装デザイン賞
、脚本賞
、そして作曲賞
日本でのロードショーにも拍車がかかり、公開と同時に見に行きました。
最初は、主人公Harold Abrahamsの追悼式典で、学友だった年老いたAndrew Lindsay卿が、思い出を語って、そこからあのテーマ曲へ、選手たちが浜辺を走っているシーンへ・・・それだけで、感動が沸いてきます。・・・
ユダヤ人であるというコンプレックスと戦いながら、繊細な感性のHarold Abrahams、
Ian Holm演じるコーチ Sam Mussabini、五輪の競技場へは行けず、国旗が上がったことでHaroldの優勝を知る・・・そのシーンが良かったです。Ericの方は、明るい性格ながら純真な牧師、安息日に走るわけにいかないと、100メートルを断念、しかしAndrew Lindsayに譲ってもらった400メートルで優勝します。またAndrewは、貴族ですが、Nigel Havers、スマートでカッコよかったです。
尚、アメリカの選手役で、Brad Davis、Dennis Christopherといった当時の人気俳優がいわばカメオ出演していたのも印象的でした。・・・
この年に見た映画で、最高に感動しました。
尚、この映画を見た大学のクラスメートが、「面白くなかった・・・」と言っていて・・・
「なんだ、こいつ
・・・」と思いましたが・・・
でもよく考えると、この作品、音楽にも興味がなく、内容も知らないで見たら、何が何だかよくわからないかもしれませんね。(苦笑)
2004年のアテネ五輪、ギリシャということで、閉会式に、Vangelisさんが出てきて Chariots Of Fire
をプレイする・・・期待したのですが・・・それはありませんでした。
英国映画で、舞台もパリ五輪だったからでしょうか。・・・
しかし8年後の2012年のロンドン五輪では、登場されました。
でもそれ以降、名前を聞かれることもほとんどなく・・・
2022年5月、コロナ感染症が原因で、Vangelis Papathanassíouさん
お亡くなりになりました。
Rest In Peace
Vangelisという人は、本当に偉大なる音楽家
彼がいたから、日本の坂本龍一さんも喜多郎さん
も世界的ミュージシャンになったと言えるとおもいます。
Chariots Of Fire、永遠に燃え続けているでしょう。・・・