1981年のアルバム(その96 Kings Of~ / Adam And The Ants)
1981年、英国では、最もブレイクしたと言えるのが・・・
Adam And The Ants
元々、Sex Pistolsの仕掛人としてお馴染みのMalcolm McLarenがマネージメントだったのですが・・・
彼の下を離れ、メジャー・デビュー
徐々に人気が上昇、そして1980年末にリリースした2枚目のアルバム
Kings Of The Wild Frontier
こちらと、シングル Antmusicで大ブレイク
Adam AntことStuart Leslie Goddardを中心とする5人組
「海賊ファッション」と言われる奇抜な衣装、ビジュアル的にも大注目
またツイン・ドラムスで、多彩な音楽を取り入れたオリジナリティ溢れるそのサウンド、英国中心に一躍、時の人達になりました。
シングル Antmusicは、あのJohn Lennonが亡くなったことで、Imagineが全英No.1となっていたので、No.2止まりでしたが・・・
アルバム・チャートでは、Double Fantasyを抜いて、No.1を独走しました。
ちょうど全米チャートでの REO Speedwagonに似ているかもしれません。
尚、日本では、少し遅れて登場、邦題は「アダムの王国」
やはり話題の人たちだけに、人気は一気に大ブレイクとなりました。
レコーディングは、1980年2月18日~8月30日
ロンドン Rockfield Studios、Sound Development、Matrixにて・・・
メンバーは・・・
Adam Antヴォーカル、アコースティック・ギター、ピアノ🎹、ハーモニカ
Marco Pirroniエレクトリック・ギター
Kevin Mooneyベース
Merrick (Ghris Hughes)ドラムス
Terry Lee Miallドラムス
エンジニアリングは、Hugh Jones
サウンド・テクニシャンは、Alan Lynch、Howard Menzies、Will Wright
プロデュースは、ドラムスも担当しているChris Hughesです。
アルバム・ジャケット、デザイン・コンセプトは、Adam Ant、Julian Balme
グラフィック・デザインは、Julian Balme
アートワークは、Danny Kleinman
写真撮影は、Peter Ashworth
ビデオ写真撮影は、Clive Richardson、Stephanie Gluck
ライナー・ノーツは、Pete Scott
全曲、Adam Ant、Marco Pirroniの作品です。
A面1曲目、ドラムスが左右から響いてきて、ギターが鳴らされ・・・
Dog Eat Dog、Adamの歌がパワフルに入ってきます。
激しいビートの中で、時に語るように歌うAdam
途中、鞭が振り下ろされる音も入った・・・ワイルドなナンバー
アルバムから第2弾シングルで、全英No.4、アイルランド No.16、オーストラリア No.22、ニュージーランド No.31 といったヒットになっています。
2曲目、スティックが鳴らされ、日本の和太鼓🥁のような音で・・・
Antmusic、軽快なビートに合わせてノリよく歌うAdam
Marcoのギターもフィーチャー、グラム・ロックからの影響も感じます。
アルバムから第3弾シングルで、前述の通り、全英No.2、アイルランド No.4、オーストラリアNo.1、ニュージーランド No.6、ベルギー No.30、オランダ No.41・・・彼らの名を世界に知らしめた楽曲といえるでしょう。
3曲目、エフェクターを効かせたギターから、力強いロック・ナンバーに
Feed Me To The Lions、邦題は「ライオンの餌食」
ギターに合わせたAdamの歌は、Marc Bolan等を思わせます。
後半、Marcoのギターは、Lawrence Of Arabiaのテーマ曲を・・・
コーラスのリフレインでフェイドアウトしていきます。
4曲目、軽快にアコースティック・ギター、そこへエレクトリック・ギター
Los Rancheros、タイトル通り、ラテン風の、軽快なノリで歌うAdam
エレクトリック・ギターはサーフィン・ミュージック風、銃声🔫も効果的
尚、同名の日本のバンドがありますが、ここから名前を付けたそうです。
5曲目、サイレンのようにギターが響き、ベースとともに歌い出すAdam
Ants Invation、邦題は「蟻の侵略」、徐々にミステリアスに盛り上がって・・・
途中、James Bond's Themeも挿入、後半、Adamは力強く熱唱
最後はギターと「蟻🐜の声()」で締められます。
6曲目、ドラムスから入ってきて、ギターとともに歌い出すAdam
Killer In The Home、邦題は「ザ・キラー」、ややスローに展開・・・
後半、ドラムスは行進曲風に・・・1度静まって、最後はAdamの一声・・・
当時のThe Cars等に共通するものも感じます。
B面1曲目、いきなりコーラスで、"A New Royal Family~"と・・・
Kings Of The Wild Frontier、タイトル曲、ドラムスが響きノリよく歌うAdam
このタイトル、「アラモの戦い」で知られる軍人 David Crockettのことですが・・・
名前こそ出てこないものの、内容は準じているようで、音も攻撃的に
アルバムから第1弾シングル、全英 No.48でしたが・・・
彼らの人気沸騰で1981年再登場、全英No.2、アイルランド No.5・・・
邦題は「略奪の凱歌」、Antmusic同様、日本でもよくオンエアされていました。
2曲目、ドラムスからフェイドイン、ベースも響いて、かけ声のようにAdam
The Magnificent Five、邦題は「5人の英雄」、彼らのこと・・・
軽快な歌に、ハードなギターも絡んできます。
かけ声に合わせて、Adamの歌も盛り上がって、フェイドアウトしていきます。
3曲目、一転して軽いタッチのギター、ベースも加わって・・・
Don't Be Square (Be There)、邦題は「マジになるな」
ドラムスに合わせて、スピーディーに歌うAdam、ややパンク・ロック風・・・
Marcoの歪んだギターが入り、リフレインでフェイドアウトしていきます。
4曲目、ハードなギターとシンプルなリズム、そこへAdam・・・
Jolly Roger、そう文字通り、「海賊旗」のこと、まさに彼らのテーマ曲
行進曲風で、力強く歌うAdam、ドラムスがパワフルに挿入
ホイッスル音も入り、英国を感じさせるナンバーです。
5曲目、左右のドラムスに、ギター、ベースが絡んで・・・
Making History、邦題は「歴史を刻む」、ややポップなナンバー
Adamはノリよく歌い、途中スキャットも・・・最後はフェイドアウトしていきます。
6曲目、シンバルが響いて、ベース・・・ややミステリアスなムードから・・・
The Human Beings、邦題は「人間」、高音で歌い始めるAdam
"Blackfoot, Pawnee, Cheyenne, Crow, Apache, Arapaho~"
そう、世界各地の先住民族の名前を連呼しています。
これはメッセージ・ソング、ギターも入り、リフレインで不思議なムードに・・・
最後はやはりフェイドアウト・・・但し余韻を残す音が静かに響いています。・・・
米国盤は、少し異なっていて、レコードA面に、シングル Kings Of The Wild FrontierのB面だったPress Darlingsを追加、レコードB面には、Making Historyに代わって、シングルDog Eat DogのB面だったPhysical (You're So)
が収録、さらには、次のシングル Stand And Deliver / Beat My Guestが付いていました。
CDの時代になり、2004年のリイシュー盤には、ボーナス・トラックとして・・・オリジナル・アルバムに、Antmusic (Alternative Mix)、Antmusic (Demo),、Feed Me To The Lions (Demo)、The Human Beings (Demo)、S.E.X. (Demo)、Omelette From Outerspace (Demo)以上6曲が追加収録されています。
また2016年には、CD2枚、DVD、ゴールド・ビニールLPのSuper Deluxe Edition がリリースされています。・・・
全米アルバム・チャートに準じているので、ここに登場した通り・・・
全米アルバム・チャート最高位 No.44、全米でゴールド・ディスク獲得
全英アルバム・チャート 10週連続No.1、プラチナ・ディスク獲得
その他、オーストラリア No.2、ダブル・プラチナ・ディスク獲得
ニュージーランド No,7、年間アルバム・チャート No.33、カナダ No.21、オーストリア No.18、西ドイツ No.11、オランダ No.11、スウェーデン No.4・・・
英語圏を中心に世界中で、ビッグ・セールス
そして、日本、オリコン・アルバム・チャート No.72
前述の通り、日本でも大ブレイク
'80年代の新しいロック・ヒーロー誕生、そう思われたのでした。
Adam And The Antsに関しては、当時、ラジオ日本(ラジオ関東)での洋楽番組でのD.J.スヌーピーこと今泉恵子さん(現今泉圭姫子さん)からの影響が大きいと思います。
勿論、彼らだけに熱中していたわけではありませんが、その個性的な音楽には惹きつけられていきました。
そう、Antmusicや、Kings Of The Wild Frontierは、ずっと耳に残る音楽です。
因みにアルバムは、輸入盤LPレコードで購入しました。・・・
そして、なんとAdam And The Ants初来日公演決定
チケット発売日に購入できず、何とか当日券狙いでいました。・・・
この年、英国で初のシングル No.1となった Stand And Deliver
馬の鳴き声から始まる勇ましい感じがするアップ・テンポのナンバー
「来日記念シングル」として発売
これは、カッコいい、自分は、この日本盤シングルを即購入しました。
・・・で、Adam And The Ants初来日
なんと「夜のヒットスタジオ」に出演
Adamが、意外に小柄だったのが印象的でした。・・・
ここでは、Stand And Deliverをプレイ
これは、日本公演も楽しみ・・・そう思っていたのですが・・・
東京最終公演のある東京厚生年金会館に友人と行きました。
・・・そうしたら、全席ソールドアウト、当日券販売はなし・・・
肩の力が抜けました。・・・
このガッカリで、熱も冷めてしまい、次のアルバム Prince Charming
日本でも年末に発売されましたが、購入しませんでした。・・・
Adam Antというロック・スター
後の音楽シーンにも影響を与えたツイン・ドラムス
そしてギターのMarcoの多彩なプレイ
オリジナリティに溢れたロック・バンドでしたが・・・
色々無理もあったのでしょうか・・・翌1982年に解散となってしまいます。・・・
ちょうど、「ニュー・ロマンティック」と言われた新しいロック・バンドが多数登場
そしてMTVも台頭してきて・・・
いわばAdam And The Antsは、その先陣を切っていたわけで・・・
登場するのが少し早かったのか・・・そう思うと残念な気もします。
尚、Adam Antは、その後、ソロ・アーティストとして活動を続けます。・・・
・・・
時は流れ、Adam Ant、現在も活動を続けています。
その「海賊ファッション」も時代に応じてか(笑)衣装の方も・・・
Pirates Of The CaribbeanのJohnny Depp風のスタイルに
勿論、Adam And The Ants時代の曲も多く歌っているようで・・・
是非、日本に来てくれないか・・・
そう、自分としても40年の時を経て、リベンジを(笑)
それを願っています。
・・・
1981年のアルバム・シリーズ・・・
この年、英国ロック界において、最も大きな存在
それが、Adam And The Antsだったのでした。