1981年のアルバム(その84 Mecca For~/TheManhattanTransfer)
1981年のアルバム、全米最高位No.22ということで、このシリーズ初登場
The Manhattan Transfer
男女混成4人組ジャズ・コーラス・グループとして登場
日本でも1975年に紹介され、話題に
ただ、ノスタルジックなイメージもあって、どちらかと言えば、玄人受けの音楽だったのですが・・・
女性シンガーの1人が、Cheryl Bentyneに交代
ちょうどそんなタイミングで、イメージチェンジを計るべく、プロデューサーにギタリストとしても売れっ子のJay Graydonを迎えたアルバムExtensionsを発表
ここから一気にポップな音楽に・・・
テレビ番組に使われた Twighlight Zone / Towighlight Tone
Weather Reportのナンバー Birdland等が大人気に
日本でもこのようなナンバーが、オンエアーされるようになり、一般人気に
ファンの幅を大きく広げました。
そのExtensions、1979年のアルバム・シリーズに登場予定でしたが・・・
漏れてしまい、1981年、再びJay Graydonプロデュースで登場したのが・・・
Mecca For Moderns
このタイトルは、Duke Ellingtonのアルバム Live At The Blue Note 1952に記されていた" The Blue Note Was A Haven For The Smart Set, In Fact, The Real Mecca For Moderns"から引用されたとのことです。
そして、1965年のThe Ad Libsのドゥー・ワップのヒット曲のカバー
The Boy From New York Cirtyが、シングル・チャートを急上昇してきました。
日本でも、「マン・トラ」の愛称でも人気となっていた彼らだけに、すぐに話題に
アルバムの方は、「モダン・パラダイス」の邦題でリリースされました。
レコーディングは、1980年~1981年
カリフォルニア州、サン・フランシスコ Dawnbreaker Studiosにて・・・
The Manhattan Transferメンバーは・・・
Tim Hauser、Alan Paul、Janis Siegel、Cheryl Bentyne
参加ミュージシャンは・・・
Jay Graydonギター、シンセサイザー、アレンジメント他
Abraham Laborielベース、Steve Gaddドラムス
その他楽曲ごとに超豪華ミュージシャンが参加しています。・・・
エンジニアリングは、Joseph Bogan
アシスタント・エンジニアリングは、Bob Bullock、Deborah Thompson
オーヴァーダヴィング、ミキシングは、Garden Rake Studiosにて・・・
リミキシングは、Jay Graydon
マスタリングは、A&M Studiosにて、Bernie Grundman
ミュージカル・コントラクターは、Frank DeCaro
そして、プロデュースは、勿論、Jay Graydonです。
アルバム・ジャケット、アート・ディレクションは・・・
Steve Arnold、Richard DeGussie、Sarah Richardson
写真撮影は、Steve Arnoldとなっています。・・・
A面1曲目、ピアノ🎹とベースが響いて、当時のAORを象徴するようなビートで・・・
On The Boulevardでスタート、最初、男性2人の歌、そして女性2人
Richard Page、Jay Graydon、Marc Jordanの作品
交互に絶妙なコーラス・ハーモニーを聴かせ、盛り上げていきます。
途中出てくるギター・ソロは、Steve Lukather
フェンダー・ローズ、アコースティック・ピアノ🎹は、Victor Feldman
ノリのいいサウンドをバックに、キマッたハーモニーでフェイドアウトしていきます。
2曲目、ボイス・リズムから、ドゥー・ワップのコーラス・ハーモニー・・・
The Boy From New York Cirty、リード・ヴォーカルは、Janis Siegel
George Davis、John T. Taylorの作品
前述の通り、The Ad Libs、1965年のヒット曲 (全米No.8)
1978年には、Dartsがカバー・ヒット (全英No.2)
ここでのドラムスは、Mike Baird、ギターはもう1人、Dean Parks
Don Robertsサックス🎷、Jerry Heyトランペット🎺
そして、アコースティック・ピアノ🎹は、David Foster、ヴォーカル・アレンジメントは、Alan Paul、豪華なバックのサウンドと軽快なハーモニーが・・・
Janisの歌を盛り上げます。
前述の通り、先行シングルで、全米No.7、全米アダルト・コンテンポラリー・チャート No.4、1981年の全米年間シングル・チャートNo.36、その他では、カナダ No.8、1981年年間No.60、オーストラリア No.36、ニュージーランド No.2、1981年年間No,28、スイス No.3、1981年年間 No.19 ・・・
この曲で、この年のグラミー賞で、最優秀ポップ・パフォーマンス(デュオ、グループ、ヴォーカル)を受賞、日本での表記は「ボーイ・フロム N.Y. City」
尚、(今のところ)彼らの唯一の全米TOP10ヒットです。
3曲目、陽気なムードで、ホーンとパーカッション・・・
(Wanted) Dead Or Alive、リード・ヴォーカルは、Tim Hauser
Art DeCoteau、Slinger Franciscoの作品、邦題は「おたずね者」
オルガン🎹、シンセサイザーは、Greg Mathieson
パーカッション🥁は、Alex Acua、サックス🎷、リリコンは、Tom Scott
タイトル通り、南の国を逃げ回っている()主人公をTimが陽気に・・・
歌で演じています。
4曲目、いきなり、James Bond Themeが響いて・・・
Spies In The Night、本編は、David Foster、Jay Graydonの作品
リード・ヴォーカルは、Alan Paul、語るようにここではBondを演じ・・・
他のメンバーが、テーマ曲に合わせて彼を軽快なコーラスでバックアップ
途中、ホーンが響き、男女の会話は、Alan PaulとCheryl Bentyne
アコースティック・ピアノ🎹は、David Foster、ギターは、Steve Lukather
シンセサイザーは、Michael Boddicker、そしてヴォーカル・アレンジメントは、Alan Paul、4分間の緊迫感のあるドラマ仕立てとなっています。
アルバムから第3弾シングルで、全米No.103となっています。
5曲目、ピアノ🎹が美しく響き、そこへストリングス・・・
Smile Again、リード・ヴォーカルは、Alan Paul
Bill Champlin、David Foster、Jay Graydon、そしてAlan Paulの作品
そう、作者からも EW&FのAfter The Love Is Goneを思わせる極上のバラード
Alanの熱唱をメンバーがバックアップ、Cherylは少しソロ・パートも・・・
アコースティック・ピアノ🎹、キーボード🎹、シンセサイザーは、David Foster
ギターは、Steve Lukather、ストリングス・アレンジメントもDavid Foster
アルバムから第2弾シングルとしてリリースされました。
B面1曲目、軽いタッチのピアノ🎹から、ノスタルジックなムードに・・・
Until I Met You (Corner Pocket)、Freddie Green、Don Wolfの作品
最初はコーラスから、続いて4人が交互に歌い回していくジャズ・ナンバー
アコースティック・ピアノ🎹は、Yaron Gershovsky、ギターは、Al Viola
邦題は短縮形で、「コーナー・ポケット」、この曲で、この年のグラミー賞
最優秀ジャズ・ヴォーカル・パフォーマンス(グループ)を受賞しています。
2曲目、ピアノ🎹から、軽快にハイ・トーンのコーラス・ハーモニー
(The World Of) Confirmation、Charlie Parkerの作品
そう、「コンファーメーション」、Timを中心に交互に歌われ・・・
途中入るスキャットは、Jon Hendricks、アコースティック・ピアノ🎹、アレンジメントは、Milcho Leviev、そして、サックス・ソロ🎷は、Richie Cole
このようなジャズ・ヴォーカル・ナンバーが従来の彼らのイメージでした。・・・
3曲目、エコーをかけたコーラスから、一転、パワフルなサウンドへ・・・
Kafka、Bernard Kafka、Jay Graydonの作品
アップ・テンポのバックに合わせて、女性2人のスキャット、続いて低音で男性2人も
アコースティック・ピアノ🎹は、Milcho Leviev、Yaron Gershovsky
シンセサイザーは、Michael Boddicker、Steve George
カウベル、スティール・ドラムスは、Andy Narell、ギターは、Dean Parks
そしてアレンジメントは、作者である Bernard Kafka自身・・・
まさに彼ら4人のコーラス、スキャットが楽器として溶け込んだ、そんな楽曲です。
4曲目、4人の息の合ったコーラス・ハーモニーから・・・
A Nightingale Sang In Berkeley Square、4人によるアカペラ・ナンバー
邦題は、「バークレー・スクエアのナイチンゲール」
Eric Maschwitz、Manning Sherwinの作品
アレンジメントは、Gene Puerling
女性2人、男性2人、交互に、そして各自ソロでも・・・
まさにManhattan Transferの本領発揮といったナンバー
この曲で、この年のグラミー賞、最優秀ジャズ・ヴォーカル編曲(グループ)を受賞しています。
3部門受賞、同じ年にポップス、ジャズ両部門での受賞は、初の快挙です。
ここに登場した通り、全米アルバム・チャート最高位 No.22
1975年のアルバム The Manhattan Transfer (No.33)を上回り
彼らとして最高のチャート・インとなっています。
全米ジャズ・アルバム・チャート No.6
1981年の全米年間アルバム・チャート No.79
その他、オーストラリア No.68、ニュージーランド No.21・・・
'70年代に人気が高かった英国ではチャートの上位に登場しませんでした。・・・
尚、日本では、チャートの上位にこそランクされませんでしたが・・・
前作 Extensionsと本作で、すっかり安定した人気を獲得
Manhattan Transferといえば、唯一無二、普通名詞のような存在に
来日公演もコンスタントに行われ、割と近年ではクラブ公演中心
・・・だったのですが・・・
2014年10月、創始者である Tim Hauser死去・・・
その後、Trist Curlessを新たに加え、活動を再開しますが・・・
自分自身、全盛期の4人でのライヴに1度も行けなかったことは・・・
悔やんでも悔やみきれません。・・・
A面は、プロデューサーのJay Graydon、David Foster、Steve Lukatherらが参加、この時代に適応した最新のサウンドのナンバー5曲
B面は、彼らの本来の売り物であるコーラス・ワークを活かしたナンバー4曲
The Manhattan Transferとして最も充実した作品であり・・・
1981年という時代を象徴したアルバム
それが、このMecca For Moderns(「モダン・パラダイス」)と言えるでしょう。