1980年のアルバム(その74 No Nukes / Various Artists)
1980年のアルバム・シリーズ
全米アルバム・チャート最高位No.14のアルバム
となっていますが・・・
続いても、ライヴで・・・
No Nukes
そう、1979年3月のスリーマイル島原発事故をきっかけに「反核」を訴え・・・
Jackson Browneが中心となって結成された Musicians United For Safe Energy
(略してMUSE)によるチャリティ・コンサート
The Muse Concerts For A Non-Nuclear Future
1979年9月19日~23日、ニューヨーク Madison Squre Gardenにて開催
この時の3枚組ライヴ・アルバムです。
尚、このコンサートで1番、話題を集めたのが・・・
Bruce Springsteen & The E Street Band
まさに、Bruce Springsteenがロック界の頂点に上りつめる
そんなタイミングであったかと思います。
何とその時のライヴ・パフォーマンスが、2021年
The Legendary 1979 No Nukes Concerts
CD、映像作品
でリリースされました。
但しここでは、1979年年末にリリースされたライヴ・アルバム
そちらについて、記させていただきます。
前述の通り、Madison Squre Garden、Record Plant Mobile Studio
にて収録
チーフ・エンジニアは、David Hewitt
エンジニアリングは、Greg Ladanyi、Stanley Johnson
、Dennis Kirk
、Don Gooch
、Jimmy Iovine
、Joe Chiccarelli
アルバム・ジャケット、アート・ディレクション、デザインは、Jimmy Wachtel
プロデュースは・・・
Jackson Browne、Graham Nash
、John Hall
、Bonnie Raitt
です。
レコード1枚目A面1曲目、The Doobie Brothersでスタート
Dependin' On You、アルバム Minute By Minute
から・・・
Patrick Simmons、Michael McDonald
の作品で、1979年、全米No.25
メンバーチェンジ後、Chet McCrackenドラムス、John McFee
ギター、Cornelius Bumpus
オルガン、サックスが加わってのライヴ
Patrick Simmonsの歌
、ギター
中心、他の出演者もコーラス
に参加しているよう・・・後半、Pat
とJohn
のツイン・ギターも聴かせます。
2曲目、Bonnie Raitt、ギター
を抱え、力強く歌うのは・・・
Runaway、「悲しき街角」
、勿論、Del Shannon
、Max Crook
の作品
Bonnieとしては、1977年のアルバム Sweet Forgiveness
収録
シングルとしても全米No.57、ここでは、ギター
にJohn Hall
が参加
その他、キーボード🎹は、Bill Payne、コーラスにRosemary Butler
他・・・
パワフルに聴かせてくれます。
3曲目、続いても Bonnie Raitt、ギター
を爪弾いて静かに歌う・・・
Angel From Montgomery、1974年のアルバム Streetlights
に収録
John Prineの作品
、ここでは、John Hall
がオルガン🎹を弾いています。
4曲目、今度は、John Hall、ギターを軽快に響かせ、「カリブの反核の歌だよ・・・」
Plutonium Is Forever、John And Johanna Hall
の作品
新曲で、明るいムードですが、プロテスト・ソング
Josh Schniderのサックス🎷も効果的、邦題は「プルトニウムよ永遠に」
です。
5曲目、The Doobie Brothers With John Hall & James Taylorというラインナップで
Power、John Hall
の最新アルバム
のタイトル曲
John And Johanna Hallの作品
、アコースティック・ギターで始まり・・・
John Hall、続いて Michael McDonald
、James Taylor
が歌い・・・
その他の出演者もコーラスで参加、
Doobie~のメンバーのソロもフィーチャー
、盛り上がりを見せます。
レコード1枚目B面1曲目、James Taylor, Carly Simon & Graham Nash
The Times They Are A-Changing、勿論、Bob Dylan
の「時代は変わる」
JTのギター、Don Grolnick
のキーボード🎹だけで歌われます。・・・
2曲目、Craig Doergeによるオルガンから、ピアノ🎹で、Graham Nash
が歌う
Cathedral、「大聖堂」
、1977年のCSN
収録、Graham Nash
の作品
David Lindleyのアコースティック・ギター、Russ Kunkel
のドラムス・・・
ここでは、Graham Nashのソロですが、女性コーラス
が盛り上げます。
3曲目、この日の中心人物、Jackson Browne & Graham Nash
The Crow On The Cradle、英国のフォーク・シンガー Sydny Carter
の作品
ここでは、David Lindleyがフィドル、Craig Doerge
がシンセサイザー
叙情的なメロディで、以降 Jacksonのライヴ
では人気曲に
余談ですが、2015年3月のCS&N日本公演にJackson Browne
が飛び入り
この曲での再現が実現しました。
4曲目、Jackson Browne、ピアノ🎹について・・・
Before The Deluge、アルバム Late For The Sky
から・・・
Jackson Browneの作品で代表曲の1つ・・・
Russ Kunkel等お馴染みのバンド・メンバー
David Lindleyのフィドルが印象的です。
まさにこのコンサートにうってつけです。
レコード2枚目A面(C面)1曲目、Nicolette Larson & The Doobie Brothers
Lotta Love、勿論、Neiil Young
の作品、邦題「溢れる愛」
デビュー・アルバム Nicoletteから、シングルとして1979年、全米 No.8
ここでは、Cornelius Bumpusによるサックス🎷、バック・コーラス、ギター・・・
強力なDoobie~をバックに、Nicolette
、パワフルに熱唱
です。
2曲目、Ry Cooderが登場
、Elvis Presley
のヒットでお馴染みの・・・
Little Sister、Doc Pomus
、Mort Shuman
の作品
1979年のアルバム Bop Till You Drop収録、ノリのいいナンバーです。
3曲目、女性アカペラ4人組 Sweet Honey In The Rockによる・・・
A Woman、Connie Brooks
、Patricia Johnson
の作品です。
4曲目、ムードは一転して、Gil Scott-Herron登場
、サックス🎷のイントロから
We Almost Lost Detroit、1977年のBrian Jackson
とのアルバム Bridges
から
Gil Scott-Herronの作品、エレクトリック・ピアノ🎹を弾いて静かに歌われ・・・
重厚なR&Bナンバーですが、テーマは今回に合っているでしょう。・・・
5曲目、Jesse Colin Young登場
、軽快なギターのカッティングで・・・
Get Together、アメリカのシンガーソングライター Chet Powers
の作品
ここではJackson Browne、Graham Nash
もコーラスで参加
観客にも歌うよう呼びかけ、盛り上がります。
レコード2枚目B面(D面)1曲目、Ray Parker Jr.率いるRaydio
You Can't Change That、Ray Parker Jr.
の作品、アルバム Rock On
収録
シングルで全米No.9、同年のヒットだけにタイムリーに盛り上がります。
2曲目、Chaka Khan、ソロで凄腕のミュージシャンたちと登場
Once You Get Started、Rufus
として1975年にリリースのRufusized
から・・・
Gavin Christopherの作品
、シングルとして全米No.10
ホーンの代わりにシンセサイザー、パワフルにノッています。
3曲目、James Taylor、再び登場
、アコースティック・ギターで歌い始める・・・
Captain Jim's Drunken Dream、邦題「キャプテン・ジムの酔いどれ夢」
アルバムIn The Pocketより、勿論、James Taylor
の作品
彼の暖かい歌声、Don Grolnick
のピアノ🎹も印象的です。
4曲目、続いても James Taylor、Danny Kortchmar
とのギター
から・・・
Honey Don't Leave L.A.、アルバム JT
から、Danny Kortchmar
の作品
ノリのいいナンバー、David Sanbornのサックス🎷も盛り上げます。
5曲目、James Taylorに、Carly Simon
が加わって・・・
Mockingbird、Inez & Charlie Foxx
の1963年の作品
Carlyの1974年のアルバム Hotcakes
にJames
とのデュエットで、収録
邦題「愛のモッキンバード」、シングルとして全米No.5
前曲と同じ豪華メンバーをバックに、大ノリで盛り上げて歌います。
この頃は、まだ夫婦仲睦まじかったのでした。・・・
レコード3枚目A面(E面)1曲目、Poco、ペダルスティールをフィーチャーして・・・
Heart Of The Night、アルバム Legend
より、Paul Cotton
の作品
この年1979年のシングル・ヒット曲(全米No.20)、リード・ヴォーカル
とギター
は作者のPaul Cotton
、ペダルスティール・ギターは、オリジナル・メンバーのRusty Young
、サックス🎷は、Phil Kenzie
、心地よく響きます。
2曲目、Tom Petty & The Heartbreakersが登場
Cry To Me、Solomon Burke
が1962年にリリースしたナンバー
Bert Bernsの作品、Rolling Stones
等もカバーしています。
当時大ブレイク直前のTom Pettyがソウルフルに聴かせます。
3曲目、Bruce Springsteen & The E Street Band、Jackson Browne
を呼んで
Stay、1960年、Maurice Williams
の作品
Jackson自身、Running On Empty
からのシングルで、1978年全米No.20
Jacksonが歌い、続いて、Rosemary Butler
、そして Bruce Springsteen
Clarence Clemonsのサックス🎷もキマリ、このライヴ
の大目玉です。
4曲目、Bruce Springsteen & The E Street Band
Detroit Medley、Devil With The Blue Dress
~Good Golly, Miss Molly
この2曲のメドレー、1966年に Mitch Ryder & The Detroit Wheelsが全米No.4
(邦題「悪魔とモーリー」)、それを再現、さらに Jenny Take A Ride
もう理屈はいらないでしょう。このライヴ、最大のクライマックスです。
レコード3枚目B面(F面)1曲目、今度は、Crosby, Stills & Nashで登場
You Don't Have To Cry、邦題「泣くことはないよ」
、Stephen Stills
の作品
アルバム Crosby, Stills & Nashから、Stephen Stills
のギターと歌
Crosby & Nashがコーラス、徐々に盛り上がっていきます。・・・
2曲目、Crosby, Stills & Nash、バンドが加わって、Stills
のギター
から・・・
Long Time Gone、アルバム Crosby, Stills & Nash
から、David Crosby
の作品、David Crosby
の歌、続いてStephen Stills
、力強いナンバーです。
3曲目、Crosby, Stills & Nashが続き、軽快なリズムで、お馴染み・・・
Teach Your Children、CSN&Y
としてのアルバム Deja Vu
から・・・
Graham Nashの作品、シングルでは、1970年、全米No.16
リード・ヴォーカルは、勿論、Graham Nash、コーラスもキマっています。
Grahamは、場内にマイクを向け大合唱で手拍子
、大盛り上がり
"Good Night"と本編はここで終了のようです。・・・
4曲目、フィナーレは、The Doobie Brothers、James Taylor
Takin' It To The Streets、「ドゥービー・ストリート」
、出演者ほぼ全員集合
Doobie~の同名アルバム
から、1976年、シングルとして全米No.13
Michael McDonaldの作品、ここでは、Michael
、続いて James Taylor
・・・
出演者全員、歌で盛り上げ大演壇、最高潮で幕を閉じます。
本作品、1980年5月には映像作品としてもリリースされています。
ここに登場した通り、全米アルバム・チャート最高位 No.14
全米でゴールド・ディスク獲得
カナダ No.53、オーストラリア No.18
、ニュージーランド No.35
、オランダ No.34
、ノルウェー No.12
・・・
これだけの内容だけに3枚組ながら、世界中でビッグ・セールスとなりました。
今回、Bruce Springsteen & The E Street Bandのことは、さておいて・・・(笑)
この歴史的イベント、ちょうど'’70年代から、'80年代への橋渡し
そしてこれ以降の、大規模チャリティーコンサートの先駆けとなった
それは確かなことでしょう。
そして提唱者の Jackson Browne
ちょうどこの辺りを機に、’80年代、力強いプロテスト・ソングを中心に書くようになっていった・・・(時にラブ・ソングもありますが・・・)
そんなターニング・ポイントとなった、No Nukesと言えるでしょう。