1978年のアルバム(その21 Darkness On The Edge Of Town)
1978年のアルバム・シリーズ
全米最高位No.4から全米最高位No.5
へ・・・
そして、遂に
「待ってました」とばかり登場するのが、我らがBoss
Bruce Springsteen
裁判沙汰で、約3年のブランク・・・
そして待ちに待ったアルバム、タイトルは・・・
Darkness On The Edge Of Town
そのように発表されたのでした。
1975年後半、Born To Runに衝撃を受けたのですが・・・
それから間もなく、高校受験で洋楽を断つ期間・・・
それが解禁となって・・・
1976年のThe Rock Music Awardsで最多部門にノミネートされながら、受賞なし、それとは関係ないのでしょうが、Mike Appel
との裁判沙汰で活動できない状況に・・・
・・・ということで、Bruce Springsteen熱も、冷めてしまっていたのでした。・・・
そして1978年、遂にリリースされたのが、この Darkness On The Edge Of Town
・・・で、先ず何気に聞いた話が・・・
「Bruce Springsteenの待望の新作
どうも静かなアルバム
らしい・・・」
それから間もなく、渋谷陽一さんのNHK-FMの番組で紹介された際、オンエアされたナンバーが大人しいものばかり(確かStreets Of Fireとか・・・)、渋谷さんはこのアルバム
を絶賛していましたが・・・
自分は、Thunder Road、Born To Run
、Jungleland
をBruce Springsteen
と思っていたし、この時、聴いた曲は「ちょっとイメージが違うな・・・」そう思い、さらにはBruce Springsteen
は髭面のワイルドなイメージだったのに、この頃の写真では、髭はなく、Al Pacinoにも共通する二枚目風・・・
「2年半くらいの間に、このような感じになってしまったのかな・・・」
そうも思ったのでした。
アルバムの方も、邦題は「闇に吠える街」
に・・・
こちらも後で思えば、重みを感じるのですが、当時としては「明日なき暴走」のようなインパクトは感じませんでした。・・・
そして、シングル・リリースされる曲は、Prove It All Night
日本でのタイトルは、「暗闇へ突走れ」、イントロからポップなナンバー
これはロックン・ロール・ナンバーだけど、Born To Runとは違うな・・・
そんな風に思っていたのですが・・・それが・・・
自分を感動させたのは、アルバム1曲目である曲を聴いた時
Badlands
どこかで聴いたことのある()ようなイントロから、ハードで軽快な、そしてBruce Springsteen
がパワフルに熱唱する、そしてサックス・ソロも
「これだ・・・」
そう思いました。
ラジオとかで聴いていて感じたのは部分的な局面だけ・・・
Bruce Springsteenは、Bruce Springsteen
本質は変わっていない・・・どころか3年の間にさらなる進歩を遂げた・・・
少し後になりましたが、日本盤「闇に吠える街」を購入したのでした。
さて、この Darkness On The Edge Of Town(「闇に吠える街」
)
レコーディングは、1977年6月1日~1978年3月15日
ニューヨークのAtlantic Studios、The Record Plant
にて・・・
Bruce Springsteenリード・ヴォーカル、リード・ギター、ハーモニカ
バックを務めるのは・・・
The E Street Band、メンバーは
Roy Bittanピアノ、バッキング・ヴォーカル
Clarence Clemonsサックス、バッキング・ヴォーカル
Danny Federiciハモンド・オルガン、グロッケンシュピール(鉄琴)
Garry Tallentベース
Steven Van Zandtリズム・ギター、バッキング・ヴォーカル
Max Weinbergドラムス
エンジニアリング、ミキシングは、Jimmy Iovine
アシスタント・エンジニアは、Thom Panunzio
ミキシングは、Chuck Plotkin
マスタリングは、Mike Reese
そしてプロデュースは、勿論・・・
Bruce Springsteen、Jon Landau
アシスタントとして、Steven Van Zandt
ジャケット写真は、Frank Stefankoです。
そして、全曲、Bruce Springsteen
の作品です。
A面、Maxのパワフルなドラムスから、どこかで聴いたリフ・・・
そう、Bruceが大好きなThe Animals
のDon't Let Me Be Misunderstood
をぱろったイントロから、あの歌
Badlandsでスタート
、この上なくオープニングに相応しいナンバー
Bruceは勿論、各メンバーのプレイも活気づいています。
"Poor Man Wanna Be Rich、Rich Wanna Be King, And A King Ain't Satisfied ’Til He Rules Everything~"の部分が大好き
途中、テレキャスターと思えるギター・ソロ、続いてClarenceのサックス
静かにハミング・・・そしてまた爆発、最高のナンバーです。
アルバムから第2弾シングルで、全米No.42
第1弾シングルだったら、’80年代のリリースだったら、もっとヒットしたことでしょう。・・・
因みにギター・ソロの部分、1985年の日本公演では、Bruce
が弾いていましたが、2003年にN.J.で見た公演
では、Steven
が弾いていました。・・・
Born To Runと並ぶBruce
のテーマ曲のようなものです。
2曲目、ハードなロック・ギターのイントロから・・・
Adam Raised A Cain、邦題は「アダムとケイン」
旧約聖書の通り、父と子をテーマに・・・尚、日本ではたいてい「カイン」と記されますが、Bruceの歌もこの上なくパワフルに、そしてギター・ソロも
そのバックには、Royのピアノ
最後は、力強いコーラスとともにフェイドアウトしていきます。
3曲目、静まったところで、ピアノが入ってきて、少しずつ大きくなってくるBruceの歌声
Something In The Night
スローな曲でありながら、大地を揺るがすようなBruceの歌
メンバーのコーラスもバックアップ
途中、Maxのドラムスだけで、語るように歌い・・・再びパワフルに
ただ圧倒されます。
4曲目、Maxのハイハットが響き、語るようにBruce
Candy's Room
スネア・ドラムのビートがスピーディーに、それに合わせてRoyのピアノ
Bruceの歌は、どことなくミュージカル風に
そして、ギター・ソロ、ここからはハードなロック・ナンバーに
まるで短編ロック・オペラ、ドラマチックに終演
・・・
2003年8月30日のニュージャージーのGiants Stadium公演で、自分は初めてライヴ
で聴き、感動しました。
5曲目、静かなRoyのピアノから、静かながらあの声でBruce
が歌う・・・
Racing In The Street
最初、タイトルを見た時は、スピード感溢れるロックン・ロール・ナンバーかと思いましたが・・・
レースそのものではなく、ようやく手に入れた車に、ささやかな夢を託す男の物語・・・
Royのピアノ、そしてそこに重なるDanny
のオルガン、この情景を十分に作り出しています。
約7分間の物語は、まだ続くかのように、ピアノとオルガンの音でフェイドアウト・・・
この面は、ここで終了、Clarenceのサックスも、ハードなギター・ソロもありませんが、Bruce
を代表する1曲、それだけに、Queen
のRoger Taylor
等、カバーしている人も結構いるようです。
1985年の日本公演の何回かは、この曲で本編終了となりました。・・・
ところで、余談ですが、この曲で、当時はまだ少なかったSeven-Elevenが、アメリカ
のものであることを知りました。(笑)
B面、ハーモニカも入る軽快なイントロから・・・
The Promised Land、Chuck Berry
とは同名異曲
明るく軽快で元気をもらえるナンバーのようですが、Bruceの痛烈なメッセージが込められたナンバー
途中、スローダウンで、ギター、サックスのソロ
"The Dogs On Main Street Howl~And I Believe In A Promised Land~"の部分、即ち、サビのコーラス部分が最高です。
尚、The Ghost Of Tom Joad Tourでの来日公演では、全く違ったアコースティック・ヴァージョンで歌われましたが、それがBruce
の曲の凄いところです。
アルバムから第3弾シングルとして、リリースされた国もありました。・・・
2曲目、ピアノを中心としたイントロから、静かに歌い始める・・・
Factory
Bruceの歌で、街の光景が浮かんできます。
最後の哀愁を帯びたハミングで、短編物語はフェイドアウトしていきます。・・・
3曲目、Dannyのオルガンをバックに、Bruce
の歌が入ってきて・・・
Streets Of Fire
そして、爆発のような(笑)Bruceの歌と同時に入ってくる・・・Roy
やMax
そして、力強いギター・ソロ
ここでも大地に響くようなBruceの歌声
に圧倒されます。
4曲目、キーボードをフィーチャーしたポップなイントロから・・・
Prove It All Night、邦題「暗闇へ突走れ」
Bruceが歌うハードなラヴ・ソング
、珍しく歌詞に"Kiss"が出てきます。
サックス、ギター・ソロ、そしてドラムスだけをバックに歌い始め、、再びハードに
エンジニアで参加している若かりしJimmy Iovine
彼がその後自身のプロデュース作品でよく使う手法は、ここで習得したのかもしれません。・・・
前述の通り、先行シングルで、全米No.33、3年ぶりにTOP40に登場しました。
そして、アルバム最後5曲目は・・・ピアノとベース音が響き・・・
Darkness On The Edge Of Town、「闇に吠える街」
あの声で、最初は静かに歌い始めますが・・・
"Well If She Wants~”からバックの演奏とともに炸裂
"There's A Darkness On The Edge Of Town~"
Bruceにコーラスを付けるのは、まさにBlood Brothersと言えるメンバー
最後はイントロと同じフレーズで・・・まさに嵐が立ち去っていくという感じでフェイドアウトしていきます。・・・
少し先の話になりますが、2010年、CD3枚とDVD3枚
のボックス・セット
The Promise: The Darkness On The Edge Of Town Storyがリリース
こちらは、まるで百科事典のような豪華仕様でした。
このボックス・セットについて記すとキリがないので、それはまた別の機会にします。・・・(苦笑)
さて本題に戻して、アルバムを通して聴くと・・・
「えっいったいどこが、大人しいアルバム
・・・(笑)」
物凄いパワーです。
静かな曲2,3曲を聴いただけの局面では判断できません。(笑)
ということですが、前述の通り、全米最高位No.5
前作を上回る高位置には行けず、さらに同時期にリリースされた、1つ前に登場した Bob Seger & The Silver Bullet Band
のStranger In Town
の方が、この時点では好セールスでしたが・・・
やはり、3年近いブランクと、Bob Seger~のようなシングル・ヒットがなかったことも影響しているのかもしれませんが・・・
でも、ここからが凄いことになるのです。
Bruce Springsteenは、この1978年の5月、The E Street Band
とともにツアーをスタート
これが・・・毎回、長時間に渡る凄いライヴに
今や、伝説となっています。
そう、Bruce Springsteen & The E Street Bandの本当の神話は、実はこの1978年のDarkness~
のツアー
から始まった
・・・
そう言っても過言ではないでしょう。・・・
尚、このツアーの模様は、当時、FM東京の日曜の番組で、2週に渡って放送され、Bruce Springsteenのライヴ
がいかに凄いかを少しですが、実感することができました。
また少し記したボックスセットにも、1978年のライヴ映像作品
が収録されています。
Prove It All Night
Bruceの中では、ポップな曲と思いましたが・・・ライヴ
では
・・・
凄いことになっています。
まさに"Prove It All Night"なのでした。
このBruceの勢いは、さらに続き、1979年、盟友 Jackson Browne
の誘いで参加したNoNukes
このチャリティ・コンサートでは、Jackson
との共演も含み、1番感動的なライヴ
に
そして、1980年、あの大作アルバムリリースに繋がっていくのでした。
Bruce Springsteenのファンの中では、この Darkness On The Edge Of Town
が1番好き
、思い入れがある
、そんな声を多く聞きます。
かくいう自分は、前述の通り、最初出た時は、割と冷めていたのですが・・・(笑)
でもやはりこれ以降のBruce Springsteenの行動によって、自分にとって、Bruce
が絶対的な存在になる
という思いは培われていったのでしょう。
1978年のアルバムということでは、少し登場は遅れましたが・・・
Darkness On The Edge Of Town
改めて、ここから凄いことが始まった・・・それを実感します。
Keep Movin' ’Til It's Understood And These Badlands Start Treating Us Good~
尚、この頃はまだあまり"Boss"と呼ばれていなかったと思うので、自分の表記も敢えて、"Bruce"で統一させていただきました。・・・
(1975年のアルバム その100 Born To Runに関する日記です・・・)
https://ameblo.jp/take-1097-da/entry-12372654136.html