1976年のアルバム(その53 Blow Your Face Out/J.Geils Band)
1976年のライヴ・アルバム・シリーズを続けていますが、この年の最高のライヴ・アルバムといえば・・・
Blow Your Face Out / The J.Geils Band
いや、「最強のライヴ・アルバム」ということでは、紛れもなくこれに尽きるでしょう。
1970年にレコード・デビューして、8枚目のアルバムにて、既にLive Full Houseに続いて2枚目のライヴ・アルバム
彼らにとって、ライヴ・パフォーマンスがいかに重要かを物語っているようです。
邦題は「狼から一撃!」
勿論、グループの顔であるPeter Wolfの名前から取った邦題であることは言うまでもないでしょう。・・・
このアルバム
可能な限り、大きな音で聴くだけです。
The J. Geils Band
メンバーは、Peter Wolf、リード・ヴォーカル
J. Geils、ギター
Magic Dick、ハーモニカ
Seth Justman、キーボード、ヴォーカル
Danny Klein、ベース
Stephen Bladd、ドラムス、ヴォーカル
オリジナル曲を書いているのは、Seth JustmanとPeter Wolf
このライヴ・アルバム
1975年11月15日、彼らの本拠地、BostonのBoston Garden
そして1975年11月19日、DetroitのCobo Hallにて収録
プロデュースは、Bill SZymczyk、Allan Blazek、そして・・・
Seth Justmanです。
レコード1枚目
A面・・・アナウンスに続いて・・・「帰ってこれて嬉しいぜ・・・」とPeter Wolf
"Come On Baby" を連呼
Seth Justmanの軽快なピアノから、この時点での最大のヒット・アルバムBloodshotからのSouthside Shuffleでスタート
1曲目から最高潮
続いて、J.GeilsのギターとPaterの掛け合いから、やはりBloodshotからのBack To Get Ya
Magic Dickのハーモニカもパワー全開
「スローで行くぜ」とPeter
そんな感じで、Junior Walkerのブルース、Shoot Your Shot
彼らの得意とするナンバー
SethとStephenがコーラスを付けます。・・・
ここでPeterがトーク・・・
「次は絶望の歌・・・LOVEについてだよ・・・」
と、Johnny CarsonのTV番組とか、日常生活の話をして、彼女(?)を訪ねた時の話へ・・・
そして「血迷っちまった・・・」と・・・
曲は勿論、Musta Got Lost
邦題は「傷だらけの愛」
この時点での彼ら最大のヒット曲だけに盛り上がりも凄い
この数年後のCenterfoldにも通じるナンバーでしょう。・・・
レコードB面へ・・・
軽快なリズムで、Where Did Our Love Go
そう「愛はどこへ行ったの」の邦題でもお馴染みのHolland-Dozier-Holland作のThe Supremesの大ヒット曲
オリジナルに忠実ですが、J.GeilsのギターとMagic Dickのハーモニカで完全にThe J. Geils Bandサウンドに
当時、シングルとしてもリリースされていました。・・・
「スペシャル・リクエスト・・・」ということで、Terry Fellのカントリー・ナンバー、Truck Drivin' Man
ここではJ.Geils、カントリー・タッチのギターを聴かせてくれます。
"Love Trouble・・・"とPeter
曲はLove Itis
この時点での最新アルバムHotlineに収録されたHarvey Scalesのナンバー
邦題は「非情の愛」、シングル・カットもされていたナンバー
カバーとはいえ、サビの部分のコーラスといい、まさにThe J. Geils Bandです。
Bobby Womackが在籍していたThe Valentinosのヒット曲で彼らもカバーしたLookin' For A Love(邦題「愛をさがして」)が短くプレイされて・・・
"We're Gonna Blow Your Face Out"
「1発ぶちかますぜ」とでも言うのでしょうか、アルバム・タイトルにもなったPeterの決め台詞から・・・
(Ain't Nothin' But A) House Party
アルバムBloodshotのオープニングを飾っていたDel SharhとJoseph Thomasの作品
まさにJ. Geils Bandそのもの
Peterを中心に各自のプレイもフィーチャー
まさに最高潮で、レコード1枚目は終了です。・・・
レコード2枚目、A面(C面)、Dyke And The Blazersの1967年のヒット曲So Sharpでスタート
セカンド・アルバムThe Morning Afterにも収録
こういったR&Bのカバーは彼らの得意とするところ
「真実の時だぜ、用意はいいか・・・」とPeter
Detroit Breakdown
アルバムNightmares・・・~のオープニングを飾るこれも彼らのテーマ曲と言えそうなノリのいいロック・ナンバー
Magic Dickのハーモニカも勿論、J.Geilsはタイトなギターを聴かせます。
ここでPeterはオカルト的なトークを・・・
そして静かに始まるのが・・・Chimes
アルバムLadies Invited収録のスローなナンバー
各自のプレイもフィーチャー
後半は盛り上がりドラマチックにエンディング
このライヴでのクライマックスと言えるでしょう。
レコード2枚目B面(D面)、軽快なドラムスからAlbert Collinsのブルース、Sno-Cone
アルバム唯一のインストゥルメンタル
ここでもJ. GeilsとMagic Dickの掛け合いが聴きもの
続いて、軽快なピアノからWait
ファースト・アルバムからのソウルフルなロックン・ロール
さらに盛り上がってきて・・・Raise Your Hands
Eddie Floydのナンバー、Bruce Springsteenもライヴでよく歌っています。
Peterの歌は改めてソウルフルと実感
ここで少し静かにJ.GeilsのギターをバックにPeterが聴かせる・・・
Start All Over
アルバムBloodshotから、このライヴ唯一のスロー・バラード
そして・・・Give It To Me
アルバムBloodshotからシングルとしてもヒットした彼らの代表曲
いち早くレゲエのリズムを取り上げ、Sethのオルガン、ピアノを軸に各自熱いプレイ
Peterは盛り上げ、場内もそれに応えています。
最高潮でエンディング
割れんばかりの拍手で、アルバムはフェイドアウトしていきます。・・・
尚、トータルの収録時間が約80分ということで、CD化の際は1枚となってしまいました。・・・
このライヴ・アルバムに理屈はいらないでしょう。・・・
1976年に多く出たライヴ・アルバム
Frampton Comes Alive!とこれが東西の横綱であると思っています。
The J. Geils Bandは1980年6月に初来日公演を果たし、そこでは何とアンコールを数回、さらには客席が明るくなってからでも出てきた
いわば伝説の来日公演となっていて、これに行かなかったことを自分としては本当に悔やんでいます。・・・
(1997年のPeter Wolfのソロ公演は行きました。・・・)
その来日の約1年半後、The J. Geils BandはCenterfoldとアルバムFreeze-Frameの全米No.1で、頂点に達するのです。
・・・ですが、その後に、もう1枚ライヴ・アルバムShowtime!がリリースされるのですが・・・
仮にFreeze-Frameから知った人がその後、温故知新といった感じで、このBlow Your Face Out!やその前の"Live" Full Houseを聴いていたら・・・
そのShowtime!は何かライヴのベスト盤のような気の抜けた内容に思うでしょう。・・・
その通り、そのライヴ・アルバムの失敗、そしてそれがなんとPeter Wolfの脱退にもつながってしまったようです。・・・
尚、自分も1982年のアルバム・シリーズではそれを取り上げないでしょう。(苦笑)
余談ですが、Peter Wolfは1974年から1979年まで、女優のFaye Dunawayと結婚していて、この当時、彼女はChinatown、The Towering Inferno、そしてオスカー受賞のNetworkでハリウッドのトップ・スター
当時はなかった言葉ですが、まさに「格差婚」のようなことを言われていました。(苦笑)