1976年のアルバム(その43 KGB)
ロックに興味を持ち始めると温故知新といった感じで、俗に名盤と言われるアルバム、もしくは伝説のギター奏者等に興味を持ち始めるものです。
そしてそんな時に聞いた名前の1人が・・・
Mike Bloomfield
The Paul Butterfield Blues Bandのギタリスト
そして、Bob DylanのあのHighway 61 Revisited
に参加して超有名に
そしてそのアルバムで共演していたAl Kooper
とSuper Session
さらに「フィルモアの奇蹟」として、日本でも大ベストセラーとなったThe Live Adventure Of Mike Bloomfield And Al Kooper
まさに伝説のギタリスト
この何年か沈黙を守っていた(実はドラッグ漬け・・・)のですが、凄いメンバーのバンドでカムバックするとのニュース
そしてそのドラマーが、Carmine Appiceとのこと
Vanilla Fudge、Cactus
で知られた彼ですが、日本においてはBeck, Bogert & Appice
としての来日公演
で物凄いドラムスであらゆるロック・ファンを圧倒してくれた人
それ以外のメンバーは、Mike BloomfieldとはThe Electric Flag
でも一緒だったキーボード奏者でソングライターのBarry Goldberg
Family、そしてやはりスーパー・グループだったBlind Faith
、そしてTraffic
のメンバーだったベース奏者のRick Grech
Beach BoysのSail On Sailor
をBrian Wilson
と共作していたことで知られたソロでも活動していたシンガー、Ray Kennedy
Ray Kennedy、Barry Goldberg
、Mike Bloomfield
3人の頭文字から、KGBに
奇しくもソ連秘密警察の略称になりました。・・・
尚、このバンドの仕掛け人はDavid Geffenだったようです。・・・
このスーパー・グループが登場する
そんなニュースを聞いてまもなく洋楽を断つ時期になってしまいました。・・・
・・・そしてちょうど自分が洋楽解禁となった、1976年春
KGBのデビュー・アルバムKGB
はベールを脱ぎました。
まさにグッド・タイミング
ただ高校生になったばかりで、そんなにお小遣いはなく、でもそんな時に運良く、FMでアルバム全曲オン・エア
先ずそれをエアチェックしました。
KGBのメンバーは上記の5人
(Mike Bloomfield、Barry Goldberg
、Carmine Appice
、Rick Grech
、Ray Kennedy
)
プロデュースはJim Price
アレンジは彼とKGBがクレジットされています。・・・
A面、軽快なパーカション・サウンドから黒っぽいサウンド
そしてソウルフルなRayの歌
Let Me Love Youでスタート
作者はRayとJ.Conrad
随所にMikeのギターが出てきます。
日本ではシングル・カットもされていました。・・・
続いて、ゴスペルっぽいムードのMidnight Traveller
バックのサウンドはスワンプ・ミュージック風
作者はPaul Rosenberg
3曲目、スライド・ギターから女性コーラスも入り、ソウルフルなナンバー
でもどこかで聴いたことがあるなぁ・・・そう思っていたら・・・
なんと
I've Got A Feeling
まさかここでBeatlesとは
因みにPaulのパートも、John
のパートもRay
が歌っています。・・・
余談ですが、この時は元Beatlesの4人とも健在だったのですよね。・・・
少し大人しくなって、続いてはHigh Roller
Three Dog Nightとかのヒット曲で知られるDaniel Moore
の作品
それだけにポップな面もあるミディアム・テンポのナンバー
ここでも心地よくギターが響きます。
そして・・・ノスタルジーなピアノにギターが絡んできて・・・
Sail On Sailor
Beach Boysが先にリリースしているので、セルフカバーと言えるのでしょうか。
こちらはややスローに、そして女性コーラス()の参加でソウルフルになっています。
Rayの代表曲と言えるでしょう。
B面・・・アコースティック・ギターから、レゲエ風なサウンドに
Workin' For The Children
MikeとBarry
の共作、当時の流行のレゲエ・ビートを取り入れているのでしょう。
続いては静かに始まって、盛り上がってくるYou Got The Notion
これまたソウルフルなナンバー
Ray自身の作品、バックのキーボードも効果的です。
続いてもソウルフルなバラード、Baby Should I Stay Or Go
こちらはMikeとBarry
の共作
Rayが熱唱しています。
そしてファンキーなベース・ラインのIt's Gonna Be A Hard Night
こちらはBarryとWill Jennings
の共作
女性コーラスも効果的にポップなヒット曲の要素も
ここでもギターが炸裂です。
アルバム最後は、ドラマチックに、Magic In Your Touch
Rayの作品で、Barry
のピアノを中心に歌い上げます。
少しRod Stewartも思わせるこのスロー・ナンバーで幕を閉じます。・・・
・・・ということで、鳴り物入りで登場したKGBでしたが・・・
なんとすぐにMike BloomfieldとRick Grech
が脱退
もっともMike Bloomfieldはドラッグ漬けで、とてもライヴ
ができる状況ではなかったよう・・・
KGBは、ギターにBen Schultz
、ベースにGregg Sutton
を加えて活動
その年の後半にはセカンド・アルバムMotionをリリースしますが・・・
Carmine AppiceがRod Stewart Band
に引き抜かれたり・・・
やはり表看板であるMike BloomfieldのいないKGB
は自然消滅してしまったようでした。・・・
尚、Mike Bloomfieldは1981年2月、ドラッグの過剰摂取によってこの世を去っています。・・・
尚、Ray Kennedy
この数年後の1980年、David FosterプロデュースによるアルバムRay Kennedy
が日本で大ブレイク
邦題は「ロンリー・ガイ」
そしてシングルYou Oughta Know By Now(こちらも邦題は「ロンリー・ガイ」
)が日本でヒット
そして、八神純子さんの「パープルタウン」
がソックリ
・・・ということで、作者としてこちらにもRay Kennedyの名前がクレジットされたことも話題になりました。
・・・ですが、このことでRay Kennedyの知名度も広がり、その後、彼自身、日本の清涼飲料水のCMに登場したりしました。・・・
1984年にはなんと
Michael Schenker Groupのシンガーとして来日
「これって、あのRay Kennedy・・・」
自分より一世代若いMSGに参加したことは驚かされました。・・・
その後、シンガー・ソングライターとして活動されておられましたが・・・
2014年2月にお亡くなりになりました。・・・
(一時期とはいえ、日本でもブレイクした人だけに、一般紙に死亡記事が掲載されました。・・・)
・・・ということで、作られた感もあったバンドでもあったわけですが、もしMike Bloomfieldが元気な状態で、このKGB
が活動を始めていたら・・・
どうなっていたことか・・・
KGB
改めて聴いてみても、1976年のものとは思えないくらい完成された作品
今では取り上げられることもないだけに残念に思っている次第です。・・・