2019年国家総合職【No.21】民法
※〔テキスト〕は学内講座用のテキストのことです。
イ:妥当でない。
「代理権の範囲内ではあるが売却代金を着服する目的」=代理権濫用の問題。
代理権濫用については,93条ただし書きを類推適用します(最判昭42・4・20)。
この処理については,改めて各自のテキストで確認しておきましょう。
原則:本人に効果帰属する。
例外:相手方がその真意を知り又は知ることができたとき(悪意・有過失)は本人に効果帰属しない。
なお,テキストは78頁⑶。
エ:妥当である。
本人が死亡して無権代理人が相続したケースである。この場合は,本人と無権代理人の地位が融合すると考えるので,無権代理人は本人の地位に基づいて追認を拒絶することはできません(最判昭和40・6・18)。
なお,テキストは83頁⑴①(a)。
オ:妥当でない。
無権代理人が死亡して,本人が相続したケースである。この場合は,本人に無権代理人の地位が帰属することになり,その地位は併存します。そのため,本人の地位に基づき追認拒絶を行うことができます(最判昭和37・4・20)。
ところで,本問題の解答には直接関係ありませんが,このケースの場合に,本人の地位に基づき追認拒絶を行ったときは,本人は,無権代理人の地位を相続していることになるので,無権代理人の責任を負う点に注意が必要です(最判昭48・7・3)。併せて押さえておきましょう。
なお,テキストは84頁⑵(a)。