趣味や健康、人間関係を追求する時間はリタイア後に確保
すればよいと考え、個人の生活を後回しにしている人は多
い。著者の母もそうだった。シングルマザーだったためキ
ャリアが中心になり、人生を楽しむことができなかったの
だ。残念なことに、彼女はガンを患い48歳でこの世を去っ
た。FIREの考え方の基本的な強みは、好きなことの探求を
老後まで待たない点だ。まだ従来型のフルタイム勤務をし
ている人が、仕事以外の活動をする時間を作るためには、
どんな工夫ができるだろうか?
実際、FIREのコミュニティーに属する人々の多くは、リタ
イアを宣言した後も何らかの仕事を続けている。そのため、
他人からは「ふーん、引退したと言っているのにまだ働い
ているんだ」などと思われるかもしれないが、これはFIRE
の自立の基本である。彼らは働く必要のない境遇に到達しよ
うと努力しているだけであり、リタイア後の有給労働は充
実した生活を送るための選択肢の1つなのだ。45歳の若さで
引退するには、もう手遅れかもしれない。だが、それでも
いいのだ。FIREの考え方を日々の生活に取り入れることで、
人生を豊かにし、揺るぎない引退への道を歩むことができる
だろう。
★老後とは実際の年齢ではなく健康年齢である。健康と貯金
と仕事のバランスがFIREの中身ではないだろうか。また、
人生の中での間欠的FIREも見逃せない。