人間の肌には、優しくなでられた時にだけ反応する受容
体があります。その受容体は痛みや温度には反応せず、
肌を押されても反応しませんが、軽くなでられた時には
反応します。その反応が最も良いのが秒速2.5センチの
速さで触れられた時で、それはまさに誰かに優しくなで
られる時の速さです。 そこには何か意味があるはずです
。でなければ身体にこの受容体が組み込まれるように進
化したはずがありません。 肌が受け取ったシグナルをた
どって脳まで行くと、その答えがわかります。肌を優し
くなでられると、「脳下垂体」という脳の下部分にある
内分泌腺(ないぶんぴつせん)で「エンドルフィン」が放
出されます。エンドルフィンというのは脳内伝達物質で、
痛みを和らげたり幸福感という強い感情をつくったりしま
す。