【一般質問①】
全国的に今後の水道事業経営は非常に厳しくなると予想されますが、高槻市における水道事業の現状と今後の見通しについて、当局の見解を伺いました。
<平田>
日本の水道事業は、普及率、水質ともに世界でもトップレベルを誇っており、日本国内、人が住むところであればほぼ全ての地域で水道水を利用することができます。これは、戦後国家プロジェクトとして事業に取り組んできていただいた先人たちの努力の結晶でありますが、特に1957年に水道法が制定され、水道の普及率は飛躍的に上昇することになりました。
昭和32年、1958年時点で、給水人口約3,700万人、普及率約41%にとどまっていたのが、この水道法の制定、そして高度経済成長の波に乗り、大幅な拡張をとげることになりました。現在では、給水人口約1億2,600万人、普及率も98%に達し、ほぼ全ての国民が水道の恩恵を享受できる環境が整っております。
蛇口をひねれば、当たり前のように水が出るというのは、現在の日本で暮らしておりますと当然のことのように感じますが、わずか半世紀少し前まではそれは当たり前のことではありませんでした。戦後まもない頃には、蛇口から水が出ると、非常に感激したという話もお聞きしておりますし、また、世界に目を向けてみましても、水道水をそのまま飲める国というのはわずか9カ国しかないと言われております。
我々が当たり前のように考え、当たり前のように利用している日本の水道は、容易に実現できているものではなく、先ほども申し上げたように先人たちの取り組み、そして現在水道事業に携わっていただいている皆さんのおかげで、維持できているものであります。本市においても、大阪北部地震では非常に多くの世帯で濁水や断水が発生し、水道が使えないことの不便さ、水道を使えることのありがたさを市民の皆さんも改めて感じられたことと思います。
今一度、この水道を自由に使えるということは、これは決して当たり前のことではなく、さまざまな努力の上に成り立っているということを再認識、再確認した上で、これからの水道事業をいかに維持していくのかということについて伺ってまいりたいと思います。
さて、世界でも有数の日本の水道事業ですが、一方で、これまで世界のどの国も経験したことのない非常に大きな危機を迎えているというのは皆さんもご承知の通りです。戦後、高度成長期に整備してきた膨大な施設や水道管は老朽化が進行し、本格的な水道管の入れ替えや浄水場の建て 替えなど大規模な更新が必要な時期を迎えています。
特に、東日本大震災や熊本地震などの大規模災害、本市でも大阪北部地震がありました。こういった大規模災害により、全国各地で大きな被害がもたらされたことによって、水道を含むインフラの耐震化、老朽化対策が喫緊の課題であることが改めて認識されるようになりました。また、昨年和歌山市で水道管が通る橋が崩落し、約六万世帯への水の供給が一週間もの間ストップしました。市民の皆さんも大変な思いをされたという報道も記憶に新しいところであります。
私自身も、北部自身を経験して、身をもって水がどれほど大切で、無くてはならないものかというのを実感しましたが、当然のことながら、これだけ大規模な施設、水道事業を維持していくためには莫大な費用がかかります。
ところが、その主要な財源となる料金収入は人口減少や節水意識の高まりによって、今後減少していくことは間違いありません。老朽化対策、耐震化対策でこれまで以上に支出が大きくなるにも関わらず、料金収入はどんどんと下がっていき、これからますます厳しい経営環境になっていくことは避けることができません。そこでお伺いしたいと思いますが、まず1問目として、水道事業の現状と、そして今後の経営状況の見通しについて、市の見解を伺います。
<答弁>
水道事業についてのご質問にお答えいたします。
まず、水道事業の現状と今後の経営状況の見通しについてでございます。現状といたしまして、本市の水道施設の多くは、高度経済成長期に整備され、今後、更新時期を迎える施設や設備が増加していくことから、計画的に更新していく必要がございます。
一方、給水人口と使用水量はともに減少傾向にあり、将来の水需要はさらに減少していく見通しでございます。
これらのことから、今後の経営の見通しは、水道施設の更新費用など、支出は大きく増加する一方で、主な収入源である水道料金収入は大きく減少し、非常に厳しい財政状況を見込んでおります。
令和3年度から12年度までの「水道事業基本計画」では、令和12年度には、収支は赤字となり、資金残高もマイナスになる見通しであり、このような状況でも、持続可能な経営を行っていかなければならないと考えております。