第三十二回映画と音楽のレビュー~寄生獣・前編~ | novel2017のブログ

 

アニメ漫画は見ない。よってアニメ漫画の実写化も見ない。

ただし例外はある。それが「20世紀少年」、「DEATH NOTE」、そしてこの「寄生獣」だ。

つまりこの3作品に限っては原作を読んでいる。なんてチョイスだ笑

寄生獣は高校生の時に部活の友達に借りて読んだ。おもしろかったなあ。今でもありありと思いだせる。だから結構期待してた。実写映画に対して原作ファンから一言物申せるってのが斬新で楽しみ。まずは前編から。。。。

 

 

 

まずポスターに一言。キャッチフレーズかっこいい。この一言はびしっと決まってる。「日常は、ある日とつぜん、食べられた」

"とつぜん"が平仮名なのも意図的かな。

 

 

 

2部作になっているこの映画、もちろん前編は、主人公シンイチの体にミギーが寄生するところから始まり、主人公の苦悩、焦りや戸惑い、母を失い、真実を知ってく過程に絞られていく。

細かいところは置いといて、全体としてはよくできていたと思う。

だけどレビューを見たら中々残念な言われようだった。

「原作に忠実じゃない」

「キャラクターがおかしい」

「大切なシーンがない」

「ミギーの冷徹さが足りない」

 

最後は激しく同意する。ちょっとフレンドリーすぎるってか、人間に寄り過ぎてる気がした。まあ大人の事情ってとこですかね。ええ。

ところで他の意見に関しても、気持ちはわかるしもっともな意見だとは思うが、なかなかみんな厳しいなあとも思う。今回はまだ前編後編にわけていたのでよかったが、本来なら2時間で済ませなければならないのだ。どう考えたって尺が足らないのは明らかだ。私は今回の映画に無駄なシーンはなかったと思う。もちろん、欲しいカットもなかったとは言えないが。でも無駄なシーンがあって大切なシーンが無かったらそりゃムカつくが、無駄なシーンはないけどほしいシーンもない場合は「あ、もうパンパンなんだな」とあきらめがつくと思うのだがどうだろう。何かを得りゃ何かが犠牲になるのは当たり前だし。「それを何とかするのが仕事だろ、できないなら実写化するなよ」といわれりゃあ苦しいけど、でも野球でも10割バッターなんていないわけだし。もうそうなるとやじだよね、ただの。

(例えばミギーが4時間眠たくなるくだりは、原作には不可欠で、実写にももちろんもりこんだけど、後編では全然使うタイミングなくて設定自体なかったことになっている。でもそのくだりは無駄じゃないし、その設定を使う余裕がなかったというのも理解できるので仕方がないと割り切っている。)

 

そもそもどうして映画ってこれほど大衆に迎合しなければならないのだろう。

音楽ならカバーアルバムを出したとして、たとえそれがどれほど原曲と違えど、多少叩かれてもそれほど炎上しないのは「まあ、こいつの解釈だし」という言い分が通用する一方で、映画は、絶対原作ファンも知らない人も満足させるように作らねばならないのだろう。なんだか気の毒な気もする。たとえキャラが違っても、雰囲気が違っても「これは山崎の作る寄生獣なんだし」と言ってあげるのはいかがだろうか。

多分それは、音楽と違って映画の実写化(カバー)は数がでないからだろう。おそらく寄生獣だって実写化は山崎の作品のみになるだろうし、比較のしようがない。だからこそ、唯一の実写作品になるであろうというみんなの覚悟があるからこそ「絶対思い通りの作風にしてくれよ」という強い願いが生まれるのだろう。うーん。どちらの気持ちもわかる。

 

 

私は珍しく原作も読んでいるので、今回はでかい顔して語りたいところだが、割とよくできていると思った。もちろん、さっき挙げた「ミギーの冷徹さが足りない」という指摘は激しく同意する。それだけはちょっと気になったな。なんかそこ優しかったらテーマが浅くなる気もしたし。

でも染谷くんだって演技上手かったし。お母さんが殺される絶望とかはすごく胸に来た。どうやらヒロインの橋本愛が叩かれ気味だが、全然そんなことない。そりゃ原作のヒロインと比べりゃひとつやふたつ言いたいこともあるだろうけど、あの映画としてみれば別になんてことない。(後編にでてくるセックスシーンはよくやったと思う。えらいわ)

深津絵里の不気味さも、CGもよくできていた。お金かけるところがちゃんとできている。まあ公開当時はネットで案の定お粗末なCGだと馬鹿にされていたが、例えばあの冒頭の食べられるシーンもスクショでじっくり見りゃそりゃへんてこに見えるに決まってる。でもそこはカメラワークもそうだしカットの速さでリカバーしてるんだし、それはちょっと酷だよと思う。じゃあフィギュアスケートで懸命にジャンプする浅田真央の渾身の踏ん張り顔だけを抜き取って、「きたねえ顔だな減点だろこれ」というのか君たちは。と問いたい。あれは映画ファンでも原作ファンのやることでもない、最低の行為だと思う。悪意のある切り取りはね。

 

 

 

話が広がりすぎた。まあ要するにそこそこよかった。決して後世に残る駄作とではないと思うよ。てか、後世に残る駄作をなめんなよ。ほんまにひっでえやつはひっでえから。思わずテーブルをドンッ!って叩いてしまうから。

 

 

 

音楽に関して。

主題歌は前編後編通してBUMP OF CHICKENが担当。前編はファイター。まさに映画のエンドとピッタリの曲。単体ではもちろん聴いていたけど、あまりピンとこなかった。それは別に「サビないじゃん」みたいな幼稚な理由ではなく、ただただ世界観がよくわからなかった(深く歌詞考察もしていなかったのもあるが)。でも今回映画と一緒に観たら「おお、こんなにシンクロしているのか」と驚いた。山崎監督とバンプは旧知の仲。「Always~三丁目の夕日~」でもコラボしているし、山崎監督は本当にバンプをリスペクトしている。映画作って適当に曲依頼して「はいよろしくー」じゃなくて、ちゃんとバンプの曲をうまく料理している。さすがだなと。ラスト10分からのエンディングへの流れだけMVとしてほしいね。よかったわ。

 

 

 

映画見て以来この曲好きになった。

 

 

 

 

さ、後半レビューはまた今度。