2009年今年だったらてるてる大賞受賞作品
この作品との出会いは、普通と逆。
あの「時効警察」の三木聡監督の・・・と言われるのですが、わたしが最初に観たのは「インスタント沼」。
とんでもない作品を観ちまったな!と、この監督の作品をあさり始めて行き当たりました。2007年公開作品です。
幼い頃両親に捨てられ、育ての親は逮捕され、自らも84万の借金を抱え、踏んだり蹴ったりの大学生8年生・竹村文哉(オダギリジョー)さんは、借金取り(三浦友和)からあと3日の猶予だと告げられます。
途方に暮れていると、借金取りから借金をチャラにする提案を持ちかけられます。その男、福原愛一郎さんとの「東京散歩」に付き合うこと、目的地は霞が関、福原さんが満足するまで続けるとのこと。その報酬が100万円だというのです。
かくして、男ふたりの奇妙な散歩が始まりました。
福原さんは、仕事を廃業した、もっと大事なものも廃業したと言います。
実は、彼は妻を殺してしまった。自首するが、その前にかつて妻としていた散歩をしたいのだそうだ。
一方、殺された福原さんの妻が勤めていたスーパーでは、出勤してこない福原さんを心配するのですが、何しろ国松(岩松了)、仙台(ふせえり)、友部(松重豊)の3人組ですから、死体発見に至りません。留守電に「寝すぎると腐る」とか吹き込まないように。
男ふたりは、歩きながら思い出話などをしますが、亡くなった妻の秘密。文哉さんもかかわっていたのではの不安。文哉さんの幼なじみの初恋の相手尚美(平岩紙)さんとの再会。
町で会うと良いことが起こると言われている、岸部一徳(岸部一徳)さんを目撃。
福原さんが結婚式でニセ家族を演じた時から付きまとわれている、鏑木(広田レオナ)さんとの遭遇。
そして、そのニセ親戚の妻麻紀子(小泉今日子)さんの家に転がり込み、同じく転がり込んできた麻紀子さんの姪のふふみ(吉高由里子)さんも含め4人のニセ家族の生活が・・・。
福原さんは、シャバで最後に食べるのは、カレーだと言います。寿司は出所した時に食うもの。ラーメンはシャバに未練が残るとか。
子供の頃の思い出がない孤独な文哉さんは、動物園や遊園地のジェットコースターにも乗ったことがありません。
そして、福原さんが「カレーが食べたい」と言ったとき・・・。
しみじみする、心暖まる作品でした。
なのに、このいい加減さは何?
・ラムネ(飲み物)にラムネ(お菓子)を入れるとどうなる?
・キョンキョンが「言わない?、『肛門の筋が1本少ない』って」。
・やたら支度に手間取るキョンキョン。
・ふふみさんが風呂で歌うわけわかんない歌。
・テレビで流れる「跳び箱モーニング」。
・針金ハンガーを頭に挟むと、自然に首が曲がる。
・「チャツネ」のチューブに「チャツネ」って書いてある。
・すき焼きにマヨネーズもいいかもしれない。
もう、小ネタ満載。
くだらねえ。もう、なんで?って聞かないで。
そして、笹野高史さんとか、麻生久美子(時効警察かい)さん、石原良純さんまで出てます。なぜか、「岸部一徳」さんを演じる岸部一徳さん(なんで俺が・・・って思ってたりして)。
本編とは無関係に、彼らと触れ合うことなく、勝手に盛り上がっている3人組(岩松了、ふせえり、松重豊)。
でも、この作品の大好きなところは、神代植物園とか、井の頭公園とか、花やしきや、神宮外苑、新宿の思い出横丁とか、もうお散歩ファンにはたまらん映画!
都内のお散歩ロードムービーです。
よく飯を食った、「つるかめ食堂」(思い出横丁)がでてきてうれしくて。
そんなわけで、2009年「今年だったらてるてる大賞」受賞作となりました。
