今月の歌舞伎座で、

一世一代として父が通し狂言をする事が決まった時、身内では体力的な事が心配で正直反対していました。

一世一代とうたっていましたが、

高麗屋さんの襲名披露時の七段目平右衛門
歌舞伎では珍しいダブルキャストにて
一ヶ月を
海老蔵くんと半分にて演じました。
が、父いわく『一ヶ月は難しいネ〜』
『ダブルキャストだから出来たけど〜』
私が言うのも何ですが、玉三郎兄さんとの黄金ペアの
七段目は、たぶんアレが一世一代でしょう

今回の一世一代、
正直驚きました。

本人もですし、私達も、一世一代の気持ちで毎月演じて、今月も父の一世一代にまわりの演者・裏方さん・劇場さんは頑張って下さいました。
演者は
次に同じ役に巡り合える機会は少ないですから
特にあまり出ない作品は、皆んな一世一代の気持ちで演じました。


何が驚いたって、


中日位から体力の不調を訴えると思っていた
主役の父が今月一番元気だったんです。


家族もまわりのスタッフも覚悟はしていたんですが、本当に元気でした。
勿論本人も責任公演として節制していたと思いますが、
しかし驚きました。

小さい劇場なら数年以内にもう一回くらい出来るのでは?と思ってしまうほどでした。


それから、カーテンコール
実は父の美学から言うと歌舞伎では
カーテンコールはあまりしたくない。と言うのが父の考え方なんです。
知り合いのお客様なんかは
「仁左衛門さんはカーテンコールはしないから早く出ましょう〜」って劇場を後にされたお客様もいらっしゃった位てます、

約五分たっても、終演のアナウンスを流しても拍手をして下さるお客様が沢山いらっしゃり
本人も想定外だったと思います。
言葉も発せず、頭だけ下げ皆さんや劇場へ
御礼をしていました。




オヤジらしいな

と楽屋から見守った昨日のじぶんでした。