【W杯】金子達仁氏 世界の勢力図 大きく変わる大会に | 午前零時零分零秒に発信するアンチ文学

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■記事

 

◇FIFAワールドカップカタール大会

 【金子達仁 W杯戦記】決戦に臨むにあたり、先制点が欲しくないサッカー選手はいない。というより、いかにして先制点を奪うか、あるいは奪われないかが、意識の大半を占めるのではないだろうか。

 それぐらい、サッカーにおける先制点の意味は重い。

 だが、稀(まれ)に、ごくごく稀に、奪った先制点が毒として奪った側を蝕(むしば)んでしまうことがある。この日のフランスがそうだった。

 若いフランスの選手たちに、40年前、開始27秒でブライアン・ロブソンにボレーをたたき込まれた記憶があるはずがない。過去、W杯でイングランドに勝ったことがないという歴史も、世界王座に2度輝いた彼らにとってはほぼ無関係だろう。

 にもかかわらず、先制点を奪ってからのフランスは、順調だった試合の流れを自ら手放してしまった。イングランドに何かやられたというよりは、自分たちでできていたことをやめてしまった。

 フランスにとって、イングランドはこの大会で最初に対戦する強敵、危険な相手だった。やられることをあまり気にせず攻め込めた、あるいはやられたとしてもやりかえせると踏んでいた相手ではなく、やられたら危険な相手だった。

 あれほどのタレントを揃(そろ)えたフランスであっても、そんな相手と戦う時は普通ではいられない、ということなのだろう。

 だが、ケーンのPK失敗もあり、フランスは苦しい試合を乗り越えた。普通ならば、「これで連覇が見えてきた」といいたいところだが、次の相手はモロッコ。イングランドと対峙(たいじ)するのとはほとんど真逆の意味で、気持ちをコントロールするのが難しい試合になる。

 両国にとって直近の対決は15年前、サンドニで行われた親善試合だった。結果は2―2の引き分け。たまたま現地で観戦したが、猛烈な寒さの中、異様に盛り上がるモロッコ人の姿が印象に残っている。支配した者とされた者の対決。より闘争本能が燃え上がるのは、もちろん、後者だ。

 ここまで来たら、決勝の顔ぶれがどんなものになっても驚かない。純粋に戦力だけをみれば、アルゼンチン対フランスの決勝と見るべきなのだろうが、クロアチア対モロッコの決勝になることだって十分にありえる。いずれにせよ、今大会を境に世界の勢力図には大きな変動が生じるはずだ。

 これまで、わたしにとってのアフリカと言えば、カメルーンやガーナといった国々だった。つまり、ブラック・アフリカ。彼らの運動能力こそが、魅力の根源だった。ゆえに、いわゆるホワイト・アフリカへの関心は薄かった。

 だが、モロッコがアフリカ勢として初のW杯ベスト4に入ったことで、状況は変わった。彼らは、アフリカでありアラブでもある。いわゆるアウトサイダーの躍進に力ももらった日本のファン、選手もいるだろうが、それ以上に、アジアのアラブ諸国の意識が変わる。

 ここ四半世紀、日本と戦うアラブの国々は、そのほとんどが極端な守備偏重スタイルで向かってきた。内容や実力で凌駕(りょうが)することをハナから諦め、ガッチリ守ってあとは神頼みというサッカーだった。

 これからは、たぶん、違う。

 アラブの国々は、いままでほどには日本を恐れなくなる。同じ民族がW杯で躍進したことで、むやみに脅(おび)える理由がなくなった。

 彼らが強くなれば、予選の強度はあがる。出場枠が拡大したことで、レベルの低下を嘆く声もあるが、そうした声を打ち消すだけの効果を、モロッコの躍進は産み出すはずである。(スポーツライター)

 

はいい記事だ。

着眼点が日本マンセーな馬鹿ライター共と全然違う。

 

なるほど、やはりフランスもモロッコとは戦いにくいか。

確かに、サッカー界でのアフリカは「未知の大陸」な感じがしていた。

しかしそれは、黒人ならではの運動量が魅力だったからだ。

 

知り合いにサッカー通が1人居たのだが、

「彼らアフリカ人にサッカーの技術と戦術を叩き込めば、勢力図は変わる」

と言っていたが、このとき俺が思ったのは以下の言葉だった。

「チームワークの取れた黒人の集団が、ブラジルみたいなものだろう」

そういうと「一理ある」なんて言っていたっけな(笑)

 

とにかく、アフリカ勢は、どこの国の選手も気持ちいいくらいによく動く。

走りだしの加速が他の国よりも全然違うからだ。

それ故に、W杯本戦で勝てないのが勿体ないと思っていた。

勿論、これはアラブ系のチームでも同じことがいえる。

 

モロッコの躍進は、アフリカ勢初のベスト4(この先も変わるかも知れないが)

により、他のアフリカ諸国にも影響を与えるし、アジアなら中東の国々が目覚める。これには凄く納得である。

 

しかし、日本と戦う中東の国々は、極端な守備偏重主義をやめないと思う。

今後は、モロッコのような堅守速攻スタイルを洗練させてくるに違いない。

何しろ、日本は引いてくる相手に弱いからね。

 

もしも、アジア勢が躍進するのなら、それを引っ張るのは日本でも韓国でもなく、

GL敗退したサウジアラビアやイランのほうだと思っている。サウジは自国で強いリーグを持っているので、サッカー熱も風物詩で終わることはないだろう。

 

もっと強くなった中東も観てみたいものだ。