Anime 023 - 宇宙戦艦ヤマト | 午前零時零分零秒に発信するアンチ文学

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A) Anime 003 - 宇宙戦艦ヤマト2199



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■あらすじ

西暦2199年地球は謎の異星人国家・ガミラス帝国の侵略を受けていた。ガミラスは冥王星に前線基地を建設し、西暦2192年より、地球に対して遊星爆弾による無差別攻撃を加えていた。海は蒸発し地球は赤茶けた姿に変貌し、放射能汚染で地上の生物は死滅する。人類は地下都市を建設し、地球防衛軍を結成して抵抗を続けていたが、科学力の差の前になす術もなく、地下にも放射能汚染が進行し、人類の絶滅まであと一年と迫っていた。

最後の地球防衛艦隊も壊滅し人類生存の希望は完全に潰えたかに見えた時、外宇宙から飛来した一隻の宇宙船が火星に不時着、通信カプセルが回収される。その中には、宇宙の彼方イスカンダル星から、「放射能除去装置 コスモクリーナーDを受け取りに来るように」とのメッセージと、航海に必要な波動エンジンの設計図が納められていた。

九州・坊ノ岬沖に、250年も前の世界大戦の末に沈んだ戦艦「大和」も、干上がった海底にその姿を晒していたが、実は、選ばれた人類と生物を地球から脱出させる宇宙移民船へと極秘裏に改造中だった。地球防衛軍は、この「大和」に、波動エンジンを搭載し、コスモクリーナーの受領のための宇宙戦艦「ヤマト」に改造した。

14万8千光年の彼方、大マゼラン星雲イスカンダル星に向け、1年以内に地球に帰還しなければ人類滅亡という状況下、宇宙戦艦ヤマトは人類最後の希望を託されて往復29万6千光年の旅に発つ。
ヤマトはガミラス帝国と戦い、未知の宇宙空間における障害を乗り越えながら、イスカンダルを目指して行く。
Wikipadiaより抜粋)



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■本作について

昨年、38年ぶりにリメイクされた「宇宙戦艦ヤマト2199」は秀作だった。

現代風にアレンジされたとの事だったが、作画はそんなに近未来的なものじゃない。
寧ろ二次元的なキャラクターを三次元的なバックグラウンドに上手く組み合わせ、迫力のある映像を作ったという感じだった。シナリオは、第11話あたりから独自になっていき、新鮮さも出ている。
それでかつBGMやメカデザインに代表されるように、旧作のテイストも若干残してある。厳密にいえば、旧作のⅠ~Ⅲまでのエッセンスを詰め込んだという感じだ。

敵であるガミラスにも派閥があり、国民を殺してでも遷都を企む指導者デスラーを快く思わない連中もいる。ヤマトは波動砲によりデスラーの手からガミラス国民を救ったのだが、これによりヒス副総統以下のガミラス人はヤマトに対して敵意を抱かなくなった。また、女神的な扱いを受けていたイスカンダルの女王スターシャも、旧作のⅢでいうシャルバートのような存在に変更されており、「いかなる理由があろうとも武器を持って戦争したヤマトを罪に問う」というくだりは、旧作になかったものだ。

この辺りの設定と、ガミラスに従属しながらも誇り高いザルツ人や耳が長くて異能を使えるジレル人らのエピソードまで入っているので、彼らの視点から観た指導者デスラーやガミラス人、テロン人(地球人)の様子まで判るように作られている。

尚、Ⅲで登場する「ガルマンウルフ」ことフラーケンは、唯一ヤマトに勝った敵将だが、2199で再登場した時は本当に驚いたものだ。その時の対決は両者痛みわけに終わったのだが、猟犬フラーケンは死ぬことがなく、最後には地球に帰るヤマトを援護した形となった。

TV視聴率は平均3%だったというが、これは2199が先行上映されていたことやDVDが販売されていたことを思えば、そんなに低い数字ではない。上映当時、監督の出渕裕は「続編は作らない」と公言していたが、どうやら次作が映画化されると決定したので、2199は多分成功したのだろう。

で、今回は改めて旧作を観てみた。

1974年の作品なので絵は古臭さを隠せないが、古典だと思えばそんなに悪くない。
とにかく、2199に比べれば非常に分かり易いのだ。余計なサブキャラクターを作ってない分、個々の人物像に重みがあるのだ。ヤマト艦内では沖田十三と徳川彦左衛門に威厳を感じる。古代進の場合、2199では優等生タイプだったが、旧作では血気盛んなヤンチャ坊主である。それ故に航海によって人間的に大きく成長する。最初の頃にあった沖田との確執も段々と無くなっていき、遂には艦長代理にまでなる。

敵であるデスラー総統も、旧作のほうがスケールの大きさを感じさせる。
下品な男や部下のミスは決して許さず、失敗すれば死を持って償わせるという冷徹非情な人物なのだが、何でもかんでもという訳ではない。戦況を冷静に観れる頭も持っており、失態を犯して死刑判決が出たドメル将軍に対しては「他に誰がヤマトを仕留められるのかね」と、あっさり却下している。これは多分、声優が優秀だったというのもある。伊武雅刀氏でしか出来ない芸当だ。

宇宙の描かれ方や都市の様子も、74年の作品にしてはとても近未来的である。

冥王星ガミラス前線基地から発射された遊星爆弾によって放射能汚染された地球が赤茶けた色に変わっているところは、リアリティがある。それから、イスカンダルから技術供与された波動エンジンを搭載し、九州の坊ケ崎に沈んでいた戦艦大和を惑星間航行を可能とした宇宙戦艦ヤマトに改造するという話も明快である。しかも、1年以内に14万8000光年の彼方にあるイスカンダルまで行き、放射能除去装置を受け取って地球に帰還しなければ人類は絶滅する、という無茶な設定はSF好きの好奇心をそそるかも知れない。

何しろ、光と同じ速度で往復出来たとしても29万6000年もかかるのだ。

地球がある銀河系からガミラス/イスカンダルがある大マゼラン星雲の丁度中間地点にはバラン星がある。ここにガミラス最強の将軍ドメルがいる。つまり、こうした宇宙図がすでに説明されているので、視聴者としてはとても分かり易い。

では「そんな気の遠くなるような距離をどうやって往復するのか?」という話になるのだが、それを解決するのが、時空を飛び越えるワープ航法なのだが、その描かれ方が秀逸だ。異次元の中にでもハマったようなBGMがドキドキ感を出している。そう、新作になくて旧作にあるものといえば、このドキドキする感じなのだ。乗組員の恐怖に怯えた表情やBGMの使い方が実に合っている。

では、宇宙戦艦ヤマトで語りたかったものとは一体何か?

人は「愛」だという。僕は、それよりも「勇気」ではないかと思う。
愛とは言葉でいうほど簡単なものじゃない。

ガミラス本星で戦う場面では、ヤマトは辛うじて勝利する。しかし、そこには誰もいないし音も無い。森雪は「わたし達は何ということをしてしまったの? わたしにはもう、神様の姿が見えない」といい、古代は「俺達がしなければならなかったのは戦うことではない、愛し合うことだったのだ」と悔しそうに銃を叩きつける場面があるのだが、普通なら「貴様ら、散々人殺しをしておいて何をいうか?」となるだろう。

従って、ヤマトのシリーズとは「これが愛である」と説教を垂れるものじゃない。
いわば視聴者に対して「これって本当に愛といえるのだろうか?」と問いかけてくるのだ。
そういう事を思いながら観賞すれば面白くもなるだろう。

それとは違って、矛盾が多いというのもヤマトシリーズの伝統だ。

例えば、第13話ではガミラスの戦闘機乗りがヤマトの捕虜になるくだりがある。
地球に遊星爆弾を落とした奴らだから、きっと獣みたいな姿をしているに違いないと乗組員が思っていたのだが、ヘルメットを取れば何と人間だった。青い皮膚を除けば地球人と何ら変わらなかったのだ。ここで矛盾が生じる。

スターシャの話によれば「ガミラス人は地球型の空気では生きていけません」と言っており、だから遊星爆弾を落とすという行為は理にかなっていたのだ。しかし、ヤマトの艦内は完全に地球型の空気なのである。そこで平気だったガミラスの捕虜は、科学的にいうならば突然変異したということになる。地球型の空気でもガミラスの環境どちらでも生きていける選ばれしき者なのだ。

一方のデスラーは、最終話でヤマトの艦内に乗り込んで放射能をばら撒いたのだが、雪が作動させたコスモクリーナーDによって地球型の空気に戻った艦内に耐え切れず、やむなく退散している。従ってガミラスの先陣を切るに相応しい人物は捕虜になった奴のほうかも知れない。

こうした矛盾探しもシリーズの魅力になっている。

もしも、この読者の中に2199を観て宇宙戦艦ヤマトに興味を持った人がいるのなら、旧作も是非ご覧になられることをオススメする。修正された箇所とか、引き継がれているテイストとかがわかるだろうし、設定の違いもわかるだろう。但し、旧作は名作だが新作はクソだとか、そういう偏見は持たないほうがいい。己自身を貧しくするだけだからねえ。



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■宇宙戦艦ヤマト

時に西暦2199年、銀河系の外、大マゼラン星雲から飛来した謎の宇宙艦隊ガミラス星人は、冥王星に前線基地を置き、地球を攻撃していた。既に地球の表面は放射能で覆われ、人類は地下都市に追いやられてしまった。しかも、遊星爆弾の放射能は地下をも侵しはじめたのである。

人類が生き延びる為に残された時間は、あと1年。

一方、ガミラスと同じマゼラン星雲にある惑星イスカンダルの女王スターシャによって、地球に救いのメッセージが届けられた。放射能除去装置コスモクリーナーDがイスカンダルに用意されているのだ。それさえあれば地球は救われる。

その頃、遊星爆弾によって干上がった九州の海底で、密かに改造されていた最後の宇宙戦艦ヤマトは、イスカンダルにある放射能除去装置を取りに14万8000光年の旅に出ようとしていた。

それを知ったガミラスは、赤錆びた嘗ての戦艦大和を破壊せんものと大攻撃をかけてきた。ヤマトは遂に立ち上がった。頭上にあるガミラス高速空母を主砲の一撃で撃墜したのだ。

ヤマトに脅威を感じた冥王星ガミラス前線基地の作戦司令官シュルツは、総統デスラーに超大型ミサイルの使用を打診する。地球へ、ヤマトへ向けて発射されるミサイル。

一方、地球では沖田艦長の挨拶とパレードが行われていた。
出発前のパレードである。

宇宙戦艦ヤマト 第3話 「ヤマト発進!! 29万6千光年への挑戦!!」-1
宇宙戦艦ヤマト 第3話 「ヤマト発進!! 29万6千光年への挑戦!!」-2