我が友、スミス 石田夏穂 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

最近こういう痛快な作品を読んでいなかったので

久しぶりに爽快。

 

筋トレに励むひとは

なんとなくマッチョな思想を持ってそうで

近寄りがたいと思っているんだけれど

ボディビルをやるひとには

単に筋トレをやるひととは異なる

ストイックなものを感じていた。

 

わけがわからない区別かもしれないけれど

ぼくにとってはそういう感じ。

 

筋トレはモテだけど

ボディビルは非モテっていう感じかな。

 

ちなみにぼくのいう非モテは

モテない行動や思想ではなく

モテるためという動機ではない行動や思想を指す。

 

とはいいつつ

常人からしたらやり過ぎと思えるような

筋肉の造形を美しいと思うことはできず

ちょっとフェチな好みのひとたちだと

遠巻きに見ているような感じだった。

 

しかし、この

我が友、スミス

の端的で論理的かつ

感覚的でもありユーモラスでもある文章を読みながら

ボディビルをやるひとの思考が垣間見えたような気がして

これからはもっと近づいて見られるような気がする。

 

というか

せっせと読書に励むひとにも通じるようなものも感じたので

身近になったかもしれない。

 

ボディビルはマッチョというよりも

フェミニンな感じさえあり

フェミニズムを標榜するひとなら

その感覚を抑えておくべきとすら思えた。

 

この作品の登場人物はみんな感じがよく

主人公のU野さんの生真面目さも好きだし

O島さんやE藤さん、T井さんもそれぞれ素敵だと思った。

 

BB大会はどうなるのかなと思っていたが

意外な展開でそこも良かった。

 

自由を求める生真面目な女U野。

かっこ良かったです!

 

それから

じぶんにはよくわからない価値観のひとでも

フィクションとはいえ細かにその行動や思考を追うことで

身近に感じられるものだなと再確認した。

 

読書の醍醐味です。

 

 

 

 

--我が友、スミス--

石田夏穂