2022年が終わろうとしている。
コロナ禍はまだ続いている。
というかどうやらまだ何年も続く感じなので
ウィズコロナの生活様式が定着してきた。
感染症に怯えながらも
ぼくたちは日々の暮らしを続けていかずには
いられない。
感染症に対する考え方もひとそれぞれで
噛み合わないまま進んでいくんだろう。
コロナを乗り越えるまでは新しい問題は起こらないだろうと
どこかで思っていたが
思いもしない戦争が始まって
世界中が巻き込まれている。
ロシアの暴挙。
プーチンの暴挙。
まさか2022年にこのような直接的な戦争が起こるなんて
思いもしなかった。
戦争がいかにして始まり
いかに終わらせるのが困難かが
これではっきりとわかったし
日本が日本とはちがうルールの国にいきなり攻撃されないとは
いえないこともはっきりとした。
コロナと戦争で
食料やエネルギーの価格が高騰し
世界中に影響を及ぼしている。
10月には32年ぶりに一時1ドルが151円台を記録。
物価高に追い打ちをかけている。
この物価高の影響をもろに受けるひとと
それほど影響を受けないひとの二極化もはっきりしている。
選挙の応援演説中に
元首相が3Dプリンタによる手製銃での銃撃により
殺害されるという事件が起こった。
それをきっかけに宗教団体による被害と
政治家との癒着が社会的問題として認知された。
問題は追及されなければならないが
きっかけが暴力だったという点が
今後の社会にとって大きな傷になりそうで
警戒しなければならない。
暴力による主張の実現を許容する
社会になってはいけない。
知床観光船や梨泰院での残酷な事故も起こった。
コロナ禍で停滞していたひとの動きが急に活発になると
こういう事故は起こりやすいかもしれない。
出掛ける際には危機管理の意識を持ちたい。
今年印象に残った本を記録しておく。
ことばがことばのままで美しい
二人の稚児 谷崎潤一郎
今ヤ不幸ニシテ米英兩國ト釁端ヲ開クニ至ル洵ニ已ムヲ得サルモノアリ豈朕カ志ナラムヤ
じぶんの意思とは無関係になるべくしてそうなるんだから抵抗してもしようがない
ってそれでいいのか?
養老先生の思考はニュートラルで好き
ヒトの壁 養老孟司
ふつうに人間ってこわい
娘について
がいちばんこわかった
他人が努力せずに得た幸運に対する努力してきたひとの悪意
そういうのってある
春のこわいもの 川上未映子
人生が片付くときめきの魔法
死の匂いがする
とことこ公太郎
たしかに縦書きにしたら
100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集 福井県立図書館
パン屋さんやさしい
無知と環境によって犯罪に手を染めた若者の更生
おいしいパンはしあわせを連れてくる
パンどろぼう 柴田ケイコ
島田雅彦流 斜に構えた青春小説
絶望キャラメル 島田雅彦
生まれつきの上流中流下流の階級格差は残酷だけど
女性たちはみな魅力的
それぞれの暮らしぶりが谷崎潤一郎の細雪的に文化史
男たちは無邪気にだらしがない
あのこは貴族 山内マリコ
いまどきの男子として育てられた男たちの残酷な無邪気さが際立つ
育ってきた環境によって見えている世界がまったく別物
女性を責められないけど危機管理はもうちょっとあってもいい
まずは男性への教育からだな
彼女は頭が悪いから 姫野カオルコ
ぼくからすると無軌道で非常識な生き方
でも納得性はある
見えている世界はほんとうにひとそれぞれというのがよくわかる
常識なんて他人の基準だからじぶんはじぶんの基準でいい
はい、こんにちは Chim↑Pom エリイの生活と意見 エリイ
志賀直哉はこんな作品も書くのか
赤西蠣太 志賀直哉
いったいだれがどうなるの
マリアビートル 伊坂幸太郎
なぜいまこれを読んだのか
失楽園(上)(下) 渡辺淳一
この素材をこんなに爽やかに描けるなんて
夏の靴 川端康成
読みながら夢うつつに
遠野物語 柳田国男
今年も去年に引き続き
どういうわけか過去に読んだ作品を
再読したい気分が強かった。
海外の読者にも読まれたらしい
すべて真夜中の恋人たち 川上未映子
これもまた島田雅彦流斜に構えた青春小説
やけっぱちのアリス 島田雅彦
これもまた海外の読者に読まれたらしい
ヘヴン 川上未映子
ロシアがウクライナの東部を独立国家として承認した
っていう2月の侵攻前の事案を受けて読み返したけど
その後事態はより深刻に
吉里吉里人(上)(中)(下) 井上ひさし
戦後すぐのひとびとの感覚
堕落論 坂口安吾
人類の走馬灯
午後の恐竜 星新一
いつのまにかじぶんの脳内で勝手に続きをつくってしまっていた
中年のひとり者ブルームフェルト カフカ
高村光太郎は思っていたほどわるくなかった
売り言葉 野田秀樹
懐かしい青春小説
NHKにようこそ! 滝本竜彦
思弁的
とどのつまりはじぶんのことにしか関心がない
告白 町田康
イモリの印象が強かったけど蜂とか鼠とかの死もあった
城の崎にて 志賀直哉
福田恆存さんの翻訳がまじでかっこいい
マクベス シェイクスピア
10代の頃のような爽快な読後感がなかったのは
ぼくが退屈な体制をつくる側の人間になっているからだろう
コインロッカーベイビーズ 村上龍
一昨日の徹子の部屋で
タモリさんが言っていたように
来年は新しい戦前
になるかもしれない。
というかすでに戦前は始まっているかもしれない。
今後二度と戦争がなくならない限り
いつも戦前だともいえる。
戦争を回避する知恵を磨かなければならないのは
いまを生きるひとたちだ。
というかそもそもいまは戦時中なので
まずはロシアのひとびとが
新しいロシアをつくるために立ち上がってほしい。
ロシアを壊すということはやめておいた方がいい。
ウィズコロナの暮らしも洗練させていかなければならない。
なんとなく場当たり的に必要に迫られた対応をして
ぐずぐずになりそうな気がしている。
個人的には
去年の苦境を乗り越えて
幾分ましな1年になったと思う。
耐え忍んだ先に
すこしましになった未来があった。
だからといって気をゆるめると
すぐに脱落するという恐怖はあいかわらず常にある。
他人の決めた幸福の基準に縛られずに
じぶんの幸福は自分で決める。
そういうあり方を忘れないでいたい。
来年は何が起こるだろう。
去年のいまごろにロシアの暴挙なんて想像もしていなかったけど
鋭いひとはそこに至る状況を観察していたかもしれない。
いまもおもてだってはいないものの
来年に起こり得る大きな事件の芽は育っているかもしれない。
願わくはその事件は
良い事件であってほしい。