日本とそう条件の変わらないフランスの方が
幸福と感じているひとの割合が高い。
それは
フランス人が
教育を受ける過程で
徹底的に幸福について考える機会を
持っているからだ。
その象徴的な場面は
大学入学資格試験である
バカロレア
の一番最初に
哲学小論文
を書かせることである。
決してフランスの受験生が
この哲学小論文で高得点をマークするわけでもなく
むしろ苦戦を強いられるのではあるが
テストできるくらいには洗練された小論文の形というものがあり
それを訓練することで得られる
思考方法を
多くのバカロレア受験生は身につけることになる。
と
こういう問題意識からこの本は書かれている。
なるほど
考えることによって
その対象に対する理解は深まるのであるから
幸福感だって
考えることによって深まることはあるだろう。
考えない方が幸せだったのに
なんてこともあるかもしれないが
それはまだまだ考え足りていないからで
そこを超えれば
やはり考えて対象に対する理解を深めた方が
幸福度は増すと思う。
で
この本では
主な哲学者たちの
主な哲学を
コンパクトにまとめてある。
まとめたものなので
どうしても細部に誤解が入り込む余地ができてしまうが
それは仕方がない。
せっかくなので
ぼくもこの本に書かれている
哲学者のエッセンスを
自分なりに残しておこう。
かなり雑なメモになるだろうけど
哲学者と切り離して
こういう考え方もある
というのを知っておくと
自分で何かを考えるときに役立つと思う。
ひとは幸福を求めて生きる。
ひとは幸福を求めて生きるわけではない。
善い生き方とは幸福になることではなく道徳的義務を果たすことだ。(カント)
幸福よりも真理が優先される。(デカルト)
生きる目的は幸福ではなく力の増大である。(ニーチェ)
普遍的な幸福はある。
普遍的な幸福はない。(カント)
許される幸福と許されない幸福がある。
快楽こそが幸福だ。
快楽は幸福を遠ざける。
快楽は良い。
良い快楽と悪い快楽がある。
快楽にはそれを求めるのにふさわしい心身の状態がある。
快楽を求めるのではなく不幸から逃れる。(パスカル)
欲望を理性で選別する。
孤独の幸福はある。
孤独こそが幸福だ。(ルソー)
他者がいないと得られない幸福がある。
個人の幸福は集団の幸福より優先する
集団の幸福は個人の幸福より優先する。
人間は幸福を求めて病む。(フロイト)
幸福など存在しない。(ショーペンハウアー)
--バカロレア幸福論 フランスの高校生に学ぶ哲学的思考のレッスン--
坂本尚志