軽い短編じゃなくて
どっしりくる短編を読みたくなって
ひさしぶりに読み返してみた。
さすが。
重厚
濃密。
そして圧倒的な語彙力と構成力と描写力。
すべてが緻密に計算されて調和しながら
最後に向かって突き進んでいく。
それにしても
良秀とその愛娘に対する大殿の仕打ちはあまりにもむごい。
ぼくの頭のなかではいつの間にか
良秀が自らの芸術性のために
愛娘を芸術の生贄に捧げた
っていう展開だったんだけど
大殿の残酷な仕打ちだったんだな。
娘にあんなことをしたのが大殿かどうかはわからないけど
女性が被害に遭う構図は現代のリアルなそれと同じで
いたたまれない。
無論
この作品の芸術性とは関係のない話なのではあるが。
--地獄変--
芥川龍之介