円城塔さんの文字渦に触発されて
中島敦さんの文字禍を読んだ。
読んでみたら
初めてではなくて前にいちど読んでいた
掌編。
円城塔さんの文字渦は長編あるいは短編の集合で
猛烈に遊びまくっていたが
中島敦さんの文字禍は掌編でありながら
中島敦作品らしく気持ちのいいリズミカルな展開で
こちらも負けじと遊びまくっていた。
文字の精霊。
文字の魂。
人の肉体が魂がなければただの物質であるように
文字を構成する線も魂がなければただの線である。
文字の精霊に害されて人の能力は衰える。
そしてその害を暴こうとする者には
文字の精霊による復讐が行われる。
荒唐無稽ではあるが
文字を愛するがゆえの滑稽譚として
すごく微笑ましくおもしろおかしく読ませてもらえる作品だった。
円城塔さんがインスパイアされる気持ちもわかる。
中島敦作品の疾走感にもひさしぶりに触れられて爽快!
--文字禍--
中島敦