漁港の肉子ちゃん | (本好きな)かめのあゆみ

(本好きな)かめのあゆみ

かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

パワフル。

エネルギッシュ。

 

肉子ちゃんとキクりんはなんで同じ名前なの?

キクりんのお父さんってどれ?

お父さんが美形だったってこと?

それにしても肉子ちゃんアホすぎるやろ!

まあこういうひとときどきいるけどあんまり関わり合いになりたくない。

っていうかキクりんかわいそう。

でもお母さんやしなあ…

 

などと思いながら読んでいた。

 

西加奈子さんの作品には

わかりやすく素敵なひととか

無条件で共感できるひとなんて出てこない。

 

みんなどこかしらいびつな面を持っているけれども

そんなんも全部ひっくるめて憎めないっていうか

愛すべき存在。

 

おとなもこどももみんな誰でもなにかを抱えて生きている。

 

それにしても肉子ちゃんほんとにいけてない。

 

トイレットペーパーをセットするとき上下が適当だし

食後のデザートに唐揚げだし

水族館のペンギンをペン太って勝手に呼ぶし

休日は休日っていうだけで自動的によろこび

お葬式はお葬式っていうだけで自動的にかなしむし

どこに行っても関西弁を捨てないというかさらに強調するし。

 

いろいろあって終盤。

 

キクりんの

客観的で分析的で冷静で一歩引いたようでいて

でも愛のある視点がとても好きだったけど

そういう事情があったなんて。

 

でもそれも含めてキクりんは魅力的。

 

愛しくて抱きしめたくなる。

 

大丈夫だよ、きみはきみのままでいて

とか言いたくなる。

 

終盤のサッサンのキクりんへのことばが沁みる。

 

そして肉子ちゃん。

 

すごくいい。

 

ぼくは付き合いきれないけどすごくいい。

 

こういうひとを素直に愛せるひとになりたかった。

 

でももうなれないだろうなあ。

 

架空の漁港のあるまちでの

肉子ちゃんとキクりんとまちのひとびとのいろんなこと。

 

この地方のことばがかわいい。

 

元気出るわあ。

 

西加奈子さんのあとがきも

思いがこもっていてすごくいい。

 

真摯。

 

 

 

 

 

--漁港の肉子ちゃん--

西加奈子