いとうせいこうさんの小説を読むのはこれが初めて。
近未来の戦後の設定で
あたらしい支配者による小説禁止令に賛同するという立場で
主人公が随筆を書く。
実験的な作品だ。
アイデアがいいと思う。
描き方はもしかしたら物足りないといえるかもしれない。
っていうかぼくの主観でいえば物足りなかった。
アイデアはすごくいいし
普遍的なテーマなので
もっと読み応えのある作品になる可能性があるような気がする。
それにしても
禁書
っていうのは人類が書物を手にしてから何度も繰り返されている統治手段だから
それだけ効果があるっていうことなんだよな。
小説が禁止されてもなんにも生活に影響を与えないひとも相当の割合でいるだろうけど
ぼくには小説がない世界はものすごくつらいなあ。
自分がその気にさえなればほとんどの小説が読めるいまの時代はほんとうにありがたい。
もちろんぼくが気づいていないだけでぼくには決して読むことができない小説もあるには違いないのだけど。
--小説禁止令に賛同する--
いとうせいこう