おおう
なかなかいい混沌感だねえ。
文体も独自な感じで
口語がまさる感じ。
乱暴な言い方をすると関西っぽい。
それは文体だけじゃなくて
思考方法というか思考様式というか
とにかく関西とインドをハイブリッドにした感じ。
感じ
っていう表現がしっくりくる感じ。
チェンナイのIT企業で日本語を教える混沌と
アダイヤール川の氾濫による百年泥による混沌。
ごちゃごちゃしていて
それはまさに世界のはじまりの混沌に似ている。
っていうか
世界ははじまりだけじゃなくて
途中もおわりも混沌としているのかもしれなくて
秩序を持たせたがっているのは人間だけかもしれない。
秩序をみつけた
っていっていい気になっているのも
人間の自己満足で
その秩序は世界全体からみたら
ちっとも秩序じゃなかったりするかもしれない。
日本語を教える
っていうのと
百年泥
っていうのが
小説の装置として抜群で
そのアイデアで
この小説は自由に動いているような気がする。
時間が一方向には流れていない
っていう感じも小説世界をよくあらわしていた。
からっ
とした表現がいいね。
さて
この作者は
次回どんな作品を読ませてくれるのだろうか。
--百年泥--
石井遊佳