R帝国 | (本好きな)かめのあゆみ

(本好きな)かめのあゆみ

かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

中村文則さんは

もうすっかりぼくの好きな作家さんだ。

 

この作品。

 

冒頭は

オーウェルの1984年を思い起こした。

 

ずっとそんな感じの展開かな

と想像していたらそうでもなかった。

 

新聞連載していたのは知っていたが

思っていた新聞とは違っていて

ちょっと意外だった。

 

あの新聞

わりとバランスがとれている。

 

そうとう黒いというか

支配層にとっては不都合な真実

っぽい内容がたくさん盛り込まれているので

国が国で世が世なら

出版されることはないだろう。

 

これが出版できているうちは

この国も大丈夫だと思う。

 

大丈夫だとは思うが

そろそろやばいかも

ということは

数年前よりも多くのひとが感じはじめてるんじゃないかな。

 

警鐘はあちらこちらで鳴らされている。

 

すでにこういう作品を書くことが難しくなってると思う。

 

作中に出てくる「ボランティア・サポーター」みたいなのの

攻撃対象にされてしまってるような気がする。

 

フェイクニュースのこわいところは

フェイクニュースを信じてしまうひとたちが出ることだけじゃなくて

正しいニュースもフェイクニュースだと疑われ

すべてのニュースが信じられなくなること。

 

この作品で描かれている世界は

本当に本当かはともかくぼくの世界観とほぼ一致していて

だからすでになにもかもを疑っているし

このディストピア化を止めることなんて無理だと諦めてたりもする。

 

でもこのディストピアを

前向きにたくましく生きていきたいとは思っている。

 

ディストピアできれいな花をさがす。

 

この作品でもう少し読みたかったのは

早見の内面。

 

ほんとうになにもないサイコパスなのかどうか。

 

実は内面にものすごい愛があったりすると

作品がよりおそろしく読み手のあたまを混乱させて

さらに読み応えがあったかもしれないと思うがどうだろうか。

 

 

 

 

 

--R帝国--

中村文則