蚊がいる | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

穂村弘さんが雑誌や新聞に連載していた

エッセーをまとめたもの。

 

巻末には

又吉直樹さんとの対談も収められている。

 

この対談のときは

まだ又吉さんは

火花を出版していなかったころ。

 

ふたりの

センスというか

着眼点というか

自分を取り巻く世界とのかかわり方というか

慎重で繊細。

 

机の下で足を踏まれたときに

すぐに足をひっこめると相手が足を踏んだことに気づき

そうなったときにどういうふうにすればいいのかわからないので

まるで自分の足ではなく机の一部であるかのように

じっとして相手が足を動かすのを待つ。

 

そういうのはぼくもわかる。

 

っていうかやったことがあるような気がする。

 

あっごめん

いいよ

 

っていうやりとりで全然かまわないはずなんだけどね。

 

万事そんな感じ。

 

そういう自意識過剰なひとにはありがちな場面を

よくこれだけ拾えたな

っていうくらいこのエッセーにはいろいろな事例が書かれている。

 

穂村さんのエッセーを読んだ後にはいつも

ぼくもそんなふうにていねいに体験や感情を拾おう

と思うのだがどうもうまくいかない。

 

もちろんそれが作家との違いなのだろうけど。

 

あと穂村さんの書くものには

自分はもてない

女性との付き合い方がわからない

みたいなことが頻繁に出てくるのだが

読んでる限り全然そんなことはなくて

むしろ女性と上手に付き合ってるんじゃないかな

と思える。

 

っていうかふつうの女性よりも

穂村さんが付き合う女性の方が

センスがいいような気がする。

 

だからそこのところは

穂村さんもっと正直に書こうよ

って言いたくもなる。

 

それはさておき

ちなみに

この本のなかでいちばん好きだったのは

殺しのマナー

でした。

 

殺している

ってちゃんと自覚しているひとがぼくはすき。

 

 

 

--蚊がいる--

穂村弘