他人の自伝を書く仕事を頼まれた作家志望の若者の話
というのに興味が湧いたので読んでみた。
ミステリみたい。
なんとなく淡々としすぎているような気がして
あんまり文章に入っていけなかったな。
この作品の筋とは関係ないけど
誰かに頼まれてその人の自伝を書く
っていうのはなかなかに気苦労の多そうな仕事だ。
こんなふうに書いてよ
あんなことは書かないで
などといろいろな注文を受けたりして。
そうやってできあがった「自伝」の意味とはどのようなものなのだろう。
まあ
死後に誰かが書いたり
生前に自分で書いたり
ファンの誰かが書いたりした
そのひとの物語なんていうのも
結局のところ真実とは遠いところにあるのだろうけど。
ぼくが自分の人生を振り返って何かを書くとしても
やっぱり文章に残したくないこともあるし
実際のできごとにプラスアルファの脚色を加えたくもなるだろう。
そういう意味では
自分で書いた自伝と
他人が書いた複数の伝記を
比較したときに共通している部分だけが
事実なんだろうな。
まあ
そんな事実にもあまり意味があるとは思えないけど。
--あなたの自伝、お書きします--
ミュリエル・スパーク
木村 政則 訳