タイトルに惹かれて読んでみた。
分析哲学って何?
いやしかし
ひさしぶりにちんぷんかんぷんな読書だった。
なんとか最後まで読み通しはしたのだが
この行為が意味のあるものだったのかどうかは正直わからない。
わからなくてもとにかく最後まで読む
っていうことを自分に課しているので
だいたいの本は読み通すぼくなのではあるが
この考え方ははたして大丈夫なんだろうか。
不条理とも不可思議ともナンセンスとも思える世界観が
なにしろキュートで魅力的な
不思議の国のアリス
と
鏡の国のアリス
は論理学の教師であった
ルイス・キャロル
の作品であるため
論理学の素材がごろごろ転がっている。
それで
分析哲学
とも相性がいいというので
この本が書かれたらしい。
で
分析哲学。
そもそも前提となる知識がないので
この本のなかで繰り広げられる論理展開は
たぶん専門家が読めば論理的なんだろうけど
素人のぼくなんかが読むと
ぼくってそうとう頭が悪いんじゃないか
って本気で心配になるほど
さっぱりわけがわからず
はっきりいってアリスの物語に負けないくらい
不条理でナンセンスなことば遊びなんじゃないの
って思えてしまった。
いやこれは
ただのぼくの無知のなせるわざなのだろう。
この本には罪はないはず。
きっとぼくのせい。
そもそもぼくは
ナンセンスで役に立たないものは好きで
役に立つものに対してはむしろ
警戒感すら抱くタイプなのであるから
こういう
一見したところ何の役にも立たなさそうな議論は
嫌いじゃないはずなんだけど
この本を読み始めたときには
政府が教養学を無用の長物とみなし
社会に役立つ実学中心にシフトしようとする意図も
わからないではないなと
そんなふうにさえ感じてしまった。
だってほんとうに不毛なことば遊びに感じられるんだもの。
ぼくもなかなかに理屈っぽいタイプだとは自覚しているものの
この本で緻密そうに展開される論理展開には
どうも自己満足の匂いがして
いろいろ仮定をおきながらもっともらしく進められるその議論は
けっきょくのところ穴だらけの議論のような気になってしまった。
理解していないぼくの印象なのではあるが。
終盤の無とか空とかの議論には
ちょっと期待していた部分もあったんだけど
なんとなく拍子抜けというか
特にあたらしい理屈にも出会えなかったような気がする。
まあ
こういうぼくの感想自体が
緻密さのまったくない
穴だらけでだだ漏れの印象に過ぎないんだけど。
とまあ
ちょっと変な感想なんだけど
アリスのナンセンスな物語と同様に
緻密そうに見せたナンセンスな物語として読む分には
この本もおもしろかったのかもしれない。
この本の魅力をもっと上手に理解している読み手に
ぜひとも感想をきいてみたいところだな。
--『不思議の国のアリス』の分析哲学--
八木沢 敬