君たちはどう生きるか | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

話題のこの本。

 

いままで読んだことがなかったけど

せっかくなので読んでみた。

 

漫画版もおもしろそうなんだけど

原作

というか小説版で読んだ。

 

こっちの方が内容も多そうだし。

 

読んでみたら。

 

なんだ

すごくいいじゃないか。

 

読みながら自分のこどものころのことを思い出したよ。

 

ピュアだったあのころ。

 

ぼくには

コペル君にとっての叔父さんみたいな存在はいなかったけど

ぼくがこどものころには

まだおとながこどもに対して理想を教えていたような気がする。

 

いまのおとなはこどもに現実の厳しさを教えてるけどね。

 

ぼくなんかは

コペル君ほどではないにせよ

いい人間

社会の役に立つ人間

になるのがあたりまえのことのように感じていて

それに向かって進んでいたんだよ。

 

でも

おとなになって

なんだかほかのひとたちはぼくがあたりまえに感じていることを

あたりまえと思っていないようだぞ

と気づき

それまで感じていた理想と現実とのあいだのギャップに

悶え苦しんだ時期があった。

 

いまはほどほどに力を抜いて

弱い自分を認めながら

でもこころの片隅には青い理想も残っているような

そんな生き方になっている。

 

だから

叔父さんやお母さんがコペル君に求めていたようなことは

たしかにいいことなんだけど

その後のコペル君の生きづらさにつながらなければいいんだけどな

ってちょっと思った。

 

まあこれはひねくれてしまったぼくのつまらない心配なんだけどね。

 

実際のところこの本は

こどもはもちろん

かつてピュアなこどもだったおとなが

ぜひとも読んだ方がいい内容だと思う。

 

特に

おじさんのノートがいい。

 

一面的でなく

押しつけがましくなく

やさしさにあふれている。

 

叔父さんっていっても

大学を出たところなのでまだ20代そこそこなんだけど

そんな年でこんなことが言えるなんてすごい。

 

叔父さん自身も

理想と現実との間のギャップに悩んでいたんだろうな。

 

経験したことについて自分で考えること。

 

考えの内容よりも考えることそのものがまずはたいせつ。

 

ひとの受け売りで自分で考えていない考えなんて

薄くてつまらないもんね。

 

それにしてもコペル君が熱を出して倒れたところ。

 

ああいう理由で熱を出したことが

たぶんぼくにもあったはず。

 

なつかしいなあ。

 

最後がまたいい。

 

ぼくなんかはただなんとなく

いい人間になるのがあたりまえ

なんて思っていたけど

コペル君には

いい人間になるという覚悟

が芽生えたような気がする。

 

無自覚よりも自覚することの強さ。

 

季節や風景の描写もよかった。

 

 

 

 

 

 

 

参考に目次をあげておく。

 

  • 一、へんな経験
    • ものの見方について(おじさんのノート)
  • 二、勇ましき友
    • 真実の経験について(おじさんのノート)
  • 三、ニュートンの林檎と粉ミルク
    • 人間の結びつきについて(おじさんのノート)
  • 四、貧しき友
    • 人間であるからには(おじさんのノート)
  • 五、ナポレオンと四人の少年
    • 偉大な人間とはどんな人か(おじさんのノート)
  • 六、雪の日の出来事
  • 七、石段の思い出
    • 人間の悩みと、過ちと、偉大さとについて(おじさんのノート)
  • 八、凱旋
  • 九、水仙の芽とガンダーラの仏像
  • 十、春の朝

 

 

 

 

--君たちはどう生きるか--

吉野源三郎