賢者の愛 | (本好きな)かめのあゆみ

(本好きな)かめのあゆみ

かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

山田詠美さんの作品を読むのは

記憶にある限りたぶん初めて。

 

なぜ読もうと思ったのかというと

谷崎潤一郎さんの

痴人の愛

をモチーフにしているらしいとの情報を得たため。

 

ナオミ。

 

といっても

痴人の愛

はまだ読んでないんだけどね。

 

この

賢者の愛

痴人の愛

の逆バージョンともいえる。

 

女性が若い男性を自分好みに育て上げるというのだから。

 

そういうことって小説でしか描けないよな

なにしろ動物的には

男性は基本的には若い女性を好むようにできているんだからな

と思うひともいるだろうが

知能が高度に発達した人類は必ずしも動物的習性に縛られるわけではない。

 

年上の女性を好む男性も相当数存在する。

 

マジョリティではないが

マイノリティともいえない。

 

実際のところ

最近その手のドラマなんかもよくみかける。

 

まあ

女性サイドの願望が

ただのトレンドとしてあらわれているだけなのかもしれないが。

 

それはさておき。

 

まあねえ

主人公の真由子が直巳(ナオミと読みます)を育てる理由がねえ

まあ倒錯しているっていうか

そういう心理ってそんなに何年も

っていうか何十年も続くのかな

ってそこに引っかかる。

 

いや

女性のそういうのは何十年だって続くんだよ

っていうのはこれまで多くの小説で読んできたけど

ほんとうにそういうものなの?

 

いまだにわからない。

 

誰かに対する何かの思い

よりもねえ

自分の思いのために生きようよ

って思う。

 

単純に

自分の好みに男性を育て上げる

っていうことでいいじゃない。

 

それから

直巳の母で真由子の幼馴染である百合。

 

ちょうだいおばけ

こわーい。

 

ああでもここまで大げさでなくても

ひとのことを羨ましがるひとっているよね。

 

羨ましいと感じる気持ちと

妬ましいと感じる気持ちは

ほとんど双子。

 

どちらも脳の同じ部位が活性化する。

 

誰かと自分を比べる

っていう習性はほんとうによくないと思うよ。

 

女性の醜さというか恐ろしさもさることながら

男性の阿保さというか愚かさというか情けなさというか

どれほど知能が高くて知性と良識があっても

だめだこりゃ。

 

ゲスと阿保だらけの作品です。

 

もちろんぼくも

ゲスで阿保なので

こういう小説は嫌いじゃないのです。

 

ちっとも賢者じゃない愛のホラー。

 

表紙と章ごとに描かれる

丸尾末廣さんの絵が

なんともいえず魅惑的で物語にフィットしています。

 

 

 

--賢者の愛--

山田 詠美