8割の人は自分の声が嫌い | (本好きな)かめのあゆみ

(本好きな)かめのあゆみ

かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

自分の声が好きか嫌いかと問われたら
好きなときもあるし嫌いなときもある
と答えたい。

深みのある低い声にあこがれるけれども
実際のぼくの声は
少しうわずったところのある高めの声だ。

この本の作者の山﨑広子さんの肩書きは
「音・人・心 研究所」創設理事。

声のプロだ。

山﨑さんいわく
どんな声で話すかはそのひとの生き方に大きな影響を与える。

いわゆる
いい声
というのではなくて
自分にふさわしい声
かどうかというのが重要らしい。

声はおおむねそのひとの
体格や身長に影響されるという。

痩せていて小柄なら高めの声
太っていて大柄なら低めの声
といった具合。

それから
周囲の環境にも影響される。

石造りのまちでは音が反射するのでシンプルな声でも届くが
木造のまちでは音が吸収されにくい複雑な声が必要になる。

ヨーロッパと日本の発声の違いにはそんな理由がある。

声は発すると同時に自分に聴こえる。

自分が聴く声は
空気振動だけではなくて
骨を伝わってくるので
他人が聴く声と自分が聴く声は異なるが
それでも毎日毎日聴くことになる自分の声がいいか悪いかは
そのひとの生き方に当然影響する。

だから山﨑さんは
オーセンティック・ヴォイス
の獲得を提唱する。

獲得の方法は
まず
毎日自分の声を録音して聴く。

自分がいい声だと思うときとそうでないときを比較し
いい声はどういうときに発せられていたかを思い起こし
それを意識しながら発声する。

毎日それを繰り返していくと
やがて意識的にいい声が出せるようになる。

ここでいういい声とは
もちろん自分にふさわしい声のこと。

それが
オーセンティック・ヴォイス。

いい声のひとの物真似などではない。

山﨑さんの紹介するエピソードには
オーセンティック・ヴォイスを獲得することによって
それまで悩まされていた学級崩壊が解消したという先生
の話などもあり
まじか?
と言いたくなるのであるが
一歩間違うと怪しげなスピリチュアル講座になりかねないところを
ていねいに解説しているので
そういうこともあるかもな
って信じたくもなる。

スピリチュアルはうさんくさい
というのは
まあろくでもないそっち系のひとのせいで
そういう印象が世間に固定化されてしまったわけではあるが
全否定するにはあまりにも影響されているひとも多いので
やっぱりある程度ほんとうであることもあるのかもしれない。

もちろんこの本はスピリチュアルとは無関係の
れっきとした根拠のある
声についてのレポートであると思うが
仮にスピリチュアル好きなひとが読んでも
なるほどなあと思う部分があるに違いない。

ぼくも
さすがに毎日録音して聴くということはしないけれども
できるだけ意識していい声で話そうという気分になった。

人間は理屈だけでは生きていない。

っていうか
むしろ理屈が通っていなくても
感情的にすっきりする方を好む生き物である。

話される内容よりも
話す声の印象の影響の方が大きい
っていうのも経験的にわかる気がする。

声のフィードバック効果。

あながち大袈裟ではなく
ほんとうに生き方に影響しそうな気がする。







--8割の人は自分の声が嫌い--
山﨑広子