PLUTO | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

ずいぶん久しぶりに再読した。


“PLUTO”


プルートゥと読む。


全8巻。


初出当時

浦沢直樹さんと手塚治虫さんの作品ときいて

なんだそりゃ

と思ったことを覚えている。


だって手塚治虫さんはとうの昔に亡くなっているから。


この作品は

手塚治虫さんが1964年に発表した

“鉄腕アトム『地上最大のロボット』”

を浦沢直樹さんがリメイクしたものだとわかった。


“PLUTO”を読んでから

“鉄腕アトム『地上最大のロボット』”も読んでみたのだが

なるほど物語の骨格を活かしつつも

ひとつひとつのエピソードを浦沢直樹さんがていねいに掘り下げていたのがわかった。


ゲジヒト

モンブラン

ノース2号

ブランド

ヘラクレス

エプシロン

そして

アトム。


プルートゥ。


ボラー。


ブラウ1589。


ロボットは人間に危害を加えてはいけない。


その規制というのが

そもそもあんまり現実性がないような気がするのだが

そこは置いておく。


ようやく1巻の終わりであらわれるアトム。


なんて愛らしい。


アトムもウランも小学校に通っていたりして

優秀な人工知能だから学校になんて行かなくてもよいのでは

とも思うのだが

あえて学校に通わせるのには何かの意味があるのかもしれない。


ロボットは感情を持たないのだろうか。


高等な人工知能は感情をも獲得するのだろうか。


ぼくは人工知能はいずれ感情を獲得すると思う。


そして人間の定義は現在よりもずいぶんと拡張されるに違いない。


テセウスの船というパラドックスがあるが

人間と機械の境目はどんどんわからなくなっていくだろう。


役に立たない人間よりも

役に立つロボットを求める傾向は

現在でも確実にあると思うが

それがさらに顕著になるだろう。


そして

それを嫌う反ロボット主義と

ロボットの人権を認めるロボット擁護主義の

対立が生まれるだろう。


現実の世界でも人工知能の技術の進化は

数年後には人間の仕事を相当奪うだろうと予想されている。


これまで人間にしかできないと思われていた分野でさえも。


弁護士の世界でも

過去の判例を探して現在の訴訟の資料を作成する技術は

そこらの弁護士よりも人工知能の方が優れている場合があるらしい。


一握りの最高水準の人間の弁護士が

人工知能を駆使しながら

同時並行で多数の訴訟の仕事を進めていくという

そんな時代が迫っているという。


そうなると最高水準ではない大多数の弁護士は職を失う。


新聞の記事なんかも

記者よりも人工知能の方が優秀な記事を書く分野もあるらしい。


ロボットたちの戦いの物語は

人間たちの物語でもある。


お茶の水博士

天馬博士

アブラー博士

ゴジ

ダリウス14世。


混沌を終わらせるためには偏りを注入する必要がある。


それがもしも憎悪の感情だとしたら世界はどうなってしまうのか。





――PLUTO――

浦沢直樹×手塚治虫