水声 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

いろいろわかったような気になっているけれども

やっぱりまだまだわからないことがある。


人間の心理っていうのは得体が知れない。


だからこそ知りたくなるともいえる。


川上弘美さんの水声。


文章は平易でわかりやすく

それでいてうつくしいのだが

そこで描かれる心象風景が

さっぱりわからない。


これが女ごころというものか

というと

世の女性たちから

女ごころなんてひとくちに括らないで

って叱られそうだが

身近な女性たちからたまに感じる得体の知れなさのようなものは共通で

この作品からもそれが感じられる。


そう

大島弓子さんの漫画のような。


姉と弟という設定である必要があるのか

っていうのがそもそもの疑問なのだが

こういう微妙な設定から生じる心情の機微

みたいなものを好む習性が女性たちにはあるのだろうか。


主人公の姉弟よりも

パパとママそれから奈穂子の生き方のほうに

より興味が湧いたのだが

それはぼくが完全に読み誤っているせいなのかもしれない。


全体を通して繊細なエロスの気配が漂っているような気がしたが

それもぼくの読み誤りかもしれない。


このわからなさは

ぼくが女性たちにときおり感じるそれに似ている。


わからないけど

それでもぼくは読んでみたいと思う。





――水声――

川上弘美