椎名林檎×西加奈子 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

惹句のとおり

爆弾発言を連発!!


NHK-Eテレの

SWITCHインタビュー 達人達

椎名林檎×西加奈子

を観た。


ぼくは椎名林檎さんのつくる楽曲や世界観が大のお気に入り。


J-POP的には

林檎さんがいれば9割方OK

だと思っている。


西加奈子さんは

窓の魚

円卓

ふくわらい

を読んだことがある。


ふたりがお互いの仕事場を訪ねて

インタビューしあうこの番組。


よくみれば噛み合っていたのかどうか

微妙な面もないことはなかったのだが

静の林檎さんと

動の西さんが

好対照でおもしろかった。


西さんの新作長編

サラバ!

における

何を信じるかは自分で決める

っていうテーマ設定に共感。


自分の価値観。


必ずしも自分だけのものである必要はないけれども

用意されたものをただ身に着けるのではなく

自分がこれだと思ったものを信じたい。


ぼくが付け加えるならば

信じたことに安住せずに

それさえも疑いつづけていきたい。


信じることへの憧れと

信じることへの不安を

感じていたい。


西さんの作品の表紙を飾る

躍動感のある絵。


あれが

段ボールにクレヨンとマニキュアで

書かれたものだったなんて。


西さんは

文章だけじゃなくて

絵にも生命のエネルギーがあふれている。


林檎さんが涙したという

空を待つ

も読んでみよう。


そして林檎さんの問題発言。


うすうす想像はしていたけれども

本人の口からきかされるとまた衝撃が大きい。


私の作品は私の好きな音楽とは違う。


私はJ-POP職人だから。


椎名林檎とは仕事でありふだんの私とは違う存在。


音楽に歌が入るとどんぶりものみたいになってしまう。


緻密に計算された林檎さんの作品たち。


ぼくはこの世界に浸かるのが好きなのであって

林檎さんの人格がどんなものであっても関係ない。


小説でもなんでも

作品と作者はイコールではない

っていうのはわかっているつもり。


だけど

こころのどこかで

林檎さんの楽曲が

林檎さんの内面から情熱的にわきあがってきたものであってほしい

っていう願望を抱いている面はある。


林檎さんのことば選びも好きだし。


変幻自在な歌唱の技術も好き。


番組での林檎さんの発言は

こういう作品が売れるからつくって売っている

っていう意味では決してなくて

ファンが喜ぶものを職人に徹して丁寧に制作している

っていう意味で

自己満足とは無縁であるということなのだろう。


もちろん多かれ少なかれ

現在のアーティストは

商業的配慮抜きでは創作を続けられないので

似たような側面はあるんだろうけど。


音楽にことばを乗せるときも

まずはことばの縛りを最小限にするために英語詞にして

あとからその音楽性を壊さないように日本語を乗せていく

そのときの苦労がいちばんたいへん

っていうのは

日本語でポップスをつくるひとたちに共通の苦心だと思う。


自分が前面に立つよりも裏方として成功する方が喜びが大きい

っていうのはつまり

プロデュース業にシフトをうつしていきたい

っていうことで

きっとだんだんそうなるんだろうけど

西さんがいっていたように

まわりが羽交い絞めにしてでも舞台からはおろしてもらえない

っていうことになるだろうし

いつまでも林檎さん自身のパフォーマンスをみていたい

っていうのはぼくの気持ちでもある。


意外なことばが次々と繰り出されて

少々ダメージを受けたので

いまでもいくらかふらふらとしているのだが

そもそも林檎さんは

緻密に計算して演じるひと

でありそこが魅力でもあるのだから

この番組での発言自体も演じられている可能性があり

というかかなりの確率でそうだと思うので

鵜呑みにして一喜一憂しちゃいけないんだろうな。


煙に巻かれるのもファンの喜び

ってこれはマゾヒスティックな感じ?


とにかくまあ

見応えのある番組だった。